検索ボックスが25年ぶりに作り替えられた
5月のGoogle I/O 2026は、検索の前提を静かに、しかし決定的に変えた。Googleの公式ブログによれば、AI Modeは月間10億ユーザーを超え、既定モデルが新しいGemini 3.5 Flashへとグローバルに更新された。検索ボックスは「25年以上で最大の刷新」とされ、テキスト・画像・ファイル・動画・Chromeタブを入力にできるマルチモーダル化と、回答を最適な形式でその場で構築する生成UIが、今夏に無料で全ユーザーへ開放される。
これは「検索結果のリンクを並べる」装置から、「回答そのものを組み立てる」装置への移行を意味する。マーケターにとっての論点は一つ。リンクがクリックされる前提が、どこまで残るのか、だ。
「順位1位なら安泰」は崩れた
ここから先は検証された事実を見たい。Search Engine Landが報じた複数調査、およびAhrefsの追跡調査はいずれも、AI Overviewが表示されるとクリック率が大きく下がることを示す。Ahrefsが2026年2月に30万キーワードを分析した結果では、AI Overview表示時に上位ページのCTRが約58%低下した。GrowthSRCの20万キーワード超の調査では、検索1位のCTRが28%から19%へ約32%減、2位は約39%減となった。
ただし、ここは慎重に読む必要がある。各調査の下落幅は計測手法やクエリ種別により15%から89%まで大きくばらつく。「CTRが何割減る」という単一の数字を鵜呑みにするのは危うい。共通して言えるのは「方向は下落、幅は条件次第」という点だけだ。
一方で救いもある。複数調査が、AI Overview内で引用されたブランドはそうでない競合よりオーガニッククリックを約35%多く得る、と報告している。つまり戦いは「順位を上げる」から「回答に引用される」へと軸が移った、と筆者は見る。
Google自身が「最適化の作法」を示した
注目すべきは、Googleが今回、AI検索向けの最適化指針を公式に示したことだ。6月のWebmaster Reportによれば、Googleは検索スパムポリシーがAI検索機能にも適用されると明言し、引用の操作や購入を警告した。「AIに気に入られる裏技」を売る言説が増えるなかで、王道のコンテンツ品質こそが引用の条件である、という従来の原則をGoogle自ら再確認した形だ。
実務者は何をすべきか
第一に、評価指標を「順位とクリック」から「引用と指名流入」へ広げる。AI Modeの回答内で自社が引用されているかを定点観測する体制を持ちたい。第二に、引用されやすい構造を整える。明快な結論の明示、一次データや独自の数値、設問に直接答える段落構成は、AIが抜き出しやすい。第三に、引用を「買う」手口に手を出さないこと。Googleが名指しで警告した以上、短期の小細工は中長期のリスクに直結する。順位というレースの先に、引用というレースが始まっている。