2026年10月17日(土)
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9月1日、Google広告から「何もしない」という選択肢が回収される——移行先のAI Maxで、無効トラフィックが2倍以上に増えていた

キャンペーンレベル部分一致または自動作成アセットを使っている検索キャンペーンは、9月1日から順次AI Maxへ自動移行される。新規作成は8月3日にすでに停止済みで、実質的な猶予は8月31日まで。同じ週に無効トラフィック検知のLunioが、AI Max有効のリテール検索キャンペーンで無効クリック率が3四半期で2倍以上になったという調査を公開した。標準検索キャンペーンは同期間に低下している。移行が「ラベルの貼り替え」で済むグループと、配信対象そのものが変わるグループの違いと、8月31日までに確認すべき設定を整理する。

WebTech Journal 編集部

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Google広告のアカウントで「キャンペーンレベルの部分一致」か「自動作成アセット(ACA)」がオンになっているなら、9月1日から順次、そのキャンペーンはAI Maxに切り替わる。設定を維持するという選択肢は、8月31日に消える。

3つの日付、そして開発者にはもう1つ

Googleが示した移行スケジュールをSearch Engine Landが8月14日に整理している。日付は3つある。

2026年8月3日 — 管理画面、Google Ads Editor、APIのすべてで、キャンペーンレベル部分一致とレガシーACAの新規作成が停止された。すでに過ぎている。

2026年9月1日〜30日 — 既存キャンペーンのAI Maxへの自動アップグレードが、月内に段階的に実行される。Googleは「同等のAI Max設定でその場で移行する」としており、ブランドの包含・除外設定は引き継がれる。

2027年2月1日〜28日 — 動的検索広告(DSA)が自動移行し、同時にDSA広告グループの新規作成が恒久的に廃止される。DSAだけは半年の猶予が与えられた形だ。

開発者にはもう1つ期限がある。9月1日以降にリリースされる新しいGoogle Ads APIバージョンからは、レガシーのエンティティ自体が削除される。旧バージョンは2027年9月頃と見込まれる通常のsunsetまで動く。運用スクリプトやフィード連携ツールを内製している事業者は、9月ではなく来年秋を見て棚卸しすべきだ。

「移行」の中身は、2つのグループでまったく違う

ここが最も見落とされている点だ。

部分一致設定だけのキャンペーンが受け取るのは、検索語句マッチングのみ。従来の部分一致とAI Maxのクエリ拡張は思想が近いので、実質的にはラベルの貼り替えに近い。

一方、ACAを使っていたキャンペーンは、検索語句マッチングに加えてテキストカスタマイズが既定でオンになる。ACAは見出しの自動生成、つまりクリエイティブの話だった。検索語句マッチングは、どのクエリで広告が出るかという配信対象の話だ。広告文の自動化に同意していただけのアカウントが、クエリ拡張の自動化を自動的に継承する。同意の範囲が、告知なしに一段広がる。

本誌が先日報じた9月下旬の「言語」設定廃止と合わせると、9月のGoogle広告は「誰に出すか」の制御が2つ同時に手を離れる月になる。

公称値は14%から7%に下がり、リテールは母集団から外れていた

AI Maxが2025年5月にオープンベータへ入ったとき、Googleが掲げた数字は「同程度のコストでコンバージョンまたはコンバージョン値が14%増」だった。2026年4月の一般提供時、この数字は平均7%増に下方修正されている。しかもその根拠となった2026年の内部データからは、リテール広告主が除外されていた。

独立系の検証はもっと厳しい。Smarter Ecommerceは250超のリテールキャンペーンを調べ、同一キャンペーン内で比較したときAI Maxのマッチタイプが従来のマッチタイプよりROASで約35%低いという結果を2025年11月6日に公表している。同社は今月、完全一致キーワードがインプレッションの約4分の1をAI Maxに奪われているとも報告した。

2本の線が逆方向に動いた

8月12日、無効トラフィック検知のLunioがリテール特化の調査を公開した。PPC Landが詳細を報じている。2025年10月から2026年6月にかけて、Google広告・Bing・LinkedIn・Metaなどで記録された4億1,400万クリック超が母集団だ。

AI Maxを有効にしたリテール検索キャンペーンの無効トラフィック率は、2025年Q4の2.46%から2026年Q2の5.28%へ、2倍以上に上昇した。同じアカウント、同じ広告主群、同じプラットフォーム上で走っていた標準検索キャンペーンは、同じ3四半期で3.72%から3.07%へ下がっている。この2つのQ2値の差が、報道で使われている「72%」だ。期間平均ではなく計測期間の終点の値である点は、読むときに注意がいる。

1本の線が上がっただけなら、AI Maxがもともと品質の低いクエリ帯を吸収しているという説明が成り立つ。2本が逆方向に開いたことは、その説明を難しくする。

もっとも、これも1社の顧客基盤に基づく計測だ。DoubleVerifyは7月29日、保護下のキャンペーンにおける不正・無効トラフィック違反率が北米で前年比41%減、EMEAで45%減と発表している。両立はする——検知を走らせている母集団と、走らせていない母集団は別物だからだ。

8月31日までに確認する3つ

  1. 該当キャンペーンの棚卸し。 キャンペーンレベル部分一致とACAが有効なキャンペーンを洗い出す。ACA有効のものは、テキストカスタマイズが既定オンになる前提で見る。

  2. 広告グループ単位でのオフ。 移行を避けるには、9月1日より前に該当設定を手動でオフにするか、自ら能動的にAI Maxへ移すしかない。「現状維持」という第3の選択肢は用意されていない。検索語句マッチングは広告グループ単位で切れる。

  3. 検索語句レポートの基準線を、いま取っておく。 移行後に「効果が落ちた」と言うためには、移行前の数字が要る。9月に入ってから遡って取れる粒度には限界がある。

日本の広告主にとって、9月1日は年末商戦の設計を始める時期と重なる。移行そのものより、移行後30〜60日の評価期間が第4四半期の予算確定と重なることのほうが実務上は厄介だ。判断材料が揃う頃には、もう動かせない。

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