2026年10月12日(月)
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10月1日、Microsoft広告からMax CPCが消える——9月のGoogle AI Max自動移行と並べると、「上限を自分で置く」運用が同じ四半期に終わる

Microsoft広告が10月1日から、新規の単独入札戦略キャンペーンで上限クリック単価(Max CPC)の設定を認めなくなる。対象はMaximize Conversions、Maximize Conversion Value、Maximize Clicks。既存キャンペーンは維持され、ポートフォリオ入札とeCPCは対象外だ。同じ四半期、GoogleはAI Maxへの自動移行を9月1日から30日にかけて進めている。技術的には別物の2つを並べると、運用者が「柵」で守れる範囲の縮み方が見えてくる。

WebTech Journal 編集部

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Microsoftが外すもの、残すものは、はっきり分かれている

Microsoft広告は2026年10月1日から、新規キャンペーンで以下の単独(standalone)自動入札戦略を使う場合、Max CPCを設定できなくする。

  • Maximize Conversions(コンバージョン数の最大化)
  • Maximize Conversion Value(コンバージョン価値の最大化)
  • Maximize Clicks(クリック数の最大化)

一方、残るものも明示されている。Microsoft広告のプロダクトリエゾンであるNavah Hopkinsは、Target Impression Share、eCPC、そしてポートフォリオ入札戦略ではMax CPCの制御が引き続きサポートされると確認している。10月1日より前に作成された既存キャンペーンも、Max CPC設定を保持する。

Microsoftの説明はこうだ。Max CPCの上限は自動入札の妨げになりうる。広告主が申告したパフォーマンス目標を上書きしてしまい、消化ペースの不整合を生む可能性がある。tCPA(目標コンバージョン単価)やtROAS(目標広告費用対効果)を使う広告主のほうが、Max CPCのようなレガシーな制御に頼る広告主より目標を達成しやすい傾向がある、とも述べている。

同じ四半期に、Googleは移行を実行している

Googleは2026年9月1日から30日にかけて、キャンペーンレベルのブロードマッチ設定と自動作成アセット(ACA)を使うキャンペーンを、AI Maxへ自動移行している。全アカウントが9月1日に一斉に切り替わるのではなく、期間内に順次移行する形だ。

移行後のデフォルトは公表されている。ACAを使っていたキャンペーンは、検索語句マッチング(search term matching)とテキストカスタマイズが有効の状態でAI Maxになる。キャンペーンレベルのブロードマッチを使っていたキャンペーンは、検索語句マッチングが有効の状態になる。

そして2026年8月3日以降、キャンペーンレベルのブロードマッチとレガシーなACAは、管理画面・Ads Editor・APIのいずれからも新規作成できなくなっている。Dynamic Search Adsの自動移行は2027年2月に延期された。Googleは広告主から第4四半期の計画リスクへの懸念を受けたと説明している。

2社の変更は別物だが、運用者への影響は同じ形をしている

念のため確認しておくと、この2つは技術的には別の話だ。Microsoftは入札の上限値を外す。Googleはマッチングとアセット生成の裁量を広げる。片方は「いくらまで払うか」、もう片方は「どのクエリに出すか」の話であり、直接の関係はない。

だが運用者の手元で起きることは似ている。「ここから先には行かせない」という明示的な柵が、どちらのプラットフォームでも減る。

Max CPCは、コンバージョンデータが薄いアカウントにとって、想定外に高いクリックを踏まないための保険だった。それが外れると、守りの手段は予算と目標値(tCPA/tROAS)だけになる。予算はキャンペーン単位の総量制御であって、1クリックの高騰は止められない。目標値はコンバージョンデータの質に完全に依存する。

Search Engine Landの整理はこの点に正確だ。結果が良くなるかどうかは、広告主のコンバージョンデータの質、設定する目標値、そしてMicrosoftの入札システムがそれらのシグナルにどれだけ的確に反応するかに依存する。つまり、良くなる保証はない。良くなる条件がある、という話だ。

公平のために反対側も書いておく。Max CPCを上限として置いた結果、自動入札が本来落札できたはずの安価で質の高いオークションを逃していたケースは実在する。上限を外したほうが成果が上がるアカウントもあるだろう。問題は、それが「どのアカウントか」を事前に判別する手段が、広告主側にほとんど渡されていないことだ。

日本市場での効き方

日本のリスティング運用は、GoogleとYahoo!広告の二正面が長く標準だった。Microsoft広告の国内シェアは限定的で、「10月1日にMax CPCが外れる」と聞いても他人事に見えるかもしれない。

だが、これは順番の問題だと筆者は見ている。手動上限の撤去は、Microsoftが先に踏み込んだだけで、Googleがすでに同じ方向に進んでいる。本誌が先日報じた9月、Google広告から「言語」の設定が消えるも、同じ「運用者が手で置いていた条件が消える」系列の変更だった。個別に見れば小さな設定変更でも、四半期単位で並べると方向は一つしかない。

過去の類似事例からの推定として、Googleが同種の上限撤去に踏み込むなら、まずは新規キャンペーン限定・既存は据え置きという形を取る可能性が高い。Microsoftが今回まさにその形を取り、既存キャンペーンとポートフォリオ入札を除外した。運用者に「移行の猶予がある」と感じさせつつ、新規作成の導線から先に潰す。GoogleがブロードマッチとレガシーACAの新規作成を8月3日に止めてから9月に自動移行したのと、同じ順序だ。

今から準備できること

  • コンバージョンデータの質を先に直す。 上限が外れた後の安全装置は目標値だけになる。計測が壊れているアカウントで自動入札に舵を切ると、被害は上限がある時より大きい。重複計測、マイクロコンバージョンの混入、遅延コンバージョンの扱いを先に整理する
  • ポートフォリオ入札戦略の使い方を覚えておく。 MicrosoftではポートフォリオがMax CPC制御を維持する。上限を残したい要件があるなら、単独ではなくポートフォリオで組む選択肢がある
  • 9月中にGoogle側の移行状況を確認する。 AI Maxへの移行は9月30日までの期間内に順次実行される。検索語句マッチングとテキストカスタマイズがデフォルトで有効になっている前提で、除外キーワードとブランドセーフティの設定を見直す
  • 既存キャンペーンの棚卸しを今やる。 MicrosoftもGoogleも既存キャンペーンには猶予がある。だが猶予はいつか終わる。上限に依存した設計になっているキャンペーンを、今のうちに洗い出しておく
  • Q4のリスク許容度を決めておく。 GoogleがDSAの移行を2027年2月へ延ばした理由が「Q4の計画リスク」だったことは示唆的だ。プラットフォーム側もQ4の危険性は認識している。自社のQ4施策で、どこまで自動化に任せるかは事前に決めておくべきだ

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