AI回答は、リンクを出さないことで批判されてきた。その流れに変化の兆しがある。Googleは10月15日、AI ModeとAI Overviewsの更新を発表した。ただし、リンクが増えることと、サイトへのクリックが増えることは同じではない。
何が変わるのか
Google公式ブログによれば、変更は5点ある。AI回答の文中に埋め込まれるインラインリンクを大幅に増やし、重要な情報源が上位に表示されやすくする。公式サイトが1〜2つしかないようなタスクでは、回答の冒頭に専用セクションを設け、各リンクが役立つ理由も添える(テスト中)。速報性のある記事のカルーセルは、対象の地域と言語を広げて展開が始まり、優先ソース(Preferred Sources)の記事も出やすくなる。一部の回答では関連記事リンクがサムネイル付きになり、AI Modeの動画結果ではクリエイター名からSearchプロフィールへ移動できるテストも始まった。
Googleは優先ソースの利用が今年の初めから7倍超に増えたとしている。ただし、カルーセルの展開先の国・言語の一覧は示されておらず、日本での提供状況は今回の情報源からは確認できない。
「クリックが増える」とは言い切れない理由
Search Engine Landの報道で、バリー・シュワルツ氏は、リンク増加が実際のクリックにつながるかに疑問を示している。Googleは出版社にも有益だと説明するが、氏は確信を持てずにいる。さらに、Search Consoleの「AIパフォーマンス」レポートにはクリック数の内訳がないことも指摘された。
もうひとつ注意したいのは、クリエイター名のリンク先が、本人のサイトではなくGoogleのSearchプロフィールである点だ。リンクが増えても、行き先がGoogleの内側であれば、運営者のサイトへの流入にはならない。
「出す側」と「見つける側」が同時に動いている
同じ週、AI検索の別の側面でも動きがあった。Search Engine Journalによると、OpenAIとCloudflareは、ネットワーク全体の約1%に当たる参加者グループでの研究パイロットにより、ChatGPT検索向けに数億ページ規模の新しいページを発見したと公表した。ただし、引用数や流入数は報告されておらず、掲載や引用が保証されるわけでもない。この件は本誌でもbot設定の観点から取り上げた。
筆者の見立てでは、Googleが回答内の導線を整え、OpenAIが回答の材料になるページの母集団を広げている。つまりAI検索は、「見つけられる」ことと「リンクされる」ことの両方の競争に入りつつある。ただし、これは複数の発表から読み取れる方向性であり、各社がそう説明しているわけではない。
日本の運営者が今できること
第一に、優先ソースの導線を確認しておく。ニュースや速報性のあるコンテンツを扱う運営者は、自社を優先ソースに選んでもらうための案内やバナーの設置を検討する価値がある。日本での展開が確認でき次第、すぐ動ける準備が望ましい。
第二に、「公式情報が1〜2か所しかない」類いの内容、たとえば手続き、料金、仕様、キャンペーン条件などの一次情報ページを、AIが引用しやすい構造で整えておく。冒頭に結論と日付を置き、更新日を明記する、といった基本で足りる。
第三に、クロール設定を見直す。OpenAIは検索用のOAI-SearchBotと学習用のGPTBotを別々のrobots.txtで制御できる。許可の判断は、サイトの方針に応じて分けて行いたい。
最後に、効果の見えにくさを前提に計測を組む。AI由来のクリックが分離できない以上、ブランド検索の推移や問い合わせ時の自己申告を併用し、クリック数だけで成否を判断しない運用が求められる。