「いいね」はもう主役ではない
Instagramの配信ロジックが2026年、はっきりと組み替わった。複数のソーシャル運用メディアの整理によれば、いまの評価は大きく4つの信号——視聴時間、DMでの共有(送信/sends per reach)、保存、プロフィールへの遷移——に再編されている。なかでもトップ責任者のアダム・モセリ氏は、視聴時間を最重要級の指標に挙げ、共有こそInstagramにとって最も強いシグナルだとする趣旨の発言を続けている(BufferやHootsuiteが継続的に追っている)。
ここで言う「共有」は、フィードに流すことではなく、ユーザーが投稿をDMで誰かに送る行為を指す。いいねが「自分が好き」の表明にとどまるのに対し、DM送信は「人に勧めたい」という最も強い意図を伴う。リーチ獲得の観点では、送信は“いいね”の数倍の重みを持つとされる。冒頭3秒で離脱されないか——視聴維持の最初の関門も、ここに直結する。
オリジナルか、使い回しか
もう一つの軸が、コンテンツの「オリジナル性」だ。各社の検証では、Instagram向けに作られた一次コンテンツは、他媒体からの転用・リポストより大幅に多く配信される(増加幅は調査により40〜60%以上と幅がある)。さらに、短期間にリポストを量産するアカウントはレコメンド対象から外れるという報告もある。TikTokで作った縦動画のロゴ入り素材をそのまま貼るだけ、という運用は、もっとも配信が伸びない選択になりつつある。
これは本誌が先日報じたTikTokの『フォロワーファースト』転換と完了率70%と、表裏一体の動きだ。プラットフォームは違えど、両者は同じ結論に向かっている——単発のバズより、特定の見る人に最後まで見られ、保存され、人に送られる投稿を高く評価する。一過性の拡散を狙う運用は、構造的に割に合わなくなっている。
日本ブランドが明日から変えること
実務への落とし込みは3点だ。第一に、KPIを「いいね数」から「保存数・DM送信数・視聴維持率」へ置き換える。インサイトで送信と保存を主要指標に据えるだけで、制作の評価基準が変わる。第二に、最初の3秒に最大の制作リソースを割く。結論やフックを冒頭に置き、視聴維持を最優先で設計する。第三に、TikTokやYouTubeの素材を“そのまま転載”しない。Instagram向けにキャプション、尺、テロップ、冒頭を作り直すだけで、オリジナル判定の側に回れる。
筆者が重要だと考えるのは、これらが小手先のハック合戦ではない点だ。「人に送りたくなる一本か」「保存して後で見返す価値があるか」という問いは、アルゴリズム以前にコンテンツの本質を突いている。日本のブランドアカウントは、投稿数のノルマより、送られる理由・保存される理由を一本ごとに設計する運用へ切り替える局面に来ている。