Googleは2026年4月15日、検索広告のAIキャンペーン形式「AI Max for Search」を正式にベータ卒業させたと発表した。あわせて、長年運用型広告の定番だった動的検索広告(DSA)、自動作成アセット(ACA)、キャンペーンレベルの部分一致設定を段階的に廃止し、AI Maxに一本化する方針を明らかにしている。
9月までに「DSA時代」は終わる
Googleが提示している移行スケジュールはシンプルだが容赦ない。4月からはAI Max移行支援ツールが順次提供され、9月以降はGoogle Ads UI/Ads Editor/Ads APIのいずれからも新規DSAキャンペーンを作成できなくなる。既存のDSA、ACA、キャンペーン単位の部分一致設定を使うキャンペーンは順次AI Maxへ自動アップグレードされる。
Googleの公式ブログによれば、AI Maxの全機能(検索語句マッチング、テキストカスタマイズ、最終URL拡張)を有効化したキャンペーンは、検索語句マッチング単体に比べてコンバージョン数またはコンバージョン値が平均7%増加したという。一見魅力的だが、この数字は「Googleが選んだ条件下で、Googleが提示する数値」である点を忘れてはならない。Digidayの取材でも、海外マーケターの間では「ブラックボックスの度合いがさらに増した」「広告主側のコントロール余地が減る」という懸念の声が並ぶ。
「ブランド除外設定」までAI Maxに飲み込まれた
もっとも実務的な影響を残すのが、ブランド除外(Brand Exclusions)機能がAI Max配下に移管されたことだ。Search Engine Landが報じたように、新規キャンペーンで競合ブランド名を除外したい場合、まずAI Maxを有効化しなければ設定パネルにアクセスできない。つまり「ブランドの安全を守る基本機能」を使うために「自動化を受け入れる」ことが事実上の前提となる。
これは単なるUI変更ではない。広告主から見れば、検索語句のコントロール、テキスト、URL拡張、そしてブランドセーフティ設定までもがAI Maxという単一の自動化レイヤーの内側に押し込まれることを意味する。これらを個別にチューニングできた時代は、今年9月で終わる。
日本の運用担当者が今動くべき理由
日本のGoogle広告運用は、これまでDSAをロングテール対策の定番として位置づけてきた現場が多い。BtoBや在庫数の多いEC、不動産・求人・旅行などの動的データを抱える業界は、DSAの自動URL対応が運用効率を大きく支えていた。9月以降、これらは強制的にAI Max環境に移ることになる。
今やるべきは次の3点だ。
- DSAキャンペーンのパフォーマンスをベンチマーク化する——4月~8月のCPA/ROAS/検索語句インプレッションシェアを記録しておき、移行後の「Googleが言う7%改善」が自社では本当に成立するかを検証できる状態にする。
- 検索語句レポートをエクスポートして残す——AI Max環境ではレポーティングの粒度や指標名が変わる。過去のDSAで獲得していた語句を外部に保存し、移行後にネガティブキーワード設定で除外したい語句を即座に投入できるよう準備する。
- ブランド除外リストを今のうちに整備する——競合社名・商標・誤解を生むキーワードのリストを、AI Maxへの自動移行が走る前に作り上げる。9月以降は「除外設定すること自体が自動化への参加を意味する」構造になる。
運用型広告における「キーワードで戦う時代」は、Googleの内部では確実に終わりつつある。AI Maxはその総仕上げであり、移行は不可逆だ。日本のチームに残された時間は約4か月。手作業のチューニング資産を、最後の段階でナレッジとして外在化しておくことが、移行後に取り返しのつかない差を生む。
出典
- Google's Dynamic Search Ads are upgrading to AI Max - Google公式ブログ
- Google to retire Dynamic Search Ads in favor of AI Max - Search Engine Land
- Google AI Max moves out of beta: Marketers sound off on the inevitable migration - Digiday
- Google Ads moves brand controls under AI Max in new search campaigns - Search Engine Land