2026年10月17日(土)
広告

9月、キャンペーン単位の部分一致と自動作成アセットはAI Maxへ自動移行する——「2027年2月に延期」はDSAだけの話だ

Googleは4月、DSA・自動作成アセット・キャンペーン単位の部分一致を9月からAI Maxへ自動アップグレードすると発表した。6月11日の更新で「延期」が伝わったが、延期されたのはDSAのみ。残り2つは予定どおり9月に切り替わる。移行後に既定でオンになる機能、見出し固定が効かなくなる条件、トラッキングテンプレートが404を返す罠、そしてGoogleの「7%」という数字の正しい読み方を整理する。

WebTech Journal 編集部

編集・執筆

|
|
5分で読める

Google広告のAI Max移行について、日本語の解説記事を何本か読むと「2027年2月に延期された」という記述に当たる。半分は正しい。ただしその一文だけを読んで9月の予定表を空けたなら、来週から自分のアカウントで何かが動くことになる。

4月15日の発表と、6月11日の但し書き

Googleは2026年4月15日、AI Max for Search campaignsのベータ終了と、レガシー機能の自動アップグレードを発表した。対象は3つ——動的検索広告(DSA)、自動作成アセット(ACA)、そしてキャンペーン単位の部分一致設定。開始は9月とされた。

その後6月11日に、同じ記事へ追記が入る。DSAからAI Maxへの移行にもっと時間が必要だという声を受け、DSAの提供終了と自動アップグレードを2027年2月開始に延長する、という内容だ。

そして次の一文が続く。「自動作成アセット(ACA)とキャンペーン単位の部分一致設定を使用しているキャンペーンについては、引き続き2026年9月から自動アップグレードされます」

延期されたのはDSAだけだ。残り2つは予定どおり動く。4月時点の記載では、対象キャンペーンのアップグレードは9月末までに完了する見込みとされている。

移行後、何が既定でオンになるか

これが実務上いちばん重要な部分で、対象ごとに既定値が違う。

  • ACAを使っているキャンペーン:検索語句マッチングとテキストカスタマイズが既定で有効になる
  • キャンペーン単位の部分一致を使っているキャンペーン:検索語句マッチングが既定で有効になる
  • (参考・2027年2月の)DSA:検索語句マッチング、テキストカスタマイズ、最終ページURLの拡張の3つすべてが有効になり、既存のURL管理設定は引き継がれる

つまり9月に切り替わる2グループでは、最終ページURLの拡張は既定でオンにならない。Googleはレガシー構成をそのまま写す設定で有効化すると説明しており、パフォーマンスの断絶を避ける設計になっている。

問題は、そのぶん静かに切り替わるということだ。管理画面の見た目が大きく変わらないまま、マッチングのロジックだけが入れ替わる。9月の数値が動いたとき、原因を思い出せるかどうかは、いま記録を残しておくかにかかっている。

見出し固定が効かなくなる条件

将来DSAを移行するとき、あるいは自分で最終ページURLの拡張をオンにするときには、別の論点がある。Google広告ヘルプ(日本語版)にはこう書かれている。「最終ページ URL の拡張設定を有効にすると、レスポンシブ検索広告アセットの固定は無視されます」。つまり見出しのピン留めが効かなくなる。固定した見出しと、AIが選んだランディングページの内容が噛み合わなくなる可能性があるためだ。

日本の広告主にとっては、これはCPAより先に確認すべき論点だと筆者は考える。ブランド表記のルール、薬機法や景品表示法まわりの必須文言、金融商品の注記——これらを見出し固定で担保している運用は少なくない。拡張をオンにした瞬間に、その担保が外れる。法務レビューを通した文言が、AIの判断で差し替わる状態になるということだ。なお同ヘルプは、最終ページURLの拡張を使うにはテキストのカスタマイズを有効にする必要がある、とも明記している。この2つはセットで動く。

もうひとつ、トラッキングテンプレートとの相性問題がある。同ヘルプの「動的ランディング ページのトラブルシューティング」は、失敗する典型を2つ挙げている。ひとつは、テンプレートに {lpurl} タグのない静的URLを指定しているケース。この場合、動的ランディングページではなく静的URLへユーザーが飛ぶ。もうひとつは、推奨形式以外の書き方をしているケース——たとえば foo={lpurl}value のように lpurl をパラメータの一部に埋め込んでいると、404エラーが発生することがある。計測パラメータを凝って組んでいる運用ほど踏みやすい罠だ。

