楽天グループが2026年9月17日、「楽天市場」の基本出店料を2027年2月1日から最大38%引き上げると発表した。スタンダードプランは月額6万5000円から9万円へ、メガショッププランは13万円から18万1000円へと、対象6プランすべてで数万円単位の値上げになる(日本ネット経済新聞の報道)。既存店舗には2027年2〜5月に差額の70%を割り引く経過措置が設けられるが、6月以降は全額請求となる。
Yahoo!ショッピングも9月に有料化——2社がほぼ同時に負担増へ
これは偶然の一致ではない。本誌が9月25日に報じた通り、LINEヤフーは同じ9月、「eコマース革命」以来12年守ってきたYahoo!ショッピングの無料出店モデルを転換し、月額1万円のシステム利用料と売上ロイヤリティ2.5%を新設したばかりだ。楽天とヤフー、国内出店社数で上位を占める2つのモールが、わずか1週間程度の差でほぼ同時に出店者負担増に踏み切ったことになる。
楽天は値上げの理由を「物価やエネルギー費、システム投資の高騰」と説明している(通販通信ECMOの報道)。一方で、月額1万円だった「CSV商品一括編集機能」を2027年1月から全店舗の標準機能として無料化する方針も同時に示した。値上げと機能無料化を抱き合わせることで、負担増への反発を和らげる狙いがあると考えられる。
なぜ今なのか——AI投資コストの回収という側面
楽天は2026年下半期の戦略として、AIを軸にした売り場づくりを強化している。「AIコンシェルジュ」の利用は3月から6月にかけて約10倍に増え、店舗向けAIツール「Rakuten AI for RMS」の利用も2024年末から2026年5月で倍増した(ネットショップ担当者フォーラムの報道)。表向きの値上げ理由は物価・エネルギー高だが、こうしたAI機能への継続投資コストを出店料に転嫁する側面も無視できないというのが筆者の見立てだ。Yahoo!ショッピングの有料化理由も「AI活用支援の強化」とされており、両モールに共通する構図が透けて見える。
もっとも、この見方には異論もあり得る。楽天・ヤフーいずれも公式にはAI投資と値上げの直接的な因果関係を認めておらず、単純な原材料費・人件費の上昇分の転嫁という説明を額面通りに受け止めるべきだという声もあるだろう。値上げの真因がどちらであれ、出店者にとって実務上の対応は変わらない。
Yahoo!ショッピングの「価格優位性」も縮小
Yahoo!ショッピングは初期費用・月額無料という価格優位性を武器にしてきたが、今回の有料化でその差は縮小した。楽天のスタンダードプラン改定後の月額9万円と比べれば依然として低コストだが、売上ロイヤリティ2.5%とLINEショッピングタブ経由の送客手数料(カテゴリ2〜4%)を合算すると、売上規模の大きい店舗ではむしろ楽天より負担が重くなるケースも出てくる。
EC事業者が年末商戦前にすべきこと
第一に、自社の出店プラン・売上構成を前提に、楽天とYahoo!それぞれの新料金体系で実質負担額を試算し直すこと。第二に、楽天ではCSV機能無料化やプロモーション手数料引き下げ(3%→2%)といった相殺策を活用し尽くすこと。第三に、モール依存度を見直し、自社ECやTikTok Shopなど新興チャネルへの分散を検討することだ。値上げは2027年2月からだが、年末商戦の販促計画を固める今の段階で、来期のコスト構造を織り込んだ出店戦略の再設計に着手する価値は十分にある。