2026年9月2日(水)
データ分析

Search Consoleに「サイトを持たないプロパティ」が生まれた——Instagram・TikTok・X・YouTubeの検索データを、誰が月次レポートに載せるのか

Search ConsoleにInstagram・TikTok・X・YouTubeを接続できる「プラットフォームプロパティ」が段階的に展開されている。自社SNS投稿がGoogle検索やDiscoverでどう見られているかが投稿単位でわかる一方、プラットフォーム内の露出は見えず、GA4とも接続されない。サマリーと詳細で数字が合わない仕様も公式に明記されている。SEOとSNSの分業線をまたぐこの機能を、実務でどう扱うかを整理する。

WebTech Journal 編集部

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Search Consoleのプロパティ追加画面に、見慣れないものが並ぶようになった。Instagram、TikTok、X、YouTube。ドメインでもURLプレフィックスでもない、「プラットフォームプロパティ」という新しい種類だ。Googleは公式ヘルプで仕様を公開しており、段階的なロールアウトのためまだ全アカウントには出ていない。

やっていること自体は地味だ。SNSアカウントを所有権確認して接続すると、そのアカウントの投稿がGoogle検索・Discover・Google Newsでどれだけ表示され、どれだけクリックされたかが見える。クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位という、いつものパフォーマンスレポートの4指標だ。投稿単位でのフィルタもできる。

地味だが、意味は小さくない。Search Consoleが「サイトを持っている人のツール」ではなくなったからだ。

何が見えて、何が見えないのか

見えるもの:Google検索結果やDiscoverに自社のInstagram投稿・TikTok動画・Xポスト・YouTube動画が出た回数とクリック。Instagramのストーリーズが検索結果に出れば表示回数として計上され、クリックされればクリックとして計上される。動画がGoogleのビューア内で再生された場合も、クリックとして加算される。

見えないもの:プラットフォーム内での露出だ。ヘルプには「TikTok内で動画が何回表示されたかは分からない」と明記されている。あくまでGoogleという面から見た数字であり、SNS運用のメイン指標を代替するものではない。

もう一つ、レポートを読む前に知っておくべき仕様がある。インサイトページ上部のサマリーカードはウェブ・画像・動画・ニュースを含む全Google横断のクリック数を出すが、その下の詳細リストはウェブ検索のみを対象とする。「合計が合わない」のは仕様であるとGoogle自身が書いている。この手のズレは、後から社内で説明させられる側にとっては地味に効く。

運用上の注意点は所有権確認の維持だ。外部ログインが失効すると接続が切れ、アクセスが一時停止する。再認証すれば同じレポートに戻り、データを貯め直す必要はないとされているが、裏を返せば接続を維持しているのは特定の個人アカウントの権限ということでもある。

「自社ドメインの外」の計測面が増え続けている

この機能単体で騒ぐ必要はない。だが、ここ数週間の動きを並べると方向が見えてくる。

本誌が8月26日に報じたAhrefsのBrand RadarのAI回答解析エンティティ刷新は、AIの回答内で自社ブランドがどう扱われているかを測る話だった。8月25日のGoogleタグとGoogle Tag Managerの統合は、計測の入口をGoogle側のコンテナに寄せる話だった。そして今回は、他社SNS上のコンテンツの検索パフォーマンスをGoogleが計測して返してくる。

共通しているのは、測定の対象が自社ドメインの外へ広がり、その計測権をプラットフォーム側が持っているという構造だ。GA4のように自分でタグを仕込んで数える世界ではなく、プラットフォームが「これがあなたの数字です」と提示する世界が面積を増やしている。GA4との接続もない。プラットフォームプロパティのデータは、今のところ独立した島だ。

誰がこのプロパティを作るのか

実務で最初に詰まるのはここだと筆者は見る。

日本の多くの企業では、SEOはWeb担当か制作会社、SNSは広報かマーケ部門、YouTubeは別チーム、というように運用主体が分かれている。プラットフォームプロパティは、その分断線をまたぐ。TikTokアカウントの所有権を確認できるのはTikTok運用担当だが、Search Consoleを日常的に見ているのはSEO側だ。接続作業をする人と、レポートを読む人が別の部署にいる。

決めておくべきことは3つある。

  1. 誰のアカウントで接続するか。 個人ログインへの依存は、担当者の異動・退職でデータが止まることを意味する。可能なら運用共有アカウントで接続し、Search Console側のユーザー権限で閲覧者を追加する。
  2. 月次レポートのどこに置くか。 既存のサイトSEOレポートに混ぜると、母数の違う数字が並んで混乱する。当面は別セクションで、比較ではなく「新しく見えるようになったもの」として扱うほうが安全だ。
  3. 何を判断するために見るのか。 現時点でこのデータから打ち手を導けるかは疑問が残る。SNS運用の主戦場は依然プラットフォーム内であり、検索経由の露出は副次的だ。

それでも見る価値がある理由

懐疑的な見方を並べたうえで、なお推したい点が一つある。これまでゼロだと思っていた数字が可視化されることだ。

自社のInstagram投稿が指名検索の結果に出ていて、そこから流入がある。YouTube動画が特定のクエリで拾われている。こうした事実は、これまで推測するしかなかった。数字が出れば、「サイトのFAQページと自社SNS投稿が同じクエリで競合している」といった、これまで見えなかった構造も見つかる可能性がある。

まずは主要アカウントを1つ接続して、数日待ってレポートを開く。判断はそれからでいい。段階的ロールアウトなので、追加項目が出ていないアカウントもある点は留意したい。

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