「直したのに順位が戻らない」。その日数を、Googleのエンジニア自身が初めて具体的に口にした。2026年10月2日、バルセロナのSearch Central Live Deep Dive Europeで、GoogleのGary Illyes氏が検索の各工程にかかる時間の目安を示した。
何が示されたのか(事実)
出席者であるROASTのJohn Campbell氏のレポートによれば、主な「典型値」と「最も遅いケース」は次のとおり。
- 新規URLの発見:約20時間/遅いと数週間〜そもそも発見されない
- 既知URLの再クロール:約30日/数週間〜されない場合も
- サイトマップの処理:約24時間/最大14日、または品質面で処理されない
- インデックス登録(エンドツーエンド):約1.5時間/数か月、または登録されない
- タイトル・スニペットの更新:1〜2日/数週間〜数か月
- 手動対策の解除:1〜2週間/4〜6週間以上
- コアアップデートからの回復:3〜6か月/6か月〜1年
- サイト移転:1〜3か月/6か月〜1年以上
Illyes氏は「多くの工程は連動している。たとえばクロールされなければインデックスされず、遅れは積み上がる」と説明したという。なお、これは公式ブログではなく参加者の記録であり、算出方法やサンプル数は公開されていない。数値は目安として扱うべきだ。
「never」は待ち時間ではなく選別である
注目したいのは、遅いケースに「never(されない)」が並ぶ点だ。PPC Landは、この「never」が処理待ちではなく品質に基づく選別を指すと読み解いている。技術的な修正を急いでも、ページ自体に価値がないと判断されていれば結果は変わらない、という含意である。
考察:施策の「評価タイミング」を設計し直す
ここからは筆者の見方だ。この一覧は、SEO施策の検証サイクルに3つの修正を迫る。
第一に、タイトル変更のABテストは「1〜2日」で結論を出してはいけない。遅いケースでは数週間かかるため、2〜4週間の観測窓が最低限必要になる。
第二に、コアアップデート後の「回復」を四半期の目標に置くのは危うい。典型で3〜6か月なら、施策の成否は次の四半期にずれ込む。経営層への報告では、先に回復の時間軸を共有しておく必要がある。
第三に、進行中のスパムアップデートとの切り分けだ。本誌が報じたとおり、2026年9月のスパムアップデートは9月24日に始まり完了まで約2週間と案内されている(関連記事)。Illyes氏の目安ではスパム系の変動は1〜2週間(継続的)、バッチ更新では数か月とされる。今順位が動いても、直近の施策の効果とは断定できない。
反論:数値を免罪符にしない
一方で、「3〜6か月かかるのだから待てばよい」という読みは危険だ。回復の目安はあくまで改善を実行した場合の話であり、原因が特定できていない間は時計も動き出さない。また、典型値が当てはまらない小規模サイトや新規ドメインでは、より長い待ち時間になる可能性がある。
日本のSEO担当者が今週やること
- 施策ごとに「評価までの待ち時間」を台帳化し、タイトル変更は最低2〜4週間、構造変更は月単位で見る
- 更新を急ぐ重要ページは、サイトマップ任せにせず内部リンクとSearch Consoleで発見経路を複数確保する
- 「されない」ページ群を洗い出し、技術修正ではなく統合・削除・加筆の対象として棚卸しする
- 経営層向けの月次報告に「Googleの公式講演で示された回復目安」を注記し、期待値を先に揃える
待ち時間の目安が見えたことで、「いつ判断するか」を事前に決められる。検証の規律こそ、今回の最大の収穫だ。