2026年10月17日(土)
データ分析

ChatGPT流入「4割減」の正体は計測の穴だった——UTM欠落が暴いたAI流入レポートの脆さと、今すぐやるべき3つの対処

10月9日前後からGA4でChatGPT経由のセッションが急減したが、複数の調査はトラフィック消失ではなく「リンクのタグ欠落による直接流入への振り替わり」を示している。OpenAIはバグを認め修正が始まったとされる。本記事では各社データを突き合わせ、事実と未確定部分を切り分け、AI流入を経営層に報告するマーケターが取るべき対処を整理する。

WebTech Journal 編集部

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「ChatGPTからの流入が先週から4割落ちた」。10月第2週、そんな報告を受けて青ざめたマーケターは少なくないはずだ。だが、現時点で公開されている調査を重ねると、見えてくるのは需要の消失ではなく計測の穴である。

何が起きたか:事実の整理

Search Engine Journalの集約によると、ChatGPTは回答本文中のインラインリンクからutm_sourceタグを外し、リンクをリファラ(参照元情報)を送らない設定で開くようになった。その結果、GA4上で「ChatGPT」と分類されるはずの訪問が直接流入(Direct)に落ちた。GPT-6は有料プランに10月7日、無料プラン等に10月8日に展開されている。

各社の観測値は次のとおり。

  • Graphite:ChatGPT由来のGA4セッションが、AI流入が一定規模あるサイトで22〜57%減(10月9日以降)
  • LLM Pulse:10月9〜11日のChatGPTセッションが直前2週間の同日比で約46%減。サイト全体のトラフィックはほぼ横ばい
  • Adobe(Cedric Huesler氏):ChatGPTが訪問の5%以上を占める約500ページで、ChatGPTが1日約3.1万訪問減、Directが約2.6万訪問増。検索は7%減
  • Profound:タグ付きソースリンクを含む回答の割合が、10月8日の約98%から14日に66%へ低下

Search Engine Landは、OpenAIが意図的に変更したかは不明と伝えている。一方、Huesler氏は14日にOpenAIがバグを認め、15日に修正の展開が始まったと報告した。ただしOpenAI公式のリリースノートには、10月1〜15日分でリンク計測への言及がない(SEJ調べ)。

「減った分がDirectに増えた」の読み方

Adobeの数字(−3.1万/+2.6万)は、失われた訪問の大半がDirectに移った可能性を示唆する。モバイルで同意バナーを見た(=初回訪問とみられる)Direct訪問者の比率が36%から44%に上がり、ChatGPT経由の55%に近づいたという副次データも整合的だ。

ただし慎重さも要る。LLM PulseはDirectの増加を確認できておらず、集計データでは「失われた訪問」と「ラベルが外れた訪問」を分離できない。さらに、情報源の多くはAI検索関連サービスを販売する企業で、利害関係がある。「バグだった」はほぼ有力、ただし規模の確定には至っていないというのが現時点の妥当な評価だろう。

本誌の考察:本当の問題は「参照元に依存した計測」の脆さ

筆者が注目するのは、今回の件が一度きりの事故ではなく構造問題を露呈した点だ。Graphiteによれば、同社サイトのChatGPTモバイル訪問の95%はUTMタグだけが頼りだった。つまりアプリ内ブラウザ経由のAI流入は、リファラではもともと拾えず、プラットフォーム側の一行の仕様変更で見えなくなる。SEJが5月に報じたとおり、GA4のAI Assistantチャネルはリファラのないセッションを元々Direct扱いにする。AI流入の数字は「推定値」であり、第三者が握る仕様に依存している。

加えて、Peec AIの調査(100万プロンプト)では、回答内に直接URLが表示される割合が8〜10%から42%に増えた。表示と計測の仕様が同時に動く以上、「AI経由の流入が増減した」という単純な報告は今後も誤読を生みやすい。

日本のマーケターが今週やること

日本企業でもGA4のレポートをAI流入のKPIに据える動きが出始めている。海外で起きたこの種の変更は、プラットフォームがグローバル同一仕様のため、日本のサイトにも同時に影響する点に注意したい。

  1. 10月8〜15日を注釈する:月次レポートで前週比を鵜呑みにせず、GA4に注釈を残す。
  2. ChatGPTとDirectを並べて見る:ランディングページ単位で、両者の合計の増減を確認する。
  3. UTMに頼る前提で設計する:Huesler氏は、リファラなしの訪問が多いままのためUTMタグの集計を推奨している。加えて、AI専用の問い合わせ経路(「どこで知りましたか」の自己申告)など、タグに依存しない補助指標を持つ。

AI経由流入は、検索のように安定した計測基盤の上にはまだない。数字が動いたときに「流入が減った」と結論する前に、「見え方が変わっていないか」を疑う習慣が、当面は最大の防御になる。

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