広告配信のAI化が進むほど、運用者に残る仕事は「入力」ではなく「検収」になる。10月5日から8日にかけて、GoogleとOpenAIが相次いで出した発表は、その検収の道具を広告主に渡し始めたものとして読める。
Google:AI Maxの生成広告文を「オンにする前」に見る
Search Engine Landによれば、AI Maxのテキストカスタマイズを有効にする前に、最終ページURLを入力すると、Google AIがランディングページを分析して見出しと説明文のサンプルを最大10件、約30秒で生成して見せる。表示場所は検索キャンペーンの「アセットの最適化」セクションだ。サンプルは例示であり、実際に配信される文面と一致するとは限らない。
Googleのヘルプでは、生成アセットは少なくとも48時間ごとに確認・更新され、アップロード済みの見出しより高い成果が予測される場合にのみ配信される。また、同ヘルプには、2026年9月以降はテキストカスタマイズを使うキャンペーンが自動的にAI Maxへ移行すると記載されている。自分のアカウントの設定は、画面で確認しておきたい。日本語での提供については、ヘルプに明示的な記述がなく、本稿では確認できていない。
OpenAI:ChatGPT広告に「増分」の物差しを足す
OpenAIの発表は、画像生成時に表示するビジュアル広告のテスト(米国の最初の広告主グループが対象、無料プランとGoプランのユーザーに表示)と、計測パートナーの拡充だ。AppsFlyerやTriple Whaleなど10社がアトリビューション、Fospha・Measured・INCRMNTALがフルファネル計測を担う。さらに、Haus、Measured、WorkMagicが地域単位の実験で広告の因果効果を調べる取り組みを進めているが、OpenAI自身が「初期段階」としている。
パートナー報告値も出た。WeightWatchersのChatGPT広告の獲得単価は、ブレンド型の有料検索ベンチマークより15.3%低く、Doseは増分購入の67%が新規顧客、Portland Leatherは訪問者の93%が新規だった。ただしこれらはOpenAIが紹介する個別事例で、プラットフォーム全体の水準ではない。本誌が先日扱った顧客リスト配信の記事と合わせ、データ連携と計測の整備が同時に進んでいる。
筆者の見立て:検収が運用者の主戦場になる
両者を重ねると、プラットフォームが「任せてほしい」と言うだけでなく、「見せる」「測らせる」ための部品を出し始めたことがわかる。Google側のConversion Liftの開放と同じ流れだ。ここから、自動化を拒むか受け入れるかの二択ではなく、「どの工程を誰が検収するか」を決める運用設計が価値を持つようになる、と筆者は考える。
慎重な見方も添えたい。プレビューは生成物の一部しか見せないし、アトリビューション上の「新規顧客比率」は増分効果そのものではない。報告値は、広告主に有利な事例が選ばれている可能性もある。
日本の運用者が確認すること
- AI Max、テキストカスタマイズの設定状態を全キャンペーンで確認し、オンにする前にプレビューで表現・禁止表現・誇大表現を点検する(表記ルールがあれば、除外用語の設定も検討)
- ChatGPT広告を試す場合は、日本での提供が未確認であることを前提に、検証は「CPA」だけでなく、地域実験などの増分指標で設計できるかを先に確認する
- 社内の承認フローに、AIが生成した広告文の確認者と頻度(48時間ごとの更新を踏まえた定期レビュー)を明記する