2026年10月17日(土)
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「入札値0.01」の裏技が公式機能に昇格した——Googleが計測と最適化を切り離した週に、同じ入札の前提が8月17日に変わるという皮肉

Google広告は8月7日、顧客獲得設定に「新規顧客の獲得をレポート」という第3の選択肢を追加した。入札に一切影響を与えずに新規顧客レポートが使える。これまで運用者は「新規顧客に高い入札」を選び、値に0.01を入れて実質無効化するという裏技でこれを実現していた。裏技の公式化は歓迎すべき変化だが、同じ8月17日にはスマートバイディングの挙動そのものが変わる。二つを重ねて読むと、Googleが運用者に何を残そうとしているのかが見えてくる。

WebTech Journal 編集部

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運用型広告の現場には、公式ドキュメントに載らない小さな裏技がいくつもある。そのうちの一つが、8月7日に正式な機能になった。

Google広告の「顧客獲得(Customer Acquisition)」設定に、第3の選択肢として「新規顧客の獲得をレポート(Report on new customers acquired)」が追加された。Search Engine Landの報道によれば、これを選ぶと入札調整を一切かけずに「新規顧客」「新規顧客の価値」列が使えるようになる。

何が「裏技」だったのか

これまで、新規顧客と既存顧客を分けて見たい運用者には選択肢がなかった。顧客獲得の設定は「新規顧客に高い入札をする」か「使わない」かの二択で、レポート列は前者を有効にしないと出てこなかったからだ。

そこで広まったのが、「新規顧客に高い入札」を選んだ上で、追加入札値に0.01という極小の値を入れる方法である。技術的には入札に影響しているが、値が小さすぎて実務上ほぼ無害。レポートだけを取り出す手段として、多くのアカウントで使われてきた。同記事はこの回避策の起点としてVasant Chaudhary氏に言及しており、今回の変更を最初に見つけたのはPPC専門家のThomas Eccel氏だとしている。

新機能は、この裏技を正面から不要にする。

「計測」と「最適化」を分ける、という思想

表面的には小さなUI変更だが、意味は小さくない。これまでGoogleの自動化機能の多くは、計測と最適化が抱き合わせだった。データを見たければ、その方向に最適化されることを受け入れる必要がある。今回の変更は、その抱き合わせを解いた事例だ。

なぜ重要か。新規顧客に高い入札をかけるべきかどうかは、ビジネスによって答えが違うからである。LTVが高く獲得コストを厚めに払える定期購入型なら「新規に厚く」は合理的だが、リピート前提の低単価商材で新規に寄せると、既存顧客からの安定した売上を自ら削ることになりかねない。「新規の内訳は知りたいが、そちらに寄せてほしくはない」——この極めて普通の要望に、ようやく公式の答えが用意された。

ただし過度な期待は禁物だ。新規顧客の判定は、コンバージョントラッキングタグに渡す新規顧客パラメータや、Googleが保有するデータに依存する。判定精度そのものが向上したという発表ではない。既存顧客リストのアップロードやパラメータ実装が甘いアカウントでは、レポートの粒度が上がっても中身の信頼性は上がらない。「見られるようになった」と「正しく見えている」は別である。

同じ月に、入札の前提そのものが動く

ここで、もう一つの動きと重ねたい。本誌が8月8日に報じた通り、Googleは8月17日にスマートバイディングの挙動を変更し、9月1日にはAI Maxへの自動アップグレードを開始する。予算制約下でも目標CPA・目標ROASを尊重する方向への変更だ。

並べると、8月のGoogle広告は「レポートの自由度は上がったが、入札の前提は勝手に変わる」という月になる。この組み合わせを筆者はこう読む——Googleは運用者に対し、入札の細かい制御ではなく、何を成果と定義し、それをどう計測するかという上流の仕事を担わせようとしている。入札は機械に任せる、目標設定と計測設計は人間が持つ、という役割分担だ。

この見立てが正しければ、運用者の評価軸も変わる。「入札調整でCPAを何%下げたか」より、「新規顧客とは何かをどう定義し、その定義をタグとオーディエンスにどう落とし込んだか」のほうが効いてくる。後者はツールの外側の仕事であり、代替されにくい。

実務としてやること

まず、0.01ハックを使っているアカウントの棚卸し。新機能への切り替えは難しくないが、切り替えのタイミングと8月17日の入札変更が重なると、変化の原因が切り分けられなくなる。可能なら日をずらし、切り替え日をメモに残したい。

次に、新規顧客判定の実装確認。コンバージョンタグの新規顧客パラメータが正しく渡っているか、既存顧客のデータが十分にGoogle側へ提供されているか。ここが穴だと、新しい列はただの推定値になる。

最後に、「新規に寄せる」判断を数字で検証し直す。これまで裏技で入札への影響を封じていた事業者は、実は一度も「新規に寄せた場合」を試していない可能性がある。計測と最適化が分離された今、レポート専用モードで一定期間データを貯めてから、寄せる価値があるかを判断する——という順序が初めて取れるようになった。裏技の卒業は、その入り口でもある。

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