割引をAIが選び、成果もGoogleの管理画面が報告する。その構造で、広告主は「その割引は本当に追加の売上を生んだのか」を誰が検証するのか。10月7日に出た2つの動きは、この問いを同時に突きつけている。
Conversion LiftがSearchとPMaxに
Search Engine Landの報道によると、ユーザーベースのConversion Liftが、従来のディスプレイ、動画、デマンドジェン、アプリに加え、SearchとPerformance Maxでも使えるようになった。広告を見せないホールドアウト群と比較し、広告が生んだ追加のコンバージョンを推定する仕組みだ。
Googleのヘルプに載る主な条件は次のとおり。
- アカウントで1,000件以上の観測コンバージョン(補足データのみに基づくものは除く)
- キャンペーン予算の下限は5,000米ドル
- ホールドアウトは1〜50%で設定。期間は最短7日、14日以上を推奨
- 検出力(確からしさ)は90%以上が目安
注意点が一つある。報道は「担当者経由が不要になった」と読めるが、ヘルプには今も「Google担当者に連絡」とある。報道自身も、アカウントによって利用可否が異なると述べている。自社で使えるかは、管理画面での確認が先だ。
AI Modeの割引は「AIが選ぶ」
同日、Search Engine Landは、Google広告がAI Mode向けのDirect Offerアセットをベータでテストしていると報じた。AI Maxまたはテキストカスタマイズのキャンペーンでのみ配信される。広告主は特典の種類と金額、単回利用コード(CSV)、開始・終了日、1日の上限を設定し、複数の特典から表示するものをGoogleのAIが選ぶ。AI Mode上では、広告枠の下に「ワンタイムコードを受け取る」旨の導線が出る。この記事はGoogleの公式文書へのリンクを示しておらず、日本での提供は確認できていない。
考察:自動化が進むほど、第三者の物差しが要る
ここは筆者の見立てだ。本誌が先日扱った自動プロモーションの既定ONや、Demand Genの「見られた」の定義変更と並べると、割引の選択、配信、成果の計測が同じ管理画面の中で完結する方向が見える。便利である一方、「自分で採点して自分で合格にする」構造になりやすい。Conversion Liftはそれを外から検証する数少ない手段の一つだ。
もっとも、1,000件・5,000ドルという条件は小規模な広告主には重く、全員が使えるわけではない。ホールドアウトで広告を止める期間の機会損失もコストになる。
日本の広告主の次の一手
- 使えるかを確認する:アカウントでConversion Liftが選べるか、担当者に問い合わせる
- 使えないなら代替の物差しを持つ:割引経由の購入は、引換率と粗利、再購入率で別集計する
- 割引は上限を先に決める:Direct Offerのようなテストが日本に来たときに備え、1日の上限額と対象商品を事前に定義しておく
AIに任せる範囲が広がるほど、「効果を疑う設計」が運用者の仕事になる。