2026年9月9日(水)
業界動向

生成AI広告を「積極的に活用すべき」は4.3%——JIAA調査が引いた日本の受容線と、9月4日に迫るGoogle広告のオプトアウト期限

JIAAの2026年ユーザー意識調査で、生成AI広告を「積極的に活用すべき」と答えた人はわずか4.3%だった。受容の第1条件はAI利用の明記、最も抵抗が強いのは「声」。同じ月にGoogle広告はPerformance Max動画の生成AIリサイズをデフォルト適用し、オプトアウト期限を9月4日に設定。Adobeは音声生成を正式提供した。作る側の自動化と、受け取る側の要求のズレを数字で確認する。

WebTech Journal 編集部

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見出しになりやすいのは「52.0%が容認」のほうだ。だが内訳を開くと、日本のユーザーが引いている線はもう少し厳しい。

無条件の肯定は、ほぼ存在しない

JIAA(日本インタラクティブ広告協会)が公表した「2026年インターネット広告に関するユーザー意識調査」によれば、生成AIを活用した広告について「積極的に活用すべき」と答えたのは4.3%。「条件が整えば活用してよい」が52.0%で、この2つを足して初めて過半数になる。一方、「あまり活用すべきではない」「活用すべきではない」の合計は43.7%だ(Web担当者Forumの報道による内訳)。調査は2026年2月にビデオリサーチが実施し、全国15〜69歳の3,591サンプルを回収している。

つまり、無条件の賛成派は20人に1人しかいない。受容は「条件付き」に集中しており、その条件が何かこそが実務の論点になる。

JIAAによれば、受け入れやすくする条件の第1位は「生成AIを活用していることの明記」だった。「法律・ガイドラインによる規制」「実在人物・キャラクター等の許諾明記」が続く。逆に抵抗感が強いのは「故人や実在人物」「声・会話」といった、人格に触れる表現である。

年代差も出ている。10代は「積極的」+「条件付き」の合計が66.0%と最も高い。ところが、現在の生成AI広告に「本物らしさがない/不自然」という印象を持つ割合も、10代が41.8%(全体26.4%)と最も高かった。寛容だが、目は肥えている。この二重性を「若年層はAIに寛容」と一言で片づけると、クリエイティブの判断を誤る。

同じ月、プラットフォームは逆方向に進んだ

ユーザーが「明記」を求めている同じ月に、広告プラットフォームは生成AIによる自動加工をデフォルト側へ寄せている。

Google広告は8月17日、Performance Maxの既存動画アセットについて、不足しているアスペクト比を生成AIで補完する機能を告知した。従来の横型→縦型・正方形への変換を拡張するものだ。PPC News Feedによれば、適用を望まない広告主はアカウントチームに連絡するか、2026年9月4日までにオプトアウトフォームを提出する必要がある。既定は「適用する」側だ。

制作側の道具も同じ週に進んだ。Adobeは8月20日、Adobe Fireflyの「音楽を生成」「音声を生成」「効果音を生成」を製品版として提供開始している。音声はFirefly Speech ModelとElevenLabsを選択でき、台本を声・速さ・感情表現まで調整して読み上げさせられる。商用利用可能なライセンス設計つきだ。

並べるとわかりやすい。JIAAの調査で最も抵抗感が高かった「声・会話」が、まさにこの月に量産可能な工程になった。

信頼度18.3%という地面の上で、それをやる

同じ調査から、もうひとつ見落とせない数字がある。インターネット広告を「信頼できる」と答えた人は18.3%。2025年調査の21.6%から下がった。「信頼できない」は40.7%だ。詐欺広告は各タイプとも約7割が認知しており、過去1年以内の接触経験は10〜20%台。にもかかわらず通報経験は4.9%にとどまる。

JIAAはさらに、掲載サイト・アプリと広告の評価が相互に影響することを指摘している。広告の内容が信頼できても、掲載面が不快なら評価は下がる。逆もまた然りだ。

ここからは筆者の見立てになるが、この地合いで「AIで作ったことを明記しない」を選ぶのは、コンプライアンス以前に運用上の判断ミスだと考えている。日本には現時点で生成AI広告の表示義務はない。だが表示を求めているのはユーザーの側で、しかもそれが受容の第1条件として挙がっている。明記は規制対応ではなく、受容の前提条件として本人たちが提示しているものだ。

もっとも、反論もありうる。「明記を求める人が多い」ことと「明記があると実際にCVRが上がる」ことは別の話だ。表示が逆に警戒を生む可能性は否定できないし、この調査は態度を測っているのであって行動を測ってはいない。だからこそ、思い込みで決めずにA/Bで確かめる価値がある。

9月4日までに決めておくこと

  1. Performance Maxの動画設定を確認する。 生成AIによるアスペクト比補完を許容するのかしないのか。ブランドの表現統制が厳しい業種——金融、医療、人物を起用したBtoC——は、9月4日を過ぎる前に判断を下しておく。過ぎてからでもアカウント内で設定変更はできるが、その頃には生成済みのアセットが配信に乗っている。

  2. 社内に「生成AIをどこまで使うか」の線を引く。 JIAAの結果に沿うなら、実在人物・声・故人に触れる表現は当面避け、使う場合は許諾と明記をセットにする。ガイドラインを作るというより、判断が割れたときの拠り所を1枚用意しておく話だ。

  3. 明記の文言をテストする。 「AI生成」「AIを使用して制作」「一部AI生成」で反応は変わる。態度調査が示しているのは方向であって、最適解ではない。

生成AIは、もう「使うか否か」の議論ではない。使ったことをどう伝えるかの設計が、次の1年の差になる。

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