2026年11月7日(土)
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ディスプレイ広告の移行は「戻れない」片道切符——Google公式ヘルプが淡々と列挙する、デマンドジェネレーションで消える機能

Googleディスプレイ広告キャンペーンは、デマンドジェネレーション内のGDNへ移行する。6月から移行ツールが段階提供され、最終的には残ったキャンペーンが自動移行される。公式ヘルプを読むと、移行は取り消せないこと、移行中はGDNのチェックを外せないこと、そして入札や配信フォーマットの一部が引き継げないことが淡々と書かれている。自動移行を待つより、条件を自分で選んで先に動くほうが安全な理由を、消える機能の一覧から説明する。

WebTech Journal 編集部

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Google広告のヘルプには、赤い文字で書かれた表がある。デマンドジェネレーションで使えない機能の一覧だ。「Googleディスプレイ広告キャンペーンをデマンドジェネレーションに移行する」というページで、Googleは移行の段取りと同時に、何が引き継げないかを公開している。ここを読まずに自動移行を待つのは、運用者として分が悪い。

スケジュールは「6月」だけが確定している

公式ヘルプが明示している日付は1つだけだ。2026年6月に移行ツールの段階的リリースを開始。その後は「今後の予定」として、新規のディスプレイ広告キャンペーンはデマンドジェネレーション内でのみ作成可能になること、さらにその後、対象となる残りのキャンペーンが広告主の操作なしに自動移行されること、の2段階が書かれている。日付は入っていない。

一方、海外の業界メディアでは「単独のディスプレイキャンペーンを新規作成できなくなるのは2027年1月」という報道が出ている(Search Engine Journal)。この差は覚えておく価値がある。Google自身は期限を約束しておらず、業界側が具体的な月を語っている状態だ。社内の移行計画を立てるなら、報道ベースの日付ではなく「いつ来てもいい状態」を目標にしたほうがいい。

なお、GDNそのものがなくなるわけではない。200万を超えるサイトやアプリへの配信面は維持され、変わるのは購入の入り口だ。デマンドジェネレーションに入ることで、GDNに加えてYouTube、Discover、Gmail、マップ(ベータ版)の在庫に1つのキャンペーンタイプでアクセスできるようになる。

消えるもの、増えるもの

公式の比較表から、入札で引き継げないものが目立つ。ディスプレイ広告にあった個別クリック単価、視認範囲のインプレッション(vCPM)、コンバージョンに対するお支払いは、デマンドジェネレーション側の一覧に入っていない。代わりに目標クリック単価と短期キャンペーンの合計予算が加わる。

クリエイティブでは、アップロード型のGIFと、BDF(ビジネスデータフィード)を使ったフィード広告が比較表のディスプレイ側にのみ記載されている。HTML5については「デマンドジェネレーションのGDNにまもなく追加される予定」と注記されており、現時点では未対応だ。逆に増えるのは、カルーセル広告、生成画像ツール、より幅広い動画フォーマット、そして類似ユーザーからアップグレードされた類似セグメントである。

つまりこの移行は、機能の等価な引っ越しではない。ブランド認知をvCPMで買い、HTML5やGIFのバナーで見せていた運用ほど、影響が大きい。 逆に、レスポンシブディスプレイ広告と自動入札で回していた口座は、比較的静かに移行できる可能性が高い。自分の口座がどちら寄りかを、キャンペーン単位で棚卸しするところから始めたい。

移行の「取り消せない」仕様

ヘルプには、運用中に効いてくる仕様が複数書かれている。

  • 元に戻せない。 デマンドジェネレーションに移行したキャンペーンを、ディスプレイ広告キャンペーンに戻すことはできない。
  • 移行中はGDNのチェックを外せない。 移行されたキャンペーンはGDNがデフォルトで有効になり、移行中に解除できない。他チャネルの追加は移行完了後になる。
  • 学習は引き継げるが、予算はリセットされる。 移行ツールを使えば過去42日分までのパフォーマンス履歴を引き継ぎ、学習期間を1〜2日程度に抑えられる。一方で移行当日の消化済み予算は考慮されず、その日の残り時間に日予算がまるごと再割り当てされる。最初の24時間は配信不足または超過配信が起こり得る。
  • リフト測定中は触らない。 コンバージョンリフト測定などの調査中に移行ツールを使うことは推奨されておらず、移行されたキャンペーンは調査に自動で関連付けられない。
  • 一度に100件を超える移行は推奨されない。 大規模口座は分割計画が要る。
  • 命名規則が変わる。 移行後は「[元のキャンペーン名]2」になる。レポートや自動化ルールがキャンペーン名を参照しているなら、そこが壊れる。

最後の項目は地味だが実害が出やすい。スプレッドシートやBIツールでキャンペーン名を条件に集計している運用は、移行日を境に集計から漏れる。

今のうちに決めておく4つのこと

  1. 自動移行を待たない。 自分のタイミングなら、リフト測定の終了後、四半期の切れ目、予算リセットの影響が小さい曜日を選べる。自動移行にはその自由がない。
  2. vCPM・個別クリック単価・コンバージョンに対するお支払いを使っているキャンペーンを先に洗い出す。 ここは入札戦略の作り直しであり、移行作業ではない。着手が遅れるほど痛い。
  3. GIF/HTML5のクリエイティブ資産を数える。 差し替えの制作工数を見積もっておく。HTML5は「まもなく」とされているが、来る前提で計画を止めるのは危うい。
  4. キャンペーン名を参照しているレポートと自動化を先に直す。 「2」が付く前提で正規表現や完全一致を見直す。

この移行は、本誌が先日報じた9月末にGoogle広告から「言語」のスイッチが消える件と同じ流れの中にある。設定項目が減り、キャンペーンタイプが統合され、判断がGoogle側の自動化に寄っていく。個々の変更に文句を言っても仕方がない。運用者に残された裁量は「いつ、どの順番で移行するか」に移りつつある——その裁量まで自動移行に渡してしまうかどうかが、今回の分かれ目だ。

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