2026年9月9日(水)
EC

8月24日、Merchant Centerの「オーガニック」が理由なく急減する——7月1日まで遡って数字が書き換わる仕様変更を、レポート提出前に知っておくべき理由

Googleは8月24日から、Merchant Centerのパフォーマンスレポートを変更する。YouTubeアフィリエイト経由の成果が「オーガニック」から分離され、YouTubeのオーガニック定義もYouTube側の基準に揃えられる。いずれも一時的にオーガニック指標が下がり、しかも7月1日まで遡って過去データが書き換わる。実際の販売が落ちていないのに前月比が崩れる——月次レポートを社内外に出すEC事業者が、8月24日より前に確認しておくべきことを整理する。

WebTech Journal 編集部

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EC担当者にとって、8月24日は「何もしていないのに数字が悪くなる日」になるかもしれない。しかも過去にさかのぼって。

Googleは8月11日、Merchant Centerのパフォーマンスレポート更新を公式ヘルプで告知した。適用開始は8月24日。変更は4点あり、うち2点は「オーガニックの数字が一時的に落ちる」と公式に明記されている。

何が変わるのか

  1. YouTubeアフィリエイト成果のオーガニックからの分離

クリエイターが商品を紹介してコミッションを得るYouTubeアフィリエイト経由の成果が、独立した「YouTube affiliate」という新しいトラフィック区分として計上される。これまで「Organic」に含まれていた分が外に出るため、公式ヘルプは「オーガニックトラフィックが一時的に大きく落ち込む可能性がある」と述べている。コミッション対象外の商品はこれまで通りOrganicのままだ。

  1. YouTubeオーガニック定義の変更

YouTube関連のオーガニッククリック・インプレッションの定義を、YouTube側の既存レポート基準に合わせる。これも一度きりの減少要因になるとされている。

  1. Google広告の商品単位レポート拡張

商品単位レポートが全広告チャネル・フォーマットに拡大する。P-MAXの全ネットワーク、動画、アプリ、デマンドジェネレーションのデータが含まれるようになり、今度は逆にインプレッションやクリックが一度きりで増える可能性がある。

  1. ネットワーク軸のセグメント(将来提供)

Google広告と同様の「ネットワーク」ディメンションが追加される予定。これは今回のリリースには含まれない。

落とし穴は「遡及」にある

実務上の最大の論点は、変更内容そのものではなく、過去データの扱いだ。公式ヘルプは、1と2について2026年7月1日まで遡って過去データも修正されると明記している。3の商品単位レポート拡張は遡及対象外だ。

この非対称が厄介である。オーガニック側は7月まで遡って下方修正され、広告側は8月24日以降だけ上振れする。結果として、8月24日をまたいでレポートを作ると、7月と8月でオーガニックと広告の見え方が別々のルールで動いていることになる。

とくに危ないのは、8月24日より前にスクリーンショットや手作業のスプレッドシートで7月分の数字を確定させ、社内やクライアントに提出済みのケースだ。同じ期間を後から見に行くと数字が合わない。「レポートの数字が間違っていた」と受け取られかねない。

「Q4前の棚卸し」として使う

この変更は面倒事だが、見方を変えれば整理の機会でもある。従来のMerchant Centerの「Organic」は、無料リスティング、YouTubeの露出、アフィリエイト的な成果が混ざった雑多な箱だった。今回の分離で、少なくとも「純粋な無料リスティングの実力」と「クリエイター経由の成果」が分けて見えるようになる。

クリエイター経由の売上が想像以上に大きかった、という事業者も出るはずだ。その場合、Q4商戦に向けた投資配分の判断材料になる。逆に、分離後の純オーガニックが想定より小さいなら、これまで無料リスティングの成果だと思っていたものの一部は他チャネルの寄与だったことになる。

本誌は8月9日にShopifyが8月17日からGA4に4つのイベントを自動追加する件を報じた。そこに今回のMerchant Center変更が重なると、8月後半のEC計測環境は「GA4側のイベントが増え、Merchant Center側のオーガニック定義が変わり、しかも過去に遡る」という状態になる。9月に8月分のレポートを作る時点で、前月比の異常値が複数の原因から同時に発生しうる。

8月24日までにやっておくこと

第一に、7月1日〜8月23日のMerchant Centerパフォーマンスデータを、変更前の状態でエクスポートしておく。CSVでもBigQueryでも構わない。後から「変更前はこうだった」と示せる形が一つあれば、説明コストが劇的に下がる。

第二に、社内・クライアント向けに事前告知を出す。事後に説明するのと事前に予告するのとでは、同じ内容でも受け取られ方がまったく違う。「8月24日にGoogle側の定義変更があり、オーガニック指標が一時的に下がります。販売実績の悪化ではありません」の一文があるかどうかだ。

第三に、YouTubeアフィリエイトの利用有無を確認する。自社商品がコミッション対象になっているかどうかで、減少幅はまったく変わる。対象外なら影響は限定的で、慌てる必要はない。

第四に、広告側の増加を成果と誤読しない。商品単位レポートの拡張でインプレッションとクリックが増えるが、これは計上範囲が広がっただけであり、需要が伸びたわけではない。CTRやCVRの分母が変わる点にも注意したい。

数字が動いたときに「何が起きたか説明できる」こと。それが計測担当の価値であり、今回はその準備をする時間が11日ぶん与えられている。

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