Googleは4月30日、検索の上で「お気に入りの情報源」を指定するとTop StoriesやDiscoverで優先表示される機能「Preferred Sources」を、サポートする全言語に展開した。Search Engine Journalの報道と9to5Googleの記事が詳しく伝えている。
ユーザーの「指名」が直接ランキングに効く
Preferred Sourcesは、検索結果上のメニューから読者がメディア名を登録すると、そのサイトの記事がTop StoriesやDiscoverに頻繁に出現するようになる仕組みだ。これまでも検索アルゴリズムは「ユーザーの行動」を間接的に取り込んできたが、今回のように「私はこの媒体を信頼している」という意思表示が直接の入力になる例は珍しい。
Googleが公表した数字によれば、機能の初期段階で20万を超える独立サイトがユーザーに指名されており、媒体を指名した読者はそのサイトに対して2倍クリックしやすくなる。地方の小さなブログから老舗の新聞社まで含まれているとされ、規模の大小を問わず効くことが示唆されている。
「コンテンツ品質」と「ブランド忠誠度」の二層構造
ここで起きているのは、ランキングシグナルの構造が二層化することだ。
従来のSEOは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)や被リンク、ユーザー行動データなど「コンテンツに対する評価」を中心に成り立っていた。Preferred Sourcesはこれに「サイトに対する評価」というレイヤーを重ねる。たとえ単一記事の品質が抜群でなくても、読者が「このメディアは追いたい」と判断していれば、結果的にTop Storiesに出続ける構造になる。
この変化は楽観論ばかりではない。Search Engine Land系の論考でも繰り返し指摘されているとおり、新興メディアにとっては逆風になる側面がある。指名は「すでに知られていること」が前提であり、ブランド認知の薄い媒体は新規読者に届く前に指名される土壌すら持たない。一方、確立されたメディアには「指名された読者プール」というディフェンシブルな資産が積み上がる。「強者が強くなる」設計だという批判は、機能の意図を踏まえても妥当な視点だろう。
日本のメディア・ブランドが今すべき3つのこと
日本語対応も含まれた以上、国内メディアは具体的に3つの動きが必要になる。
第一に、Top Storiesに表示された際の「自社サイトへの指名」を促す導線を、記事ページとSNSアカウントの両方で用意する。Googleはユーザーが検索結果上で星マークから指名できるUIを提供しているが、読者の多くはその存在を知らない。媒体側からの能動的な啓蒙が初動の差を生む。
第二に、著者単位のブランディングを強化する。指名されるのはドメインだが、ユーザーが「このメディアを追う価値がある」と判断する根拠は、多くの場合「特定の書き手」に紐づく。記者・編集者の顔を立てる構成は、Preferred Sourcesの恩恵を最大化する補完施策になる。
第三に、Discoverへの最適化を改めて整える。Preferred Sourcesの効果はTop Storiesだけでなく、ホーム画面にネイティブに表示されるDiscoverに波及する。サムネイル比率、見出しの語感、カテゴリの一貫性といったDiscover向けの基本は、ここで効率を倍化させる前提条件になる。
直近で観察すべき指標
このアップデートの効果は、Search Consoleの「Discover」レポートとTop Stories表示の頻度に表れる。直近4週間と全言語展開後の8週間を比較し、特定カテゴリ(ビジネス、テクノロジー、ライフスタイルなど)でクリック数の階段状の増加が見えるか確認したい。逆に、ブランド指名が積み上がらない媒体は、相対的に同カテゴリで地盤沈下が始まる可能性がある。