2026年9月2日(水)
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「AIに載るのをやめる」スイッチが全世界に配られた——ただし判断材料はインプレッションだけで、クリックは渡されない

8月31日、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートと「Search generative AI control」が全世界のサイトに展開された。AI OverviewsとAI Modeでの表示を丸ごと辞退できるトグルだが、レポートが返すのは表示回数だけでクリックはない。つまり出るか出ないかを、得ている価値がわからないまま決めろと言われている。この非対称をどう扱うか、押してよい業種と押すべきでない業種の線引きを含めて整理する。

WebTech Journal 編集部

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Google Search Consoleの設定画面に、これまでなかった種類のスイッチが増えた。AI OverviewsとAI Mode、そしてDiscoverの生成AI機能から、自サイトを丸ごと外すトグルである。

Googleは8月31日付でヘルプドキュメントに一文を追記した。「2026年8月31日をもって、このコントロールを全世界のすべてのウェブサイトに展開しました」。数か月かけた段階的ロールアウトが完了し、同日、生成AIパフォーマンスレポートも全世界で開放されている。

何が配られたのか

2つある。

生成AIパフォーマンスレポート(検索)は、AI OverviewsとAI Modeで自サイトのリンクが何回表示されたかを返す。ディメンションはページ、国、デバイス、日付。Discover向けは別レポートとして分かれている。Search Labsの実験データは含まれない。

Search generative AI controlは、プロパティ単位の設定で、選択肢は3つ。「含める」(既定値)、「除外する」、そして子プロパティ向けの「親の設定を継承」。除外を選ぶと、自サイトのリンクは生成AI機能に表示されず、AI回答の根拠(グラウンディング)としても使われない。そして生成AI機能からのトラフィックもインプレッションも一切なくなる。

Googleは3点を明言している。この設定は生成AI機能以外の通常検索のランキングやインデックスのシグナルには使わない。AI学習の可否とは別で、そちらは従来どおりGoogle-Extendedの管轄。そしてMerchant Centerなど他サービスへの参加意思を上書きするものではない。

レポートに「クリック」がない、という一点

ここが今回の核心である。

配られたのは影響の大きい二者択一と、その判断に必要なデータの半分だ。表示回数は見える。だが生成AI機能経由でどれだけクリックが来ているか、そのクリックがどれだけコンバージョンしたかは、このレポートからは読めない。

つまりサイト運営者は「AI回答に出ることで得ている価値」を測れないまま、「AI回答に出るのをやめるか」を決めることになる。Googleのヘルプ自体が「このレポートは、コントロールを変更した場合にトラフィックにどう影響するかの目安を得るのに役立つ」と書いているが、表示回数だけで流入価値を推定するには、CTRという最も知りたい数字が欠けている。

悪意の話をしているのではない。表示のされ方が回答本文への引用である以上、クリック計測の定義自体が難しいという技術的事情はあるだろう。ただ結果として、辞退という選択肢は事実上「勘で押すボタン」になっている。

しかも外部から補う手も細っている。本誌が先日報じたとおり、検索結果のリンクがgoogle.com/goto経由に置き換わり、順位計測の負荷は跳ね上がった。AI Overviewの既定展開で、そもそもクリックの前に答えが完結する場面も増えている。内側のデータは半分、外側の計測は重くなる——という同時進行である。

それでも押す合理性がある業種はある

一方で、「除外は絶対に押すな」と言い切るのも雑だと考える。

押す合理性が出るのは、コンテンツそのものが商品であり、要約されると代替されてしまうタイプだ。有料記事やレシピ、辞書的コンテンツ、詳細スペックの一覧など、答えが1〜2文で足りてしまう情報を売っている場合、生成AI機能での露出は認知ではなく置換になりうる。ライセンス交渉のカードとして辞退を使う判断も、メディア企業なら十分あり得る。

逆に、指名検索や比較検討を経て問い合わせ・購入に至るBtoBやEC、ローカルビジネスは、現時点で押す理由がほぼない。生成AI機能内でのリンク露出は、少なくとも認知の面では効いているはずで、それを丸ごと捨てるコストのほうが大きい。

今週やること

  1. まずレポートを開いて、母数を把握する。 生成AI機能の表示回数が全体のどのくらいの規模なのか。ページ別・国別で偏りがあるか。ここを見ずに議論しても仕方がない。

  2. 設定が「含める」になっていることを確認する。 既定は「含める」だが、親プロパティを持つプロパティは「継承」が既定になる。ドメインプロパティとURLプレフィックスプロパティを併用している場合、意図しない継承が起きていないかを見ておく。

  3. Google-Extendedの設定と混同していないか点検する。 「AIに使われたくない」という社内の要望が、学習の話なのか表示の話なのかで、触るべき場所が違う。ここを取り違えたまま片方だけ止めている組織は多い。

  4. 除外を検討するなら、先に代替指標を決める。 指名検索数、直接流入、ブランド名の言及数など、クリックの代わりに見る数字を決めてから押す。押してから測り始めても、比較対象が残らない。

スイッチが配られたこと自体は前進である。少なくとも、これまで選択肢がなかったものに選択肢がついた。問題は、その選択を支える数字がまだ半分しかないことだ。急いで押す理由は、今のところない。

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