ChatGPTで画像を生成している最中に、広告が表示される。OpenAIが公式発表したのは、検索結果の下に出る現行のChatGPT広告とは別の、画像生成の「待ち時間」を使う新しい接点だ。
発表された事実を整理する
OpenAIによると、ビジュアル広告は10月中に米国で、一部の広告主を対象に試験が始まる。対象はFreeプランとGoプランのユーザーで、商品の使用イメージや体験を見せる画像形式を想定する。広告は明示され、生成中の画像とは別に表示される。OpenAIは「広告が回答に影響することはない」とも述べている。同社はChatGPTの週間利用者を12億人としているが、これは同社の自己申告値だ。ターゲティング、価格、クリエイティブ要件はSearch Engine Journalの報道の時点でも未公表である。
目を引く成果数字は、比較できない
同時発表の計測パートナー事例は3件ある。DV Rockerboxによれば、WeightWatchersの帰属CPAは同社の通常の有料検索の指標より15.3%低かった。WorkMagicは、Doseで統計的に有意な増分購入が見られ、その67%が新規顧客だったと報告している。Triple Whaleは、Portland Leatherの広告経由訪問者の93%が新規だったとする。
ただし、3件は指標も計測会社も違い、方法論や標本数は公表されていない。OpenAI自身も、増分効果の計測は初期段階だとしている。筆者はこれを「広告効果の証明」ではなく「計測の仕組みが先に整備されつつある兆候」と読む。
計測の整備が先行している点が新しい
注目すべきは、広告の拡大より先に計測基盤が揃えられていることだ。Hightouch、Tealium、LiveRampによるコンバージョンデータ連携、AppsFlyerやAdjustなどの帰属計測、Haus、Measured、WorkMagicによる地域分割型の増分検証が並ぶ。本誌が先に取り上げたConversion LiftのSearch/PMax開放や、AI Maxの検収プロセスと同じ構図で、広告プラットフォームが「効いた証拠」を差し出す競争に入っている。
日本の広告主への示唆
日本での提供時期は、確認できた範囲では示されていない。過去の米国先行機能の例から、日本への展開には一定の時間がかかる可能性が高いが、これは推測にすぎない。反対論もある。画像生成の途中という文脈は購買意図が弱く、クリックより認知寄りの効果になるかもしれない。ブランドセーフティも、OpenAIはDoubleVerifyやIntegral Ad Scienceとのパイロットを開発中としており、完成した仕組みではない。
提供前にできる準備は3つある。
- 自社のコンバージョンAPI連携とCDPのデータ品質を点検する。
- 新チャネルの成果を「クリック率」ではなく、新規顧客比率と増分売上で評価する設計を事前に決める。
- ブランド毀損を避けたい文脈(ネガティブ語句)を、社内ポリシーとして言語化しておく。
新しい面が出るたびに予算を動かすのではなく、検証できる状態を先に作る。その順番が、広告主の主導権を守る。