Amazonの広告事業の伸びが、第3四半期に前年比11%へ鈍化した。だが同社はこの数字を「Prime Dayの開催時期ずれによる一時的な歪み」と説明し、第4四半期は「high teens(10%台後半)」への回復を見込む。額面どおり受け取ってよいのか。数字を並べて確かめる。
事実:広告売上は196億ドル、成長率は11%(為替除き12%)
Amazonの決算発表によると、第3四半期の広告サービス売上は196億ドルで前年同期比11%増(為替の影響を除くと12%増)。同社はこの成長が「timing anomalies primarily related to Prime Day(主にPrime Dayに関連する時期のずれ)」の影響を受けたと説明している。2026年は主要国の大半でPrime DayがQ2に開催されたが、2025年はすべてQ3だった。Amazonは、この時期ずれを除けば第3四半期の純売上高の成長率は約400ベーシスポイント高かったとする。ただし、この400ベーシスポイントは会社全体の純売上高についての数字で、広告に限った補正値ではない。
Relevant Audienceの整理では、広告売上は第3四半期が19,637百万ドル、第2四半期が19,809百万ドルで、前期比では約0.9%減った。第2四半期の広告成長率は為替除きで26%だった。第2・第3四半期を合算すると約18.1%増になる(同社の算出値)。つまり、Prime Dayが2つの四半期にまたがって移動したことで、26%と12%という見かけの落差が生まれている可能性が高い。
第4四半期の見通しについて、Amazonは広告売上が前年比で「high teens」の成長を見込むと明言した。金額は示していない。仮に17〜19%の成長だとすると、第4四半期の広告売上は約249億〜254億ドルになる。これは2025年第4四半期の213億1,700万ドルを基準に筆者が試算した値で、Amazonの予測ではない。
考察:「時期ずれ」説は半分正しく、半分は検証できない
ここから先は筆者の見立てだ。上の合算値を見る限り、Prime Dayの移動が成長率の見え方を大きく変えたという説明には筋が通る。四半期ごとの前年比だけで広告の勢いを判断すると誤読する、というのが最大の教訓だ。
一方、Amazonは成長率の鈍化について、Prime Day以外にも「a couple other timing factors(他のいくつかの時期要因)」があったと述べるだけで、中身を明かしていない。ここは検証できない。説明を一部の要因に帰す企業の決算説明は、数字の確からしさを読者が自力で確かめられない点に注意が必要だ。
比較対象も置いておく。同じ時期のGoogleは、検索広告の成長率が第1四半期19%、第2四半期17%、第3四半期12%と2四半期連続で鈍化した(Search Engine Journal)。Googleの鈍化には為替や小売の需要などが挙げられ、単純な時期ずれでは説明されていない。一方Amazonは「時期」で説明している。同じ広告市場でも、鈍化の質が違う。
日本の運用者がやるべきこと
- 前年比の比較を補正する:Amazon広告の2026年の成績を前年と比べるときは、Prime Dayの開催月がずれた影響を考慮する。日本での開催時期は、本稿では確認できていない。自社アカウントのカレンダーで確認してほしい。
- 第4四半期の予算を「前年同期比」ではなく「直近のレベル」から組む:ブラックフライデー(2026年は11月27日)前後は競争が強まる。Amazonが回復を見込む第4四半期は、入札単価の上昇圧力も強い前提で計画する。
- 他媒体の予算配分を見直す:Amazon広告が10%台後半の成長に戻るなら、媒体全体の競争は第4四半期に再び強まる。
Amazonは第4四半期の見通しを数字で示した。実績が出る2027年2月の決算で、この「回復」が本当に時期ずれだけだったのかが答え合わせになる。本誌はその時点で再検証する。