「検索結果の青いリンク一覧は、いつ検索の入口でなくなるのか」。Search Engine Journalに10月15日付で転載されたDuane Forrester氏の予測は、その時期を米国で2028〜2030年と置いた。同じ週にGoogleは、AIモードのリンク表示を強化すると発表している。二つを重ねると、SEOの前提が動く速度が見えてくる。
予測の中身と、その根拠
Forrester氏は、一覧そのものが消えるのではなく、「既定の表示から外れ、ワンクリック奥へ下がる」ことを予測の定義にしている。本人が、自社がAI可視性を計測する会社であり利害があることも明記した上での予測だ。根拠として挙げた数字は次のとおりである。
- Pew Research(2025年3月、米国成人900人):AI要約が出た検索の割合は18%。要約がある場合に従来の検索結果をクリックした割合は8%で、ない場合の15%を下回った
- Similarweb(2026年5月):米国検索でのAI Overviews表示率は43%で、1年前の15%から上昇
- 同社のパネルデータ:AIモードの検索シェアは2026年1〜4月で0.34%。外部サイトへの送客は1.6〜2.5%のクエリで、従来検索の17〜19%を大きく下回る
同氏が引き金と見るのは、AI回答面の広告収益が従来の一覧と並んだ時点だ。ただし、これは本人が「予測であって発見ではない」と断る推論である。しかも、GoogleのRajan Patel氏はChromeの既定をAIモードにする計画はないと述べており、反対の材料も存在する。
同じ週に起きた、二つの動き
Googleは10月15日、AIモードとAI Overviewsでインラインリンクの存在感を高めると発表した。公式サイトが限られる用途では、回答上部に公式リンクを示す欄をテスト中で、時事性の高い話題向けの記事カルーセルも対象地域・言語を広げる。Preferred Sourcesの利用は年初比で7倍超になったという。ただしSearch Consoleでは、AI Overview内のリンクはすべて同じ1つの掲載順位として扱われるため、リンクが上に来ても指標上は変わらない。本誌のこの発表の分析記事も参照してほしい。
もう一つは、Search Engine Landが報じたDiscoverの方向性だ。根拠はGoogleの求人票で、Discoverを「目標達成を支援する、先回りで超パーソナライズされたコンシェルジュ体験」にするという趣旨の記述がある。これは公式発表ではなく、時期も示されていない。
考察:流入元の「面」ごとに別の戦い方が要る
以下は筆者の見方である。第一に、Googleは「リンクを出す」圧力を受けつつも、その置き場を自社の回答面の中に設計し直している。リンクは増えても、クリックされる保証はない。第二に、Discoverを含めた各面は、いずれも「Googleが解釈して提示する」形に近づく。流入の入口が、一覧ランキング一本から、複数のAI面に分散していく構図だ。
日本の読者への注意として、今回の数字はいずれも米国のものであり、日本の同等データは参照した記事に含まれていない。2028〜2030年という時期も、一人の分析者の試算にすぎない。確実に言えるのは、少なくとも「一覧の順位だけを見る運用」では、変化を捉えにくくなるということだ。
今から整えておくこと
- Search Consoleで生成AI機能への掲載状況を確認し、Preferred Sourcesの設定を検討する
- 順位とクリックに加え、ブランド名の言及や引用(AIに取り上げられた回数)を月次で記録する
- 自社の主要クエリを、AIモードとAI Overviewsで定期的に目視確認する
- 「Googleに解釈されても残る価値」(独自データ、一次情報、指名で検索される理由)を、記事企画の基準に加える
出典
- Search Engine Journal:SERPs Stop Being The Default Between 2028 & 2030
- Search Engine Journal:Google Puts Inline Links Higher In More AI Search Responses
- Search Engine Land:Google Discover to become a proactive, hyper-personalized concierge experience
- Google Careers:Principal, UX, Search Discover(求人票)