サーバーサイドGTM(sGTM)を使っている広告運用者は、2027年1月11日までに一つ判断を迫られる。Google広告などのタグに、IPアドレスをどこまで渡すかという判断だ。
何が変わるのか
Search Engine Journalの報道によると、2027年1月11日以降、サーバーコンテナ内のGoogle広告、Display & Video 360、Search Ads 360、Campaign Manager 360向けタグは、完全なIPアドレスを受け取れるようになる。従来の「コンテナ全体でのIPマスキング」から、「タグ単位での処理」へ切り替わる。Googleアナリティクスのタグは引き続きIPをマスクする。ブラウザ側タグは対象外で、変更はサーバーコンテナに限られる。
注意したいのは情報の出どころだ。この通知は、広告フリーランスのLinkedIn投稿で共有されたもので、公式チャネルではない。SEJによれば、11月3日時点でTag Managerのリリースノートにも記載がなかった。本誌でも一次ソースでの日付の確認はできていない。以下は「通知が事実なら」という前提で読んでほしい。
IPを渡したくない場合の手順
マスキングを続ける方法は、Tag Managerヘルプ「サーバーサイドタギングのIPアドレス編集」に載っている。手順の骨子は次のとおり。
- IP匿名化関数を呼ぶカスタムテンプレート変数を作る
- 「イベントを拡張」型のTransformationで、
ip_overrideをその変数の値で上書きする - 一致条件か対象タグで、適用先を絞る
- プレビューで、データがサーバーから出る前にマスクされているか確認する
- サーバーコンテナを公開する
サードパーティ製タグには、ip_overrideではなくカスタムヘッダーやイベントパラメータからIPを読むものがある。その場合はタグごとに別のTransformationが必要になる。
未確定な点と、筆者の見方
SEJの報道では、完全IPの保管場所と保持期間、そしてコンセントモードとの関係が、通知では説明されていないという。Googleは、プライバシー強化技術と不正トラフィックの除外を組み合わせ、キャンペーン成果を高めるための変更だとしている。つまり広告配信の精度向上が狙いと読める。
筆者は、この動きを単発の設定変更ではなく、「計測の精度」と「プライバシー設計」のトレードオフがタグ単位に分解されていく流れの一部と見る。サーバーサイド計測は「ブラウザ制限を回避する手段」として導入された面があったが、今後は「何をどのベンダーに渡すか」を自社で設計し続ける運用責任が重くなる。一方で、IPを渡すことで広告の測定精度が上がるなら、渡さない選択は成果とのトレードオフになりうる。この点は、効果検証の数字が出るまで分からない。
日本の運用者が1月11日までにやること
- sGTMの棚卸し:どのコンテナで、どの広告タグが、どのIPフィールドを読んでいるかを一覧にする
- 法務・プライバシー担当との確認:IPアドレスは個人情報保護法上、単体では個人情報に当たらないとされることが多いが、他の情報と結びつく場合や個人関連情報としての扱いは文脈で変わる。自社のプライバシーポリシーと同意取得の文面が、広告ベンダーへのIP提供を含む形になっているか確認する(法的判断は専門家に)
- 渡す/渡さないの方針を決める:デフォルトを「マスクする」にして、必要な広告タグだけ例外にする設計が、後から説明しやすい
- 公式の確定を待つ:リリースノートや正式な告知が出た時点で、日付と範囲を再確認する
1月11日まで約2か月ある。今のうちに棚卸しだけ済ませておけば、正式発表の内容が多少変わっても慌てずに済む。