同じ時期に届いた、相反するようで一致した2つの知らせ
2026年5月7日、GoogleはFAQリッチリザルト(検索結果ページで質問と回答がアコーディオン表示される枠)のサポートを正式に終了した。ALM Corpの解説によれば、これは2023年8月に始まった段階的縮小の完了であり、6月にはFAQの検索アピアランス、リッチリザルトレポートのFAQ項目、リッチリザルトテストのFAQ対応も順次撤去される。長年、検索結果の占有面積を稼いできた施策が一つ消えた格好だ。
その一方で、Search Engine Roundtableの月次まとめが伝えるように、6月3日にはSearch Consoleに「生成AIパフォーマンスレポート」が登場した。AI OverviewsとAI Modeでの表示回数(インプレッション)を、従来の検索パフォーマンスとは別枠で確認できる。ページ別・国別・デバイス別・日次の粒度まで見られる一方、現時点でクリック数は含まれない——表示はされても、クリックは測れない、という割り切りだ。
「枠を取る」から「引用される」へ
この2つを重ねると、Googleが何を測ろうとしているかが見えてくる。FAQ枠のような“見た目の占有”を評価対象から外す一方で、AIの回答内に自社ページが参照された回数を新たに可視化する。検索の通信簿が、順位や表示枠から「AIにどれだけ引用されたか」へ静かに架け替えられているのだ。本誌が先に報じたGoogle AI Modeが10億人に到達し『1位でもCTR3割減』という構造変化の、計測インフラ側の実装がこれにあたる。
注意したいのは、FAQ構造化データ(FAQPageスキーマ)そのものは無駄にならない点だ。複数のSEO調査では、FAQPageスキーマを持つページはAI Overviewsに引用されやすいとの観測が報告されている(倍率は調査により幅があり、ここでは確定した事実ではなく傾向として扱う)。Google自身も構造化データをページ理解に使い続けると説明しており、「リッチリザルトが消えた=スキーマを外す」という早合点は禁物だ。さらにGoogleは、検索スパムポリシーをAI検索機能にも適用すると明言した。AIに引用されたいからといって、引用の購入や不自然な操作に走れば、従来同様にペナルティの対象になる。
計測担当とSEO担当の宿題
実務に落とすと、やるべきことは3つに絞られる。第一に、Search Consoleの生成AIレポートを今日から定点観測の対象に加え、AI経由の表示が伸びているページと沈んでいるページを切り分ける。クリックが測れない以上、表示回数の推移と着地後の行動(GA4側の指名検索・直接流入)を突き合わせて評価する設計が要る。第二に、FAQPageスキーマは即時撤去せず、AI回答での引用を狙う資産として残す。一問一答形式の見出しと簡潔な回答は、AIが切り出しやすい。第三に、コンテンツ評価の社内KPIを「掲載順位」から「引用・参照の獲得」へ書き換える準備を始める。順位の上下に一喜一憂するレポートは、AI検索時代には実態を映さなくなりつつある。
筆者の見立てでは、ここで効くのは奇策ではなく、出典として信頼に足る一次情報を、機械が読み取りやすい構造で提供し続ける地道さだ。皮肉にも、AIに引用される条件は、人間の読者に信頼される条件とほとんど同じである。