2026年9月2日(水)
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Microsoftも「AI Max」を名乗った——ただし新規キャンペーンは既定オン、そしてDSAは畳まない

8月27日、Microsoft広告がAI Maxを全アカウントへ一般提供した。名称も3機能構成もGoogleのAI Maxとほぼ同じだが、決定的に違う点が2つある。新規検索キャンペーンでは既定でオンになること、そしてGoogleが畳むDSAをMicrosoftは残すこと。公式が掲げる「コンバージョン+13.6%」も、脚注まで読むと像が変わる。両プラットフォームを並走させる運用者の判断材料を整理する。

WebTech Journal 編集部

編集・執筆

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同じ名前の機能が、同じ月に、違うルールで出てきた。Microsoft広告のAI Maxである。

Googleが9月に一部機能をAI Maxへ自動移行させる件は本誌が8月27日に整理した。その1か月前後で、Microsoftも同名の機能群を全アカウントに開放している。名前が同じなら中身も同じかというと、運用上重要な2点が違う。

まず、同じところ

MicrosoftのAI Maxは、標準の検索キャンペーンに3つの機能を追加するオプションのスイートだ。8月中旬から段階的に展開され、8月27日に公式ブログで一般提供が告知された。

  • 検索語句マッチング:キーワードリストを超えて配信面を広げる。キーワード、広告、ランディングページなどの文脈シグナルを使い、より会話的で複雑なクエリも拾う
  • テキストのカスタマイズ:既存アセットとサイトの内容から追加のメッセージ案を生成・テストし、オークション時に最適な組み合わせを選ぶ
  • 最終URLの拡張:固定のランディングページではなく、意図に最も合うページへ振り分ける

GoogleのAI Maxと構成はほぼ同じだ。Microsoft側も「3つは組み合わせて使うのが最も効果的」としている。

違い1:新規キャンペーンは既定でオンになる

これが最大の差だ。公式ブログには、Microsoft広告で新規に作成する検索キャンペーンではAI Maxが既定で有効になる、と明記されている(作成時でも作成後でもオフにはできる)。

さらにGoogle広告からのインポートを使っている場合、Google側でAI Maxが有効なキャンペーンに対応するMicrosoftのキャンペーンは、その設定を引き継ぐ。定期インポートを設定していれば、以降の同期でも継承され続ける。

つまり、Google広告側でAI Maxがオンになったキャンペーンが、意識しないうちにMicrosoft側にも波及する経路がある。9月にGoogleで自動移行が走る運用者は、Microsoftアカウントの設定も同じ月に確認する必要がある。ここを見落とすと、2つのプラットフォームで同時に配信面が広がる。

違い2:DSAは残る

Googleが動的検索広告(DSA)から離れる方針を示しているのに対し、Microsoftは公式ブログで「追って通知するまでDSAキャンペーンを引き続きサポートする」と明言した。加えてGoogleインポートを使っている場合、アップグレード済みのDSAキャンペーンはMicrosoft側で標準のDSAキャンペーンに戻される。

ここからは筆者の見立てだ。 これは技術的な遅れではなく、意図的な差別化と考えるのが自然だろう。Googleの自動移行に不安を持つ運用者にとって、「Microsoftではまだ従来の設計が使える」ことは移行先としての訴求になる。プラットフォーム間の競争が、運用者にとっての選択肢を一時的に増やしている構図だ。ただし「追って通知するまで」であって、恒久的な約束ではない。

数字は脚注まで読む

Microsoftが示す効果指標は、本文と脚注で印象が変わる。ここは丁寧に分解したい。

本文の記述:初期テストで、AI Max無効の対照キャンペーンに対しコンバージョンが少なくとも8%増加。完全一致・フレーズ一致のキーワード比率が高いキャンペーンでは、より高い伸びが観測された。

脚注の記述:2026年6〜8月、44件の広告主実施A/Bテストの分析。入札戦略と予算を維持したうえでAI Maxの有無を比較。44社の支出加重コンバージョン上昇率は約13.6%。うち統計的に有意な正の結果が出たのは10件で、信頼区間の下限は8.2%。

読み方はこうなる。「13.6%」は支出加重の平均であり、支出規模の大きい広告主の結果に引っ張られる。そして44件中、統計的に有意だったのは10件——約23%にとどまる。残り34件が悪化したという意味ではないが、「効果があると言い切れた」のは4分の1以下だ。本文の「少なくとも8%」は、この10件の信頼区間下限8.2%に由来していると読むのが整合的である。

もう2つ、注意したい数字がある。Copilot体験内の広告が従来の検索広告に対しエンゲージメント101%増というデータは2025年6〜8月、Copilot接触後30分以内の購入53%増は2024年12月の自社データだ。いずれも1年以上前の期間である。プロダクトが四半期ごとに書き換わる領域で、この鮮度をどう扱うかは読み手側の判断になる。

一方で、比較的新しく検証しやすい数字もある。米国におけるクエリの平均長は2026年Q1からQ2にかけて14%増加したという(本文は米国限定と記す一方、脚注のデータ範囲は「グローバル、2026年Q1-Q2」となっている)。クエリが長く会話的になっているという前提自体は、GoogleのAIモード周辺の動きとも整合する。

透明性まわりは、Googleより読みやすい

公平に評価すべき点もある。Microsoftは検索語句・キーワードレポートに「AI optimized」というマッチタイプのラベルを追加し、AIが拡張した部分を識別できるようにした。AI生成アセットは広告主提供のクリエイティブと並べてアセットレポートで確認でき、最終URL拡張の振り分け先は新設の「検索語句別ランディングページ」レポートテンプレートで追える。

制御面では、除外キーワード・入札戦略・予算・コンバージョン目標・ターゲティングといった既存の設定がそのまま効く。加えてブランドの包含・除外リスト、AI生成コピーに特定の語句を出さない「用語除外」も用意された。プロンプト形式のメッセージガイドラインも予告されている。

「自動化を入れる代わりに見えなくなる」という取引を、少なくとも設計上は避けようとしている。

日本の運用者が今週やること

  1. Microsoft広告アカウントで、9月以降に作る検索キャンペーンの既定設定を確認する。 既定オンである以上、「入れる判断」ではなく「外す判断」を能動的に下す必要がある。
  2. Googleインポートの継承経路を洗う。 定期インポートを使っているなら、Google側の9月移行がMicrosoft側の設定に波及する。片方だけ見ていると気づけない。
  3. DSAをMicrosoftで運用しているなら、当面は据え置きでよい。 ただし「追って通知するまで」の但し書きは記録しておく。
  4. 効果検証は自社のA/Bで。 支出加重13.6%は他社の平均であって、自社の予測値ではない。入札戦略と予算を固定した比較を、自分のアカウントで回す。

両社が同じ名前で違うルールを走らせている以上、「AI Maxをどうするか」という一つの意思決定は存在しない。プラットフォームごとに、別々に決める必要がある。

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