何が発表されたか
Search Engine Journalが2026年9月10日に報じたところによると、GoogleはこれまでData Manager単体で提供していたファーストパーティデータの接続基盤を、Google AnalyticsとDisplay & Video 360に統合した。CRM・オフライン購買データ・アプリデータをこれらの主要プロダクト内で直接連携できるようになる。同社の報告では、Data Manager経由でオフライン・アプリデータを接続した広告主は平均で26%のインクリメンタルROAS向上を実現したという。あわせてIAB Tech LabのEvent and Conversions API(ECAPI)を標準として採用し、複数プラットフォーム間のデータ連携仕様を統一した。
新指標「Data Strength Uplift」も追加された。これは、ファーストパーティデータの接続によって「取り戻せた」コンバージョン数を推定するもので、Google Tag Gateway経由でデータ強度を高めた広告主は平均14%のコンバージョン増加を確認したとされる。
別の報道では、同じ9月10日前後に、地域単位でメディア投資の因果効果を検証するオープンソースツール「Meridian GeoX」が、5月のプレビューを経て世界中で一般提供されたことも明らかになった。地域をテスト群・対照群に分けて広告効果を測定し、その結果をマーケティングミックスモデリング(MMM)に組み込める。
「クッキーが使えない時代」への一貫した回答
これらは別々の発表に見えるが、共通の設計思想がある。Data Managerは個人単位のファーストパーティデータを整理する基盤であり、Meridian GeoXは個人を特定しない地域単位の実験だ。個人識別子に依存しない測定手段を、両極から同時に強化していると読める。
本誌は9月24日に改正個人情報保護法でCookie IDが「連絡可能個人関連情報」に位置づけられたことを報じたが、今回の動きはその技術的な受け皿と重なる。Cookie IDと他データの紐付けに同意取得の実務負担が増すなか、Googleが地域単位のMMM実験や、CRM・オフラインデータを主要プロダクトに統合する方向へ舵を切るのは、規制環境の変化と符合していると考えられる。
ただし、26%・14%という数値はいずれもGoogle自身が算出・公表した平均値であり、第三者による独立検証結果ではない点には留意が必要だ。Meridian GeoXについても、GPUリソースの確保や日次時系列データの整備、実験用の広告予算枠が必要になるため、実際に使いこなせるのは体力のある広告主に限られる可能性が高い。
日本のマーケターがやるべきこと
Cookie規制対応を「同意管理ツールの導入」だけで終わらせている広告主は、今回の動きを機に、GA4とDV360の中でCRM・オフラインデータをどう接続し直すかを点検する価値がある。地域単位の効果検証(ジオテスト)は、個人データを扱わずに済む代替手段として、今後日本のブランド広告主にも選択肢として広がっていくと見られる。