2026年9月2日(水)
SEO

Googleが検索結果のリンクを丸ごとリダイレクト化した——法廷でスクレイパーに負けた1か月後に、技術で塞ぎにきた

8月26日、Googleは検索結果のリンクにgoogle.com/goto経由のリダイレクトを挟んでいることを認めた。説明は「悪用対策」の一文だけだ。だがGoogleは7月20日、スクレイピング業者SerpApiとの訴訟で著作権法上の主張を退けられている。法廷で塞げなかったものを技術で塞ぐ——その順番が意味するものと、順位計測ツール・AI可視化ツール・自社のアクセス解析にそれぞれ何が起きるのかを切り分ける。

WebTech Journal 編集部

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8月26日、Googleが検索結果のリンクの挙動を変えたことを認めた。これまで検索結果のリンクにマウスを乗せれば遷移先ページのURLがそのまま表示され、クリックすればそこへ飛んだ。いまは google.com/goto?url=[ハッシュ化されたURL] という中継地点をひとつ経由してから、目的のページへ着く。

Search Engine Landの取材に対し、Googleの広報担当者はこうコメントしている。「当社には、進化し続ける悪用行為に対して技術的措置を講じてきた長い歴史があります。サービスとユーザーを守るための措置を定期的に講じています」。理由の説明はこれだけだ。何の悪用に対する措置なのかは言っていない。

展開はもう終わっている

テスト自体は7月から観測されていた。Search Engine Roundtableが最初に報じたときは再現性が乏しく、「一部で走っているテスト」の域を出なかった。それが今週、状況が変わった。順位計測ツールNozzleのDerek Perkins氏は、複数の住宅用IPプロバイダ経由で「ほぼ100%の展開」を確認したとXで述べている。

つまりこれは「テストが始まった」話ではなく、「もう終わっている」話だ。

7月20日に何があったか

Googleが言わなかった文脈を補うと、時系列はこうなる。

  • 2025年12月19日:Googleが検索結果のスクレイピング業者SerpApiを提訴。DMCA(デジタルミレニアム著作権法)1201条の回避規定を根拠に、同社がGoogleのアクセス制御を迂回したと主張した
  • 2026年7月20日:カリフォルニア州北部地区連邦地裁がGoogleの請求を却下。著作物を含まない検索結果に関する部分は、修正の余地なく(with prejudice)退けられた。「保護すべき著作物が存在しないなら、そもそもアクセス制御も成立しない」という理屈である。著作物を含む結果についても却下されたが、こちらは訴状の書き直しが認められた
  • 2026年8月24日:書き直されたGoogleの訴状に対し、SerpApiが再度の却下申立てを提出。審尋は9月29日に予定されている
  • 2026年8月26日:Googleがgotoリダイレクトの展開を認める

法的手段で検索結果へのアクセスを止める道が細くなった直後に、技術的手段が全面展開された。Googleはこの2つを結びつけて説明していないし、開発リードタイムを考えればgotoの実装は判決より前から進んでいたはずだ。それでも、「検索結果は誰のものか」という争いの主戦場が、法廷からHTMLへ移りつつあるという見立ては成り立つと筆者は考える。Cloudflareが8月21日に公開したBot Preference Syncも、宣言(robots.txt)から実力行使(エッジでのブロック)へ重心を移す設計だった(robots.txtが「手で書くファイル」ではなくなった)。向いている方向は同じだ。

誰の計測が壊れて、誰の計測は壊れないのか

ここは事実と推測を分けて考える必要がある。影響は少なくとも3層に分かれる。

壊れる可能性が高い:SERPのHTMLを解析する道具

順位計測ツール、被リンク調査ツール、そしてここ1年で急増したAI可視化ツールは、検索結果ページから遷移先URLを抜き出して処理している。そのURLがハッシュ化された中継URLに置き換わるなら、復号または追跡のひと手間が増える。ツール側の対応が遅れれば、URLの取り違えや取得漏れとして数値に出る。

本誌は8月25日に、AI可視化ツールが同じ質問への4日間の再実行で86%も結果が入れ替わった件を扱った(予算の24%が向かう先の地面が、4日で86%動いた)。あの記事の論点は「AI側の出力が不安定」だったが、今回はその手前、データを取ってくる配管のほうが同時に工事に入ったということになる。8月下旬のデータで前月比を語るときは、変動の何割が検索側の変化で、何割がツール側の実装変更なのかを分離できない期間だと考えたほうがいい。

おそらく壊れない:自社のGA4

一方、自社サイトのアクセス解析への影響は、騒がれているほど大きくない可能性が高い。理由は中継地点がgoogle.comのドメイン内にあるからだ。リダイレクト元がgoogle.comである以上、着地ページに渡されるリファラーは従来どおりgoogle.comのオリジンになるのが自然で、その場合GA4の判定は「organic search / google」のまま変わらない。

ただしこれは仕様の公表ではなく、リダイレクトの一般的な挙動からの推測だ。断定はできない。やるべきは対策ではなく観測である。今週から来週にかけて、GA4の「参照元 / メディア」で (direct) / (none) が不自然に増えていないか、google / referral という見慣れない組み合わせが立っていないかを日次で見る。増えていなければ、それで終わりにしてよい。

変わらない:Search Consoleと広告の計測

Search Consoleのクリック数は検索結果ページ側で計上されるため、その先のリダイレクトの有無には影響されない。広告のクリック計測も別系統である。

反論:これは本当に「悪用対策」なのか

Googleの説明を額面どおり受け取る見方もある。生成AI各社によるSERPの大量スクレイピングは実在するし、それが検索インフラのコストになっているのも事実だ。中継URLの導入は、ボット由来のアクセスパターンを識別する材料にもなる。

一方で、この措置はGoogle自身にとって「どの結果がどれだけクリックされたか」の観測精度を上げる副産物も生む。悪用対策と自社の計測強化は、同じ実装で両立する。どちらが主目的かを外から確定させる方法はない。現時点で確実に言えるのは、理由の説明が一文しかない、ということだけだ。

今週やること

  1. 契約している順位計測ツール・AI可視化ツールのステータスページとリリースノートを確認する。8月26日以降の告知がないなら問い合わせる
  2. GA4の参照元/メディアを日次で見る。いまのうちにベースラインを控えておく
  3. 8月下旬をまたぐ比較レポートには「計測環境の変更あり」の注記を入れる。数か月後に自分が読み返して混乱しないために

検索結果のリンクという、SEOでもっとも古くから触れてきた対象の形が変わった。数字が動いたときに真っ先に疑うべきは、今回はサイトのほうではない。

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