2026年9月2日(水)
SEO

Googleが「パラサイトSEOの罰」をEEAだけ無効化する——8月30日から、同じページの順位が地域で分岐する

Googleが8月28日、サイト評判ポリシー(パラサイトSEO対策)の運用変更を発表した。8月30日以降、手動対策はEEA外の検索結果にのみ効き、EEA内では影響しない。代わりに該当セクションを本体から分離し、独立して評価する方式へ移行する。同時に判定因子4つと具体例も公開された。日本はEEA外だが、越境サイトの順位が地域で割れる問題と、4因子が編集タイアップの設計図として使える点を整理する。

WebTech Journal 編集部

編集・執筆

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8月30日から、まったく同じURLの、まったく同じ違反が、パリで検索する人には効かず、東京で検索する人には効く。

Googleは8月28日、サイト評判ポリシーの更新を公表した。いわゆるパラサイトSEO——信頼あるドメインに第三者コンテンツを載せ、その評価を借りて上位表示させる手法——への対策だ。2024年3月に導入されたこのポリシーの、手動対策の効き方が欧州経済領域(EEA)内で無効になる。

何が変わるのか

Googleの記述はこうだ。

  • EEA外のユーザーに対して:手動対策は従来どおり、違反セクションの検索結果に直接影響する。サイトの他の部分は影響を受けない
  • EEA内のユーザーに対して:手動対策の影響は適用されない。代わりに該当セクションがシステム上で分離され、時間をかけて本体とは独立に評価されるようになる

Search Consoleでの通知は継続する。再審査リクエストも従来どおり可能で、EEAの適格サイトは再審査リクエストのあとに調停(mediation)へ進める。過去にEEAで適用された同ポリシーの手動対策は削除され、その履歴が不利に扱われることもない。

理由はGoogle自身が書いている。欧州委員会との協議の結果だ。同時に「DMA(デジタル市場法)の過度に広範な適用が、検索結果の完全性に対する現実の脅威への対処を妨げかねないことを、引き続き懸念している」とも明記した。合意はしたが納得はしていない、という文面である。

Search Engine Landのバリー・シュワルツは率直だ。「検索者の地域に基づいてスパムポリシーの扱いを変えるとは、正直驚いた」。長年Googleを追ってきた記者の反応として、これは重い。

「順位を下げる」から「切り離す」へ

罰則がなくなった、と読むのは早い。EEAで採られるのは別の手段だ。

Googleは新たに、ドキュメント側で前提を明文化した。「Googleは一般に、個々のページ(新規ページを含む)がそのドメインの他ページと同等の品質を持つと推定する」。この推定こそが、パラサイトSEOが機能してきた理由そのものだ。

EEAで該当セクションが「本体とは別」と分類されると、Googleはこの推定を止める。全シグナルが即座に消えるわけではないが、システムは時間をかけて、そのセクションを独立に評価するよう学習していく。そして「分離されたこと」自体はランキングシグナルとして使わないとGoogleは書いている。

つまりEEAでは、罰を与えるのをやめ、借りていた信用を返させる方式に切り替わった。速度は遅いが、行き着く先は変わらない。「EEAならセーフ」と読むのは、この設計を読み違えている。

同時に公開された、4つの判定因子

今回の更新でもう一つ重要なのは、Googleが例示を削る代わりに判定因子を4つ明示したことだ。Search Engine Journalのロジャー・モンティが原文を整理している

  1. 提示のされ方 — グラフィックデザイン、書式、タイポグラフィ、UXがホストドメインと一貫しているか
  2. コンテンツの品質 — 本体ドメインには見られない品質問題が、そのページにあるか
  3. 明示または黙示の著者性 — 所有権や責任の明示があるか。著者表記に矛盾する痕跡はないか
  4. 他サイトとの重複 — 同一またはほぼ同一の内容が、複数の他サイトに出ていないか

Googleはこれをチェックリストではないと釘を刺す。いくつか該当しなければ安全、という話ではなく、全体像で判断するという立場だ。

そして人間によるレビューは「まれ(rare)」だとも書かれている。判断の主体は基本的にシステム側にある。

日本の実務では、どこが効くのか

日本はEEAではない。したがって日本のサイトが日本のユーザーに見せる検索結果に対しては、従来どおり手動対策がそのまま効く。今回の変更で日本の事業者が得るものは、直接的にはない。

効いてくるのは次の3つだ。

  1. 越境・多言語サイトの順位が地域で割れる 欧州向けページを持つ日本企業は、同じURLの評価が地域で分岐しうる状態になる。順位計測ツールの取得ロケーションによって、見える景色が変わる。EEAロケーションの計測値だけを見て「回復した」と判断する事故が、今後起こりうる。

  2. 4因子は、日本の「編集タイアップ」の設計図として使える Googleが挙げた「手動対策を受けにくい例」は示唆的だ。クーポン・セール枠なら、自社読者向けに編集・キュレーションし、商業的関係を明示し、編集責任を負い、サイトのナビゲーションに統合し、パートナー提供物をそのまま出さず、問題を報告できる導線を持つ。フリーランス執筆のアフィリエイト記事なら、著者を明示し、編集責任を負い、自社読者向けのオリジナルとして作り、体裁を本体と揃え、アフィリエイトリンクを明示する。

日本のメディアが日常的にやっている記事広告・比較記事の要件そのものである。「外部が書いたか」ではなく「発行主体が編集責任を持っているか」を見ている、と読むべきだろう。

  1. 逆に、危ないパターンも明文化された 著者も責任編集者も不明、商業的性格の開示なし、既存のテーマ別セクションに属さない、メインナビから到達できない、体裁とUXと品質が本体と一致しない、第三者マーケットプレイスの内容をそのまま複製——このすべてに当てはまるページは、EEA外の検索結果で対処される可能性が高い、とGoogleは書いている。心当たりのあるディレクトリは、月曜までに棚卸ししておきたい。

見立て

Googleがスパム対策の効き方を規制当局との協議で地域分割した。これは前例になる。検索結果のリンクを丸ごとリダイレクト化した件でも触れたように、Googleは近年、法的な圧力に技術的な設計変更で応じるパターンを繰り返してきた。今回はその逆——技術的な執行を法的な圧力で譲った形だ。

ただし別の見方もある。Googleは執行をやめたのではなく、手動対策という「説明可能な罰」から、システムによる「説明しにくい再評価」へ移したとも読める。前者は通知が届き、再審査で争える。後者は静かに進む。これが本当に事業者にとって望ましい交換だったのかは、1年後の欧州パブリッシャーの検索流入を見るまでわからない。

日本の担当者が今日やるべきことは、たった一つだ。自社ドメイン配下で、自分が編集責任を説明できないディレクトリを洗い出すこと。地域がどこであれ、そこが弱点であることは変わっていない。

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