2026年9月20日(日)
SEO

ローカル検索の「顔」がAI Overviewになった——自動音声で店舗に電話をかけ始めたGoogleと、MEOの前提が外れる2か所

ローカルのナレッジパネル上部に「AI Overview」ラベルが付き、Show moreでAI Mode風のチャットに入る挙動が9月17日に確認された。同じ週、Googleビジネスプロフィールには、自動アシスタントが電話やチャットで収集した情報を確認・削除できる「Collected info」タブが正式提供されている。店舗情報の一次取得元と表示形式が同時に変わりつつある。日本展開前にやれる備えを整理した。

WebTech Journal 編集部

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ローカル検索で店名を調べたときに出る情報のかたまり——ナレッジパネル、実体はGoogleビジネスプロフィール——の上に、「AI Overview」というラベルが付き始めた。

確認されたこと

Search Engine Roundtableは9月17日、Ben Fisher氏がLinkedInで報告した挙動を自ら再現したと報じている。ローカルのナレッジパネル最上部に「AI Overview」の表示があり、その下に「Show more」ボタンが置かれる。押すとAI Mode風のフォローアップ・チャット画面に遷移する、という流れだ。

同誌のBarry Schwartz氏は、自分はこの変更を好まないが、Googleがあらゆる体験をAI化している以上は驚きもない、という趣旨のコメントを添えている。現時点では限定的な展開と見られ、Googleの公式発表は伴っていない。日本での提供状況も本稿執筆時点で確認できていない。

もう一つの変化:Googleが店舗に電話をかけている

同じ週の9月14日、Googleビジネスプロフィールの管理画面に「Collected info(収集された情報)」タブが正式提供された。GoogleはXで、自社の自動アシスタントが検証した詳細をプロフィールのダッシュボード内で確認でき、古くなった情報は削除できる、と告知している。

タブに表示される説明文はこうだ。この情報は、あなたのビジネスとの電話またはチャットでの会話で収集されたものであり、あなたのビジネスを同様のサービスを探している顧客とマッチさせるために使われる——。

ヘルプドキュメントによれば、Googleはプロフィールに登録された検証済みの電話番号に対し、自動メッセージによる通話・テキスト・WhatsAppで連絡することがあり、その応答内容がプロフィールの更新に使われる。ただしこの機能は対象の地域・言語・業種が限定されており、すべてのユーザーが使えるわけではない、とも明記されている。

2つを重ねると、MEOの前提が2か所同時に外れている

ここからは考察だ。この2つは別々のニュースとして報じられているが、重ねると意味が変わる。

入力側の変化。 これまでローカル情報の一次取得元は、事業者が自分で更新するビジネスプロフィールと、Googleがクロールする自社サイト・第三者サイトだった。そこに「Googleの自動音声が店に電話して聞き取る」という第三の経路が加わった。事業者が能動的に更新しなくても情報が入ってくる、ということは裏返せば、現場のスタッフが電話口で答えた内容が検索結果に反映されうる、ということでもある。

出力側の変化。 ナレッジパネルがAI要約になるということは、「プロフィールに登録した属性がそのまま表示される」構造から、「登録情報・クチコミ・サイト・収集情報をGoogleが要約して提示する」構造へ移るということだ。何が要約に採用されるかを、事業者は直接には制御できない。

つまり、入口も出口も事業者の手を離れる方向へ動いている。サイト単位で信頼を失うという話の、ローカル版だと言ってもいい。

懐疑的に見るべき点

過剰反応は禁物でもある。ナレッジパネルのAI Overview化は現時点でテスト段階の目撃報告であり、Google自身の発表を伴っていない。Googleはローカル領域で何度もテストを行い、そのまま消えた機能も少なくない。Collected infoも対象が限定されている。

また、自動架電の受容性は市場によって違う。日本では「Googleを名乗る自動音声の電話」は、MEO業者を装った営業電話や詐欺と見分けがつきにくい。実際に日本展開されるなら、事業者側の警戒と混乱は米国より大きくなる可能性が高い。ここは「来ても慎重に扱う」領域だ。

今できる備え

  • Collected infoタブを定例確認に入れる。 自社のアカウントで表示されるかをまず確認する。表示されるなら、週次または月次のチェック項目に加える。誤った情報は削除できる。
  • プロフィールの電話番号と、その先の運用を決める。 自動連絡はこの番号に来る。誰が出るか、何を答えるか、答えてよい範囲はどこまでかを、店舗側で決めておく。
  • 要約に拾われる材料を整える。 営業時間、サービス項目、属性、クチコミへの返信といった構造化された情報は、AI要約の材料として使われる可能性が高い。事業者が手を入れられるのはここだけ、という前提で優先順位を付ける。
  • 「Googleを名乗る電話」への社内ルールを先に作る。 日本で始まる前に決めておけば、詐欺電話との切り分けも同時に整理できる。ここは防御の話だが、始まってからでは遅い。

ローカル検索は長らく、「プロフィールをきちんと埋めれば効く」という比較的わかりやすい領域だった。その前提が、入口と出口の両方から崩れ始めている。