AIが回答する検索で、リンクはどこにあるのか。この問いに対するGoogleの一つの回答が、10月15日の発表だった。Hema Budaraju氏(VP, Product Management)名義のブログは、AIモードとAI Overviewのリンク表示について複数の変更を示している。
公式発表の中身:確定と「テスト中」を分ける
Google公式ブログに基づく整理は次のとおり。
- インラインリンクの増加と上位配置:回答文中のリンクを「大幅に」増やし、より上位に表示する。ただし増加幅の数値は示されていない
- 公式サイト枠(テスト中):特定のタスクで公式サイトが限られる場合、回答の最上部にそのリンクと有用な理由を表示する
- 記事カルーセル:旬な話題向けで「優先ソース(Preferred Sources)」を強調する。展開先の地域・言語を世界で拡大中
- 関連記事リンク:回答末尾の関連記事にサムネイルを付け、クリックしやすいデザインにする
- 検索プロフィールへのリンク(テスト中):AIモードの動画結果で、クリエイターや媒体の名前から検索プロフィールに遷移できる
また、優先ソースの利用者は年初から7倍超に増えたとしている。ここも絶対数は非公表だ。
報道が補う条件と、見落とせない留保
Search Engine Journalによれば、検索プロフィールは米国・カナダ・インドで、YouTube、Instagram、X、TikTokのいずれかでフォロワー1万人以上、かつ18歳以上のクリエイターや媒体が対象とされる。また、Googleのヘルプページ(10月15日確認)はAIモードを表示面として挙げていなかった。
最も重要な留保はSearch Engine Landのバリー・シュワルツ氏が指摘する点だ。Search ConsoleのAI関連レポートにはこれらの機能のクリック数がなく、そのうえSEJによれば、AI Overview内のリンクは全て概要の単一順位を共有するため、リンクを上に動かしても報告上の順位は変わらない。効果を測る手段が公式に用意されていない。
本誌の考察:「リンクを増やす」は誰のための改善か
筆者は、今回の変更を二つの力の綱引きと読む。一つは、AI回答がクリックを奪うという批判への対応だ。リンクを目立たせることは、publisherへの配慮を示すシグナルになる。もう一つは、Googleのプロダクト内に滞在させる力である。検索プロフィールへのリンクは、クリエイターの自社サイトではなくGoogleの着地面に遷移する点で、流入を外に出すというよりGoogle内で完結させる設計に近い。優先ソースの普及も、媒体選別をユーザー設定に外部化する一手と見ることができる。
もちろん別の見方もある。リンクの総量が増えれば、一部の媒体や公式サイトには確かな恩恵があるだろう。特に「公式サイト枠」は、サービス提供元や自治体、企業の公式ページにとって追い風になりうる。ただ、これもテスト段階で、恩恵の大きさは誰にも分からない。
日本のSEO担当者が今すべきこと
優先ソースや記事カルーセルは、世界展開の対象に日本が含まれるかを含め、時期が公表されていない。確認と準備を分けて動きたい。
- 公式ページの整備:タスク型クエリ(予約、手続き、問い合わせ)で自社の公式ページが最上位の候補になるよう、情報の正確性と構造を点検する。
- 優先ソース登録を促す導線:ニュース・メディア運営者は、Googleの公式ドキュメントを確認し、読者への案内を検討する。
- 成果指標を別に持つ:Search Consoleで測れない以上、AI面からの流入はアクセス解析側のセグメントと、指名検索の推移で補う。
本誌がDiscoverの方向性を扱った記事で触れたように、Googleは「どこでクリックが生まれるか」を継続的に組み替えている。見えない指標に一喜一憂するより、公式ページの質を上げる地味な作業のほうが、変更の方向がどちらに転んでも通用する。