2026年9月27日(日)
SEO

「AI検索で消えるブランド」1億2600万件のプロンプト分析が示す寡占——日本の生活者はもう動き出している

SemrushはChatGPTやGemini、AI Overviewsなど主要4プラットフォームの検索結果1億2600万件を分析し、上位3ブランドが可視性の8割超を占める業界があることを明らかにした。一方、博報堂DY ONEの調査では日本の生活者の7割以上がこの1年でAI検索の利用頻度が増えたと回答。生活者の行動変化に企業の計測体制がどこまで追いついているのか、両調査を突き合わせて検証する。

WebTech Journal 編集部

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生活者は先に動いていた——AI検索利用「頻度増」7割超の衝撃

博報堂DY ONEが展開する「ONE-AIO Lab」が2026年3月に実施した調査(全国18〜69歳の男女2,800名対象)によれば、AI検索の利用者のうち72.9%が「1年前と比べて利用頻度が増えた」と回答した。67.8%は「新しい発見が増えた」と感じ、61.8%は「目的への到達が早くなった」と実感している。

興味深いのは使い分けの実態だ。約8割がWeb検索も継続利用しており、AI検索は「情報を要約・再構成してほしい」(35.1%)、「発想を広げたい」(23.2%)という目的で選ばれる一方、Web検索は「ざっくり知りたい」(42.6%)、「最近の情報を知りたい」(36.3%)という即時性の高い用途で使われる。AI検索とWeb検索は代替関係ではなく、目的によって使い分けられる共存関係にあるというのが、この調査から読み取れる実態だ。

ブランドの「見え方」は8割が3社に集中する

一方、海外に目を向けると景色は一変する。SEOツール大手Semrushが発表した「AI Visibility Index」2026年版は、ChatGPT、Google Gemini、Google AI Mode、Google AI Overviewsの4プラットフォームにおける2026年1〜4月の検索プロンプト1億2600万件を分析したものだ。

結果は業界によって可視性の集中度が大きく異なることを示した。ニュース・メディア分野では上位3ブランドが可視性の82.9%を占め、家電分野でも76.9%が上位3社に集中する。対照的に金融(41.4%)や産業(42.2%)ではより分散している。さらに、全プラットフォームで月次トップ100入りを維持できたのはYouTube、Google、Amazon、Apple、Walmart、Disneyなどわずか36ブランドのみだった。

プラットフォームごとの引用の癖も無視できない。ChatGPTは平均15件のソースを参照し、RedditやWikipediaへの依存が高い。一方Geminiは平均3件と参照元が狭く、ブランドが「言及」されても実際に「引用」される割合が30%まで落ち込むケースもあるという。

測定できていない企業が45%——ここに本当の課題がある

Semrushの調査でもう一つ見過ごせないのが、企業側の体制だ。マーケティング責任者の45%が「AI生成回答内でのブランド可視性を正確に測定できていない」と回答し、必要な指標をすべて追跡できるツールを持つのはわずか9%にとどまる。SEOとAI戦略を統合した組織はトラフィックやリード獲得で81%の増加を報告した一方、縦割りのままの組織は36%増にとどまったという対比も示された。

これらを重ね合わせると、構図が見えてくる。生活者の行動変化(日本)は既に統計に表れているのに、企業の計測・対応体制(グローバル)はまだ追いついていない。この「ズレ」こそがGEO(Generative Engine Optimization)対応の本質的な難しさだと考えられる。従来のSEOのように順位という単一指標で測れず、プラットフォームごとに引用のされ方も参照元も異なるため、「何をもって成功とするか」の定義づけ自体が企業ごとの宿題になっている。

もっとも、この調査はSemrush自身が自社ツールの必要性を示す文脈で発表したものであり、数値の解釈にはその点を割り引く必要がある。それでも、複数の独立調査が「測定の空白地帯」を指摘している事実は軽視できない。

マーケターが今すぐ着手すべきこと

日本企業にとっての実務的な示唆は明確だ。まず自社の指名検索・カテゴリ検索がChatGPTやAI Overviewsでどう扱われているかを定点観測すること。次に、引用されやすい一次情報(公式データ、独自調査、FAQ構造化)をコンテンツに増やすこと。そして何より、「順位」ではなく「引用のされ方」を追う新しいKPI設計に着手することだ。生活者側の変化はすでに始まっている。企業側の準備期間は、思われているより短い。

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