Demand Gen(デマンドジェネレーション)のディスプレイ広告で、ビュースルーコンバージョン(VTC)の数字が近く増えて見えるかもしれない。計測が良くなったからではなく、「見られた」の定義が緩むからだ。
「50%・1秒」から「1ピクセル・一瞬」へ
Search Engine Landの報道によると、GoogleはDemand GenディスプレイのVTC帰属で、広告の閲覧判定をActive Viewから「レンダリングされた広告インプレッション」に切り替える。新しい基準では、広告の1ピクセルでも、どれだけ短くても画面に入れば閲覧とみなす。変更は数週間かけて対象キャンペーンに自動で適用され、広告主の操作は不要という。
現行のGoogle広告ヘルプは、VTCを「広告を見たユーザーがクリックせずにコンバージョンした場合」と定義し、Googleディスプレイネットワークでは広告の50%以上が1秒以上連続して表示された場合にActive Viewとして数えると説明している。ヘルプの記載が今回の変更を反映済みかは確認できていないため、公式の更新を待って見比べる必要がある。
同じ週に出ていた「予算は絞るな」という話
もう一つ、SELはGoogleが「需要連動型予算」を勧めていると報じた。「Rethink Retail」「Rethink ROI」というGoogleのイベントで、成果の高いキャンペーンには日予算の上限で止めずに十分な予算をつけるよう促したという。理由として挙がったのは、小売クエリの38%が8語を超えること、AI Modeのクエリが通常の検索の3倍以上長いこと、買い手の3人に2人が最初に知ったのとは別のブランドを買うことだ。あわせて、AI Max向けの「AI Briefs」やSKU単位で入札を調整できる「商品価値最適化」も紹介された。
考察:二つの話は、同じ向きに「数字を膨らませる」
ここからは筆者の見立てである。VTCの定義緩和と、予算上限を外す提案は別々の発表だが、運用者から見ると同じ方向に作用しうる。前者は報告されるコンバージョンを増やし、後者は消化額を増やす。両方が重なったとき、「費用対効果が維持されたまま成長した」のか「定義の変更で良く見えているだけ」なのかを、レポートの数字だけでは区別しにくくなる。
もちろん、需要連動型予算には妥当性がある。日予算の上限で、急に伸びた需要を取りこぼすことは実際に起こる。レポートの著者も、多くの企業は年間の固定予算で動いており、プラットフォームの推奨だけでは運用が変わらないと見ている。Googleの提案は、広告主の意思決定というより、Googleの売上機会に沿った提案でもある。その両面を踏まえて読みたい。
日本の運用者の確認事項
- 変更日をメモし、前後を比べない。 適用時期はキャンペーンにより異なる。VTCを含む指標は、変更の前後で単純比較しないと決め、社内にも共有する。
- VTCを入札や評価に使っているか点検する。 VTC最適化の入札を使っている場合、定義変更で配信が変わる可能性がある。クリック起点のコンバージョンと分けて見る。
- 予算上限を外す前に、限界CPAを決める。 上限を外すなら、許容できる獲得単価の上限を先に置く。直近で報じた自動プロモーションとPMaxのA/Bテストのように、自動化の範囲は広がり続けている。管理点が減る分、判断基準を自分で持つ必要がある。
- 日本での適用を確認する。 今回の変更が日本のアカウントにも同時に適用されるかは、報道では触れられていない。管理画面の通知とヘルプの更新を確認したい。