GA4のレポートで「Direct」に分類されてきたトラフィックの一部は、実はAIチャットボットからの訪問だったかもしれない。Search Engine Journalの報道によると、GoogleはGeminiから外部サイトへ出るリンクにUTMパラメータを付け始めた。公式ドキュメントはなく、きっかけはRedditでの発見報告だ。
何が起きたのか:Geminiの外向きリンクにUTMが付く
報道によれば、Googleは「いつ付与されるのか」を含めて仕様を公表していない。GoogleのJohn Mueller氏は同スレッドで「Nice. I see it too.」と反応し、Geminiにはもともとリファラもあるのでは、と疑問を添えたという。つまりGoogle自身が確認したのは"付いている"という事実のみで、付与条件やパラメータ値の全容は未確認だ。本稿もパラメータの具体値は断定しない。
比較対象としてSEJは、ChatGPTがウェブソースに基づく回答内のリンクにUTMを付ける一方、学習データ由来の回答には付けないと伝えている。Gemini側も同様の挙動かどうかは、現時点では不明である。
なぜUTMが効くのか:リファラは「アプリの中」で消える
AI経由の流入がDirectに埋もれる原因はリファラの欠落だ。SEJが紹介するユーザー報告では、Geminiのモバイルアプリではリファラが残るのは約9%、Android Assistant経由の呼び出しではゼロだという。これは公式統計ではなくコミュニティの観測値であり、鵜呑みにはできない。ただ、アプリ内ウェブビューではリファラが落ちやすいという構造自体は、UTMがURLに埋め込まれて生き残る理由として筋が通る。
交差分析:「AI流入の可視化」が検索の評価軸を変える
本誌は先日、AI Modeが外部クリックを奪うという3つのデータを整理した。そこで論点になったのは「失われるクリックの量」だった。今回の動きは、その裏面にあたる「残ったクリックの質を測れるか」という問題である。
筆者はここに構造変化を見る。検索流入はこれまで、Google検索という単一の窓口がsource/mediumで可視化されていた。AIチャットボットがUTMを付けるようになれば、AI経由の訪問は独立した流入チャネルとして計測でき、CV率や滞在の質を既存チャネルと比べられる。これまで「AIは流入が少ない」と言い切れなかったのは、そもそも測れていなかったからだ。計測が整うほど、AI流入の実像は数字で議論できるようになる。
一方で慎重な見方もできる。付与条件が非公開のため、UTMが付かない経路は引き続きDirectに残る。UTMが付いた分だけが"見える"にすぎず、AI流入の総量ではない点は忘れてはならない。また、UTMの値や仕様はGoogleが予告なく変えうる。
日本のマーケターが今週やるべきこと
日本でもGeminiはAndroidを中心に身近なため、同じ現象は起きうると考えられる。ただし日本での挙動は本稿執筆時点で確認できていない。以下は筆者の提案である。
- GA4でセッションのsource/mediumを確認する。 Geminiや主要AIチャットボットらしき値が出ていないか、直近の期間で探す
- 自社のUTM運用ルールとの衝突を防ぐ。 広告やメルマガのUTM設計と、外部から付与されるUTMが混ざる前提でレポートを組む
- Directの急変を観察する。 AI側の付与条件が変わった時、Directが減りAI系が増える可能性がある。施策の評価期間をまたぐ際は注意する
- ログで裏取りする。 GA4に反映されない場合、サーバーログでUTM付きアクセスを確認できる
AI検索時代の計測は、まず「見える範囲を知る」ことから始まる。UTMの登場は、その第一歩になりうる。