2026年9月2日(水)
データ分析

GeminiがAI流入で初めてPerplexityを抜く——年率644%成長の裏で進む「ChatGPT一強」の溶解と、日本企業のGEO戦略が見直すべき配分

Similarwebの3月集計で、Google Geminiが企業サイトへのAI由来リファラルでPerplexityを上回り、ChatGPTに次ぐ世界2位に浮上した。Geminiの年間成長率は644%、Claudeも298%、対するPerplexityは39%にとどまる。AI検索からの被参照という新指標が、依然ChatGPT78%という寡占の中でも内部構造を急速に組み替えている事実が示す、生成AI最適化(GEO)における配分見直しの論点を整理する。

WebTech Journal 編集部

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AI検索からの参照流入という比較的新しい指標が、ここ数か月で大きく構造を変えつつある。Search Engine JournalSimilarwebのデータを引いて報じたところによれば、3月の集計でGoogle Geminiが8.65%のAIリファラルシェアでPerplexity(7.07%)を初めて上回り、ChatGPTに次ぐ世界2位に浮上した。

数字でみる勢力図の変化

Similarwebが示した動きは劇的だ。

  • ChatGPT:依然として78.16%と寡占的シェア(Mediapostの集計では87.4%とする調査もあり、計測手法で振れ幅がある)
  • Gemini:1年前2.31%→3月8.65%。前年同月比+644%
  • Perplexity:1年前12.07%→3月7.07%。ピークから40%超の縮小
  • Claude:シェアは小さいが前年同月比+298%で台頭中

注目すべきは、ChatGPTのシェアそのものは大きく崩れていない一方、「2位以下の構図が完全に入れ替わった」点だ。先行していたPerplexityが減速し、後発のGeminiとClaudeが急伸している。Anthropic/Googleはともに、自社プロダクト(Claude Designなど)や検索本体との統合でユーザー接点を広げており、その効果がリファラルにも波及していると見るのが自然だろう。

なぜGeminiは伸びているのか——3つの仮説

第一に、Googleアカウント経由のディストリビューションの優位だ。Geminiは検索ボックス、Chrome、Android、Workspaceなど、ユーザーが既に毎日触れている動線に組み込まれている。新規アプリのインストールを必要としないことが累積で効く。

第二に、検索本体のAI Mode/AI Overviewsとの相互送客がある。AI Modeのなかで参照された外部リンクがGemini側にも反映されうる構造は、競合のスタンドアロン型AIには真似しにくい。

第三に、Perplexity側の「引用クリック比率」優位が、ユーザー体験面でじわじわと相対化されている可能性がある。Geminiの引用UIも改善が続いており、「Perplexityでないと引用が取れない」状態は薄れつつある。

ただし、これは中長期で必ず続くトレンドだとは断言しにくい。OpenAIが今後Web検索接続強化や独自ブラウザを投入すればChatGPT側の被参照量も伸びうるし、Perplexityも反転策を打ってくる可能性は十分ある。少なくとも「3月時点の瞬間値」として、構造が動いた事実だけは押さえておきたい。

日本企業のGEO戦略:3点の見直し

日本でも生成AI最適化(Generative Engine Optimization、GEO)の話題は急速に広がっているが、運用の実態は「ChatGPTに引用されるか」だけを目標にした単線的なものに偏りがちだ。今回の数字を踏まえると、配分の見直しが必要になる。

第一に、Geminiでの引用獲得を独立した目標として置く。GeminiはAI Overviews/AI Modeと出典ロジックを共有しており、ここに引用される=Google検索のAIサーフェス全般に露出するという含意がある。Search Console側で何が拾われているかをモニタリングする習慣をつける。

第二に、Perplexity依存度の点検。これまでPerplexity由来のセッションを「AI流入の代表値」として扱っていた組織は、計測方針を再設定する必要がある。シェアが縮小した参照元を主要KPIに置き続けると、AI最適化の意思決定全体が歪む。

第三に、Claude経由の参照を視界に入れる。シェアは小さいがClaudeの伸びは加速しており、特にビジネス系・専門領域の長文質問では引用先として急速に存在感を増している。BtoB領域の事業者にとっては、無視できないチャネルになりつつある。

楽観論への一言

「AI流入は全Web流入の1%程度」という事実は今も変わっていない。AI検索の話題が膨らむ一方、収益貢献の主戦場が依然オーガニック検索やSNSであることを忘れてはならない。だからこそ、AI最適化に投資する原資の配分は精度高く決める必要がある。「ChatGPTに引用されればよい」という単純前提を3月の数字は静かに更新した、というのが今回のニュースの含意である。

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