10月8日から15日にかけて、多くのサイトでGA4のChatGPT流入が急に減り、同時にDirectが膨らんだ。「ChatGPT経由の集客が落ちた」と読んだ担当者も多いはずだが、実態は訪問ではなく計測の欠落だった可能性が高い。
何が起きたのか:タグとreferrerが同時に消えた
Search Engine Roundtableの報道によると、OpenAIは6月にChatGPTのリンクへutm_source=chatgpt.comを付け始めたが、GPT-6の展開後にこれが外れた。Adobeのケドリック・ヒューズラー氏の分析では、ChatGPT経由の訪問が全体の5%以上を占める約500ページで、10月9〜13日の訪問が前週比で1日約3万1,000減り、Directが1日約2万6,000増えた。検索流入の減少は7%で、検索全体の傾向と同程度だった。
同氏によれば、OpenAIは10月14日に既知のバグと認め、15日早朝から修正を展開。Search Engine Journalの記事では、修正後、タグ付きクリックは前週同時刻の約95〜100%まで戻ったとされる。
まだ確定していない点
整理しておくべきは、この話が現時点で一枚岩ではないことだ。
- OpenAIの確認はヒューズラー氏経由の情報で、リリースノート(10月1〜15日分)に記載は見当たらない
- SEOコンサルタントのグレン・ゲイブ氏は、修正後も変化を確認できていないと反論している
- Profoundは、タグ付きリンクを含む回答が10月8日の約98%から14日の66%に減ったとし、原因を新しい回答形式(Intelligent UI)の増加とみている
- 大半のクリックでreferrerは依然として欠落している
数値を出している各社はSEOやAI可視性の計測サービスの提供元で、独立した検証ではない点も割り引く必要がある。
考察:Directは「AI流入の吹き溜まり」になっている
ヒューズラー氏は、新たにDirectに計上された訪問者の挙動が以前のChatGPT訪問者に近かったとも指摘する。筆者はここに、今回の事件より大きな構造を見る。タグもreferrerも付かないAI経由の訪問は、GA4では最初からDirectに入る。つまりAI流入は、見えている数字より常に大きい。本誌が既報のChatGPT流入はGoogleの0.62%という調査も、この「見えない分」を含まない下限値として読むべきだろう。
反対に、Direct増をすべてAI由来と決めつけるのも危うい。LLM Pulseは、Directの増加は確認できず、Directは母数が大きく小さな増加は検出しにくいと述べている。「見えない」ことと「多い」ことは別の話だ。
実務者が今日やること
日本のGA4運用でも、同じ期間の数字が歪んでいる可能性が高い(国別の影響度は確認できていない)。
- GA4に10月8〜15日の注釈を入れ、レポートに「計測上の変動」と明記する(ヒューズラー氏の推奨期間)
- この週の数値だけでChatGPT施策の成否や予算を判断しない。アトリビューションモデルも作り直さない
- ChatGPTとDirectを、ホームページを含むページ単位で並べて比較する
- 自社で設定したUTMは影響を受けないとされるため、ChatGPT広告などへのUTM付与を徹底する
- 8〜15日にDirectへ入った訪問はGA4上でChatGPTに戻らない見込みなので、前年比較の資料には注記を残す
AI経由の流入は、タグ一つの有無で消えたり現れたりする。月次レポートでは、ChatGPTの数字単体ではなく「ChatGPT+Direct増分」の幅で語るのが安全だ。