Googleは、パブリッシャーが検索とDiscoverでフォロワーを獲得できる「Search profiles」の取得ハードルを、2か月足らずで10分の1にした。この下げ方の速さに、意図が出ている。
何が変わったか
Search Engine Landが9月16日に報じたGoogleの説明によれば、更新点は4つある。
フォロワー要件の引き下げ。 ローンチ時、Search profilesの取得にはYouTube・Instagram・X・TikTokのいずれかで10万フォロワーが必要だった。約1か月前に3万5000人へ下げられ、今回さらに1万人になった。4プラットフォームのうち、どれか1つで1万人に達していればよい。
1ログインで複数プロフィール。 サブブランドごとに別のGoogleアカウントを用意する必要がなくなり、単一のログインで全プロフィールを申請・管理できるようになった。複数媒体を持つ出版社にとっては実務的に効く変更だ。
記事表示のデザイン刷新。 Googleは「人々がコンテンツを見つけ、より深く読み進めやすくするため」と説明している。サムネイル画像が最適化され、見出しの表示可能文字数も増えた。
バッジ。 Googleは、自社サイトにSearch profileのバッジを設置する方法のヘルプドキュメントを公開した。サイト訪問者が、その場からパブリッシャーをフォローできる。
同じ週に、Discoverのデスクトップ版が静かに消えている
対になる話がある。Search Engine Roundtableは9月17日、Google.comのデスクトップ版Discoverがここ数か月見当たらない、と報じた。Googleは2023年にテストし、2025年に提供を表明して展開を開始していたが、また定着しなかった形だ。
つまりGoogleは、「アルゴリズムが選んで見せるフィード」をデスクトップで安定させられない一方で、「ユーザーが自分で選んでフォローする」プロフィールのほうは、要件を急速に緩めて対象を広げている。
交差して読むと、Googleは2つのものを配り始めている
ここから先は筆者の考察だ。
本誌が9月17日に報じたように、GoogleはAI Mode・AI OverviewsやGeminiで使ったコンテンツに対価を支払うテストを始めている。そして今回、フォロワー獲得の導線を広く開放した。つまり金と読者、2つを同時に配り始めているということだ。
理由は明快だろう。AI検索が進むほど、クリックはパブリッシャーに届かなくなる。届かないまま放置すれば、コンテンツの供給者が離れるか、規制と訴訟が加速する。対価と再訪導線は、その摩擦を緩めるための装置に見える。
ただしパブリッシャー側から見ると、この装置には条件が付いている。フォロー関係はGoogleのプロダクト内に存在する。読者との接点をGoogleに預けるということは、自社のメールマガジンやLINE公式アカウント、アプリといった「自分で持てる接点」と競合するということでもある。過去にGoogleは、育ったチャネルの仕様を一方的に変えたり、畳んだりしてきた。デスクトップDiscoverがまさにその例だ。
もう一つ、実効性の問題もある。バッジやフォローが実際にどれだけの再訪を生むかは、まだ誰も知らない。要件が1万人まで下がったということは、Google側も想定ほど普及していないと判断した可能性がある。これは推測だが、10万→3万5000→1万という下げ方の速さは、そう読むのが自然だ。
日本のメディア・企業が今やること
Search profilesの日本での提供状況は、本稿執筆時点で確認できていない。そのうえで、準備としてやれることを挙げる。
- SNSフォロワー数を4プラットフォーム横断で棚卸しする。 合算ではなく、YouTube・Instagram・X・TikTokのどれか1つで1万人。合算では足りないが、逆に言えば得意な1つに絞って伸ばせば要件を満たせる。BtoB企業がXだけで1万人、という形でも条件上は成立する。
- サブブランドの管理をまとめる準備をする。 単一ログインで複数プロフィールを管理できるようになった。誰がその「単一ログイン」を持つのかを先に決めておく。アカウント権限は、後から整理するほど面倒になる。
- Google内のフォロワーを、自社の接点に引き継ぐ設計を先に決める。 フォロワーが増えてから考えると、Googleの仕様変更に振り回される。バッジを置くなら、自社のメール登録導線も同じ場所に置く。
「検索で見つけてもらう」だけの時代が終わりかけている、というのは何度も言われてきた。ただし今回のように、Googleが自分で代替の導線を作って配り始めるというのは、それが建前ではなくビジネス上の必要になったことを意味する。配られたものを使うかどうかは別として、何が配られているかは把握しておきたい。