Googleは10月23日、Smart Bidding Exploration(スマート自動入札の探索機能)をパフォーマンス最大化(P-MAX)とショッピングキャンペーンに拡大した。「ROAS目標を意図的に緩めて取りこぼし検索を拾う」機能が、運用型広告の主力の配信面に入ってくる。
何が変わったのか
Search Engine Landの報道によると、これまで検索キャンペーンに限られていた同機能が、P-MAXとショッピングに広がった。P-MAXでは、配信対象となっている既存の検索語句の中から追加の検索を探索する。Merchant Centerフィードを使うP-MAXやショッピングでは、検索とショッピングの両方の面が対象になる。Googleは新しいヘルプ文書も公開した。
仕組み:目標ROASに「許容度」を設ける
Google広告ヘルプによると、広告主は5〜30%の範囲で許容度を選び、その分だけ実効目標ROASが下がる。例えば目標200%・許容10%なら、実効目標は180%になる。ブロードマッチなどのターゲティングを広げる機能ではなく、配信資格はあるのに厳しいROAS制限のせいで入札できなかったロングテールのクエリを拾う設計だ。成果は1〜2コンバージョンサイクルを経て、実効目標のおおむね15%以内に収まる想定とされている。
使える条件と落とし穴
- 入札戦略は目標ROASが前提
- 予算が上限に張り付いていないこと。上限に達すると探索が一時停止する場合がある
- ポートフォリオ入札戦略は検索のみ対応。P-MAXとショッピングでは、ポートフォリオ戦略に移すと探索がオフになる
- Search Ads 360では、ショッピングと小売向けP-MAXに非対応
SELの記事は、この更新がコンバージョン数やROASの向上を保証するものではないと伝えており、成果を示す数値も掲載されていない。
考察:これは「入札の拡張」ではなく「採算ラインの再定義」だ
ここからは筆者の見解だ。許容度を10%に設定することは、実質的に「ROASが目標より最大10%悪い取引を、成長のために買う」という経営判断である。運用担当者が機能をオンにする前に決めるべきは、探索分の採算をどの指標で評価するかだ。目標200%が180%になっても粗利ベースで黒字ならよいが、限界利益が薄いECでは、同じ変更が赤字の拡大に直結する。
もう一点が評価期間の問題だ。Googleは1〜2コンバージョンサイクルでの収束を想定しているが、検討期間が長い商材では判定までに数週間かかる。短期のROAS悪化を理由に早期に止めれば、機能の効果を測れないまま終わりかねない。「予算の天井を外せる案件にだけ使う」という条件を満たすキャンペーンが少ないことも、実務上の制約になるだろう。なお、日本のアカウントへの展開時期は、本稿執筆時点で確認できていない。
最初の一歩
- 予算に余裕があり、目標ROAS運用が安定しているキャンペーンを1〜2本選ぶ
- 許容度は小さく(5〜10%)始め、粗利ベースの許容ラインを事前に文書化する
- 評価は、新たに拾われた検索語句の質と、キャンペーン全体の限界利益の両面で見る