移行と同じ月に、検証ツールが配られる

8月20日、Googleは別の発表を出している。AI Maxの検証・計画ツールの拡充だ。実験機能でブランド管理・地域管理を有効にしたままテストできるようになり、パフォーマンスプランナーが入札や予算の変更影響を予測してそのまま適用できるようになった。そして複数キャンペーンをまたいだ予算・ROI目標のA/Bテストは——9月提供開始である。

移行が走る月と、移行の妥当性を検証する道具が揃う月が、同じ月になった。順番としては逆だ。8月中に手動で移行して自分でベースラインを作ったアカウントと、9月に自動で切り替わってから検証ツールを触り始めるアカウントでは、10月時点で持っている情報量が違う。

反論:Googleの「7%」をどう読むか

Googleは、AI Maxのフル機能(検索語句マッチング+テキストカスタマイズ+最終ページURLの拡張)を使った場合、検索語句マッチング単独と比べて同等のCPA/ROASで平均7%多いコンバージョンまたはコンバージョン値が得られるとしている。

注意すべきは比較対象だ。これは「AI Max vs 従来のキーワード運用」ではなく、「AI Maxのフル機能 vs AI Maxの一部機能」の比較である。従来運用からの改善率ではない。しかも平均値であり、商材やLPの構造によって分散は大きい。自社の期待値として持ち込む数字ではなく、Googleが全機能オンを勧める根拠として提示している数字、と受け取るのが正確だ。

自動化が運用者から手綱を取り上げる流れ自体は、Google単独の話ではない。Meta広告では除外設定そのものが消えつつあり(Metaが広告セットから「除外」を取り上げる)、上限CPCという安全弁も複数のプラットフォームで同時に外れ始めている(「上限CPC」という安全弁が、広告プラットフォームから同時に外れていく)。9月のAI Max移行は、その流れの中の一手として見ておくといい。

今週やること

  1. 管理画面でACAが有効なキャンペーンと、キャンペーン単位の部分一致が入っているキャンペーンを洗い出す。ここが9月の対象
  2. 対象キャンペーンの直近28日の指標(CPA、CVR、CTR、検索語句の分布)をエクスポートして保存する。移行後の比較基準になる
  3. 見出し固定で法務・ブランド要件を担保しているキャンペーンをリスト化する。将来の拡張オンで真っ先に影響が出る
  4. 移行を待たず、8月中に手動アップグレード+実験機能で1本テストを走らせる。9月に「何が起きたか分からない」状態を避けるのが目的

自動移行の怖さは、パフォーマンスが落ちることではない。落ちたときに、それが移行のせいなのか季節性なのかクリエイティブのせいなのか、切り分けられなくなることだ。切り分けの材料は、移行前にしか作れない。

関連記事

広告

Metaが「3〜24時間の枠買い」を投入——運用型広告の旗手がリーチ予約型へ寄る意味と、数字を読む前の注意点

Metaは10月15日のブランドビルディング・サミットで、時間枠を予約するAds Super Burstなど4つのブランド広告施策を示した。Search Engine LandとSocial Media Todayの報道を突き合わせ、発表内容、提供状況の食い違い、数字がすべてMeta自社調査である点、日本の広告担当者が今のうちに確認すべきことを整理する。

広告

Google広告に「チャネル優先度」と予算配分の上限——GDNとSearchパートナーを“止めずに絞る”時代、2027年2月の仕様廃止までに見直すこと

Google広告が、検索・ショッピング・P-MAX・デマンドジェンで配信面ごとに優先度(高/低)と予算比率の上限を指定できる機能を発表した。2027年2月には、GDN有効の検索キャンペーンの現行の支出配分が廃止される。公式発表の事実と、その仕組みから読み取れる運用の変化を分けて整理し、日本の運用者が今のうちに棚卸しすべき設定を示す。

広告

Google広告は「目的選択」から「文章で相談」へ——AI Maxの新レポートと自然文キャンペーン作成テストが映す、運用者の役割の変化

Google広告でAI Max向けの「検索語句と広告の組み合わせ」レポートが一部アカウントで出現し、キャンペーン作成を自然文で始めるUIのテストも確認された。自動化の中身が見える一方、入口は「質問に答えるだけ」に近づく。この二つを重ねると見える、運用者の仕事の再定義を考察する。