2026年9月9日(水)
データ分析

GTMスニペットが gtag('config') を無視する日が来る——「動いているから触らない」計測が、静かに壊れる側の条件

Googleがタグマネージャーのヘルプに追記した一文が重い。gtm.jsスニペットは今後 gtag('config') を認識も待機もしなくなる。GTM以外のID(G-/AW-/DC-)をgtm.js経由で読み込んでいるサイトは「非対応実装」に分類され、該当コンテナには通知メールがすでに届いている。7月9日の挙動変更から8月20日の統合発表までを時系列で追い、自社が該当するかを5分で判定する手順と、直し方2通りをまとめる。

WebTech Journal 編集部

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Googleタグマネージャーのヘルプに、こんな一文が追記された。GTM(gtm.js)のスニペットは近く更新され、gtag('config') コマンドを認識も待機もしなくなる——。

地味な文言だが、該当するサイトでは計測が止まる。そして該当しているかどうかは、GTMの管理画面を見ても分からない。見るべき場所はサイトのHTMLだ。

何が「非対応実装」なのか

Googleが名指ししているのは、次の形の実装である。

  • ページにGTMスニペット(googletagmanager.com/gtm.js を読み込むコード)が入っている
  • 同時に、GTM以外のID——G-(GA4)、AW-(Google広告)、DC-(DV360/CM360)——に対して gtag('config', 'TAG_ID') を直接叩いている

この組み合わせが「サポート対象外の実装」だ。Googleは該当コンテナの利用者に通知メールを送っている。心当たりがあるなら、まず受信箱を検索したほうが早い。

正しい形は2択しかない。gtag('config') を使いたいなら、gtm.jsではなく標準のGoogleタグ(googletagmanager.com/gtag/js)スニペットを使う。GTMで他社タグや独自設定も管理しているなら、GTMスニペットは残したまま、gtm.jsに渡すIDを GTM-XXXXXX に置き換え、GoogleタグはGTMのUI内で配信する。

なぜこんな実装が生まれたのか

背景には、Googleのタグが長らく二系統だった事情がある。

Googleタグ(gtag.js)は、GA4やGoogle広告といったGoogleの宛先へ計測データを送る仕組み。GTMは、それらに加えて他社タグ・トリガー・変数をまとめて管理するコンテナだ。Google製品を時期ごとに個別に導入してきたサイトほど、両方が中途半端に混ざった状態になりやすい。

しかも過去には「GTMのIDでgtag.jsのパスを叩く」「Google広告のIDでgtm.jsのパスを叩く」といった変則実装が動いてしまう時期があった。これを整理したのが7月9日のリリースノートだ。従来、非対応パスで読み込まれたコンテナはGoogle製のタグ・変数しか動かない制限状態に落ちていたが、7月以降は「パスではなく読み込みに使ったIDが挙動を決める」方式に変わった。GTM- で読み込めば制限されず、G-AW- などの製品固有IDは制限される。

今回の gtag('config') 無効化は、その延長線上にある。7月の変更が伏線で、8月の告知が本編という構図だ。

8月20日の統合発表と、同じ流れの中にある

8月20日、Googleはタグ周りの一連のアップデートを告知した。要点は3つある。

  1. UIの簡素化:GTMの概要ページに「設定」タブが新設され、トリガー・変数・テンプレート・フォルダは折りたたみの「詳細」タブへ移る
  2. GoogleタグとGTMの統合:Googleタグのみを使っているサイトも、GTMのUI・デバッグ・バージョン管理を使えるようになる。ページ上の挙動は変わらない
  3. ビジュアルタギング:サイト上の要素を選ぶだけでイベントやコンバージョンを設定できる。現時点ではGoogle広告の購入コンバージョン向けにベータ提供

そして統合の注記として、新しいスニペットはすべて同一になり、gtag configコマンドを含まなくなること、初期化は gtm init トリガーで設定することが推奨されている。この init トリガーは、旧来の構成を維持したい場合にconfigコマンドを待つ設定にもできる。

Googleは「自動での変更は行わない、採用するかは選べる」と明記している。ただしそれはコンテナの最適化フローの話であって、gtm.jsスニペットが gtag('config') を無視するようになる件は選択の余地がない。ここを混同しないほうがいい。

5分で自社が該当するか確かめる

手順1:DevToolsで見る。 サイトをChromeで開き、開発者ツールのNetworkタブでリロードする。リクエストが googletagmanager.com/gtag/js に行っているか /gtm.js に行っているかを確認する。Google広告なら googleadservices.com、GA4なら analytics.google.com へのリクエストも見る。

手順2:ソースを検索する。 ページのHTMLで gtag('config' を検索する。ヒットして、かつ同じページにgtm.jsのスニペットがあり、config対象が G-/AW-/DC- なら該当。

手順3:Tag Assistantで確認する。 tagassistant.google.com でドメインを接続し、「Google tags found」に想定どおりのタグIDが正常ステータスで並んでいるかを見る。

WordPressプラグインやCMSのテーマ、外部制作会社が入れた計測コードなど、過去に誰かが場当たり的に足したコードほど該当しやすい。「動いているから触らない」で放置されてきた領域が、まさに壊れる側にある。

留保:日付は公表されていない

Googleのヘルプは「近く(soon)」としか書いておらず、本稿執筆時点で公式に切替日は明示されていない。サードパーティの解説記事には具体的な日付を挙げるものもあるが、Googleの公開ドキュメント上で確認できる表現は「近く」までだ。「まだ日付が出ていないから急がなくていい」ではなく、「いつ来ても壊れない形にしておく」が正しい構えだと考える。

本誌が8月28日に報じたSearch Consoleに「サイトを持たないプロパティ」が生まれた件と同様、計測基盤の前提はこの数か月で連続的に書き換わっている。ダッシュボードの数字を疑う前に、データが入ってくる配管を確認する。今月の宿題はそちらだ。

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