広告主が作った文面とは違う広告が、本人の承認なしに配信される。ChatGPT広告で、それが初期設定になった。
初期オンになった「クリエイティブ・エンハンスメント」の中身
広告主宛メールの日付は10月30日開始だが、OpenAIのヘルプページは10月29日と記載しており、PPC Landが食い違いを指摘している。いずれにせよ、新規・既存のキャンペーンで機能が初期オンとなった。
Search Engine Journalの報道によれば、システムは次の4つを自動で行える。
- 見出しと説明文の書き換え、または新規作成
- 広告文の他言語への翻訳
- 画像のリサイズ
- 遷移先URLを、広告主サイト内の別ページへ差し替え
バリエーションは会話の話題、ユーザーの関心、広告そのもの、ランディングページをもとに生成され、事前または会話中に作られる。広告主の承認は不要で、Ads Managerにバージョンごとのプレビューもない。オプトアウトはAds Managerの設定から可能だが、テキスト・翻訳・画像・URLを個別に切ることはできず、一括のオンオフのみだ。
見落としやすい3つの論点
-
遷移先が変わったとき、計測は生きているか。 OpenAIは遷移先URLにUTMを付けるよう案内している。ただしSearch Engine Journalによれば、遷移先が差し替えられた場合にパラメータが引き継がれるかは、ヘルプに記載がない。
-
何が配信されたかを後から追えない。 バージョン別のレポートは記載されておらず、OpenAI自身も、時間経過による変化だけでは機能の効果を示せないと説明している。成果が上下しても、原因が文面なのか遷移先なのか切り分けにくい。
-
責任の所在が未回答。 PPC Landは、強化版が広告ポリシーの審査を受けるのか、生成文の表示義務はあるのか、広告ツール規約上の責任はどう配分されるのかについて、OpenAIが説明していないと整理している。OpenAIは性能データも公表していない。
日本市場への翻訳(考察)
日本のユーザー向けには、アドタイムズの報道によると、OpenAIが6月10日にプライバシーポリシー改定を通知し、6月22日以降に広告表示が始まる見通しとされた。表示対象はFreeとGoプランで、Plus以上には出ない。
日本語広告では翻訳が働く場面は限られるかもしれないが、書き換えとURL差し替えは日本語でも起こりうる。ここから先は筆者の見立てだが、薬機法・景品表示法の影響を受ける化粧品、健康食品、金融などの業種では、承認前提の表現管理が崩れるリスクがある。「表示された文面を広告主が確認できない」という構造は、社内の広告審査フローと相性が悪い。
一方で、会話の文脈に合わせた文面が成果を押し上げる可能性もある。実務者の反応は割れており、機能をオフにすると述べる人もいれば、リード品質の低さからテスト自体を止めた人もいる。ただしこれは2人の投稿に過ぎず、傾向とは言えない。
今週やること
- Ads Managerのアカウント設定を開き、オンのままにするか決める。キャンペーン設定はアカウント設定より優先される
- 規制業種や価格・在庫が頻繁に変わる商材は、いったんオフで始める案を検討する
- オンにする場合は、ランディングページの価格・特典・在庫表記を最新にしておく
- ChatGPT経由のクリックでUTMが残っているか、実際に踏んで確認する
Adsマネージャーはまだベータだ。承認なしの自動最適化を受け入れる代わりに何を得られるのか、データが出るまでは「任せる前に測れるか」を判断軸にしたい。