10月28日、TikTokが飲食店ガイド「Must Eat」を発表した。単独で見れば地味な機能だが、直近の動きを並べると、TikTokが何を狙っているかが見えてくる。
「Must Eat」は検索とレビューの代替を狙う
TechCrunchによると、Must Eatは4,000万件超の投稿とコメント、および編集リストをもとにしたガイドだ。都市、料理ジャンル、価格、評価、場所で絞り込める。提供開始はニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの3都市に限られ、OpenTableと連携して一部店舗はTikTok上で予約できる。競合として名指しされているのはYelpとGoogleマップだ。
点ではなく線で見る——スーパーアプリ化の動き
同じくTechCrunchのまとめでは、ここ1年余りの動きが整理されている。
- 旅行: 2026年5月に米国でTikTok GOを開始し、ホテルや体験を動画から予約できる
- 決済: Bloombergが8月、DMで送金できる機能を開発中と報道。ブラジルでは中央銀行にフィンテック事業の申請をしたとReutersが3月に報じた
- ショップ: eMarketerによる米国TikTok Shopの売上は2025年に約158億ドル、米国ソーシャルコマースの18.2%を占め、2027年には24.1%になる見通し
- スポーツ: FIFAワールドカップ向けのハブを6月に開設
- ミニドラマ: アプリ内のMinis、単独アプリPineDrama
どれも「動画で見つけた→その場で動く」を、アプリを離れずに完結させる方向でそろっている。TechCrunchは、中国のWeChatのような統合型が中国外で成立するかは未知数とも書いている。
日本市場への翻訳(考察)
日本では2025年6月30日にTikTok Shopが開始された。当時の報道では、世界で17番目の市場で、国内ユーザーは2,000万人超とされた。つまり購買の入口はすでにある。Must Eatや旅行予約が日本に来る時期は公表されておらず、時期の推定は難しい。ただ、米国で先に3都市限定で始め、順次広げる手順を踏むなら、日本で同種の機能が出ても飲食・観光の主要都市から始まる可能性が高い、というのが筆者の見立てだ。
一方で、日本のグルメ検索は食べログやGoogleマップ、予約はホットペッパー等の既存サービスが強く、レビュー資産の厚みでは簡単に置き換わらない。「TikTokが代替する」というより、「来店前の発見の最初の接点を奪う」と見る方が現実的だろう。
店舗・観光・小売の担当者が今できること
- 店舗や施設の名前で、TikTok内検索の結果とコメントを確認する。自社の見え方は、すでに他人の投稿で決まっている
- 公式アカウントの投稿に、店名・エリア・メニュー名・価格帯を言葉で入れる。ガイド型の機能は投稿とコメントのテキストを集計の材料にしている
- Googleビジネスプロフィールの更新を止めない。TikTokが伸びても、予約・地図の導線はまだGoogle側に残る
- TikTok Shopを使っているなら、動画から購入までの計測を分けて見る
機能の一つひとつを追うより、「発見から行動までの距離が縮む」流れに自社の導線を合わせておく方が、変化に強い。