2026年9月2日(水)
SEO

AI Overviewでクリック率は何%減ったのか——「38%」「58%」「18%」、3つの数字が示すSEOの新しい読み方

AI Overviewによる検索CTRの低下幅をめぐって、3つの研究がそれぞれ異なる数字を出している——Pew系の現場実験で38%減、Ahrefsで58%減、別調査では「平均18%減だが残ったクリックは高インテント」。一見矛盾するこの数字は、矛盾ではない。本記事は3つの研究を比較し、なぜ数字が割れるのか、そして「ゼロクリック83%」時代のSEO投資をどう組み直すかを論じる。

WebTech Journal 編集部

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数字が割れているのは、測っているものが違うからだ

AI Overview(AIO)が検索結果ページに登場して以来、SEO担当者の最大関心事は「クリック率は実際どれだけ下がっているのか」だ。直近の3つの研究を並べてみると、数字は派手に割れている。

Search Engine Journalが取り上げた研究によれば、ランダム化された現場実験でAI Overviewが発生するクエリではオーガニッククリックが38%減、ゼロクリック率は54%から72%へ上昇した。一方、Ahrefsが2025年12月に公開した分析では1位コンテンツのCTRが58%減という、さらに大きな下落を報告している。同時に、別の集計では平均18%減にとどまるものの「クリックした人はすでにAIOで要約を読んだ上で、より深い情報を求めて来る高インテントユーザー」だという指摘もある。

この数字の乖離は、矛盾ではなくサンプリングの違いで説明できる。Pew系の現場実験は「AIOが出るクエリだけ」を取った場合の影響、Ahrefsは「上位1位のページ」を抽出した場合の極大値、18%は全体平均——母集団が違うのだから、結果は当然違う。マーケターが避けるべきは、自社に当てはまるレンジを決めずに最悪値だけ引用して経営報告することだ。

真に効いているのは「AIOの位置」と「クエリの種類」

もう一つ、見落とされがちなファクトがある。AIOの影響はそれがページ上部に表示された場合に最も強く、その上部表示はAIOが出るクエリの85%を占めている。つまり「AIOが出るときは、ほぼ確実に画面の最も目立つ位置に出る」という前提で考える必要がある。

さらに、ゼロクリック検索の全体トレンドも進行している。2019年に50%だったゼロクリック率は、2026年時点で約65%にまで上昇している。AIOが発火するクエリに限るとゼロクリック率は83%にまで跳ね上がる、というデータもある。10回検索されて2回しかサイトにクリックが来ない世界が、もう来ている。

「AI Mode」の方が本当の地殻変動である

見落とすと致命傷になりうるのが、AI Overview(既存のSERPの上に乗る要約)ではなく、AI Mode(タブを切り替えた先で起動する、検索結果一覧のない完全対話モード)の方だ。AI ModeはGemini系の独自バージョンが応答を生成し、ユーザーの最初のクエリだけでなく、複数のクエリを並行発射する「ファンアウト」手法で情報を集める。

ここで決定的なのは、AI Modeでは伝統的なリンク一覧が原則表示されないということ。AI Overviewならまだ「下にスクロールすればリンクがある」が、AI Modeでは引用された一部のサイトしか露出しない。ユーザーに能動的なタブ切り替え行動が必要なため浸透速度は緩やかだが、Google自身が示した数字によれば、Labs内でのAI Mode利用率は数か月で0.25%から約1%へと4倍に伸びている。普及曲線の傾きを見るべきフェーズに入っている。

キーワードでは無く、知識を最適化するという発想

戦術論として、いま実務者がやるべきことは大きく2つに整理できる。ひとつは「クリックされる残り35%」の質を高めること。AIOで要約を読んだ上でクリックしてくる読者は、明らかに購買・行動意図が高い。記事の冒頭3行で「あなたが探していたのはこれです」を提示できれば、CTRの低下は逆にCVRの向上で補える。

もうひとつは「引用される側に回る」最適化だ。AI Modeはキーワード一致ではなく、知識グラフ・ショッピンググラフ・ライブWeb情報を組み合わせて応答する。ここで引用されるためには、キーワードを並べるSEOではなく、事実・データ・独自分析を持つコンテンツであることが条件になる。「キーワードを最適化する」から「知識を最適化する」への発想転換が必要だ。

日本市場で言えば、GoogleのAI Mode本格展開は米国に遅れて来る。本誌の試算では2026年後半〜2027年前半が日本でのAI Mode本格化の目安だ。残された準備期間は、長くても1年半である。

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