2026年9月2日(水)
SEO

ChatGPTは3つの層であなたのページを見ている——無料Thinkの参照元74.7%はGoogle由来ではなく、OpenAI自前のインデックスだった

フランスのSEO企業RESONEOが、ChatGPTがブラウザへ送る生データを解析し、1,200件の回答・88,000件の検索結果・26,900ページを分類した調査を8月17日に公開した。ChatGPTの参照は「発見インデックス」「読み込みキャッシュ」「ライブで開くページ」の3層に分かれ、無料Thinkと有料Thinkingでは参照する“ウェブ”そのものが違う。さらに、モデルが実際に全文を読んだページはUTMを一切残さない。GEO施策とAI流入計測の前提が、この構造理解なしでは成立しなくなる。

WebTech Journal 編集部

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「ChatGPTがうちのページを見に来た」と言えるのは、実はごく一部のケースだけだった。

フランスのSEO企業RESONEOが8月17日、Search Engine Landに公開した調査は、ChatGPTがブラウザへ送信する生のデータストリームを記録し、7月に1,200件の回答、88,000件の検索結果、26,900の個別ページを分類したものだ。同社は自社ドメインにカナリアページを設置してサーバーログを突き合わせ、OpenAIのロボットが実際に何を取得しているかを推測ではなく実測している。

参照は「1つのインデックス」ではなく3層構造だった

調査が示したのは、ChatGPTの根拠取得が3つの層に分かれているという構造だ。ページを見つける発見インデックス、一度取得したページの完全なコピーを保持する読み込みキャッシュ、そしてその場で開く少数のライブページ。層ごとに更新ルールも鮮度も死角も違う。

データストリームには当初 result_source というフィールドがあり、検索結果1件ごとに内部パイプライン名が入っていた。頻出したのは labrador、bright、oxylabs、serp の4つ。OpenAIは公式には「サードパーティの検索プロバイダー」としか説明していない。このフィールドは7月21日、監視中の全アカウントで一夜にして消えた。RESONEOは現在、スニペット長やタイトル形状といった書式の特徴から約98%の精度でパイプラインを再識別している。

無料Thinkと有料Thinkingは、同じウェブを見ていない

8月の再検証で、より実務に響く差が出た。無料アカウントでThinkをオンにすると、1会話あたりの取得URLは15.1から35.3へ、参照ドメインは9.8から16.3へと倍以上に増える。ここまでは「無料でも情報量が増えた」という話だ。

問題は中身である。無料Thinkの参照元は74.7%がlabrador(OpenAI自前のインデックス)、Googleをスクレイピングした従来型のウェブ結果はわずか3.1%、残る22.2%がニュース系を供給するoxylabsだった。対して有料Thinkingはほぼ鏡像で、75.3%がスクレイピングされたGoogle結果、24.7%がlabradorとなる。

つまり、同じ質問でもプランとモードによって「見られているウェブ」が入れ替わる。Google検索で上位を取れているページが無料ユーザーのThink回答にほとんど登場しない、という事態が構造的に起こりうるということだ。日本のように無料利用者の比率が高いと考えられる市場では、labradorのカバレッジがそのままブランドの露出量を決める可能性がある——ここは筆者の推測だが、GEO施策の優先順位に直結する論点だろう。

キャッシュの鮮度を決めるのは、あなたの更新頻度ではない

もう一つ、運用の常識を崩す発見がある。ChatGPTは取得したページをHTMLからMarkdownに変換した全文でキャッシュし、URLをキーに全ユーザー・全プランで共有している。ベルリンの無料ユーザーが尋ねたページを、先週オハイオの有料ユーザーが取得させていれば、ベルリンにはそのコピーが返る。

更新方式はstale-while-revalidate。約30分は保存版が「新鮮」とみなされ、その間あなたのサーバーには何も届かない。30分を過ぎてもユーザーには古いコピーが即座に返され、裏で次の人のために取得が走る。

これが意味するのは、再クロールの頻度を決めるシグナルはただ一つ、「そのページについてChatGPTユーザーがどれだけ質問するか」だけということだ。人気のあるページは新鮮に保たれ、そうでないページは古いまま置かれる。商品ページの価格を直しても、質問されないページなら旧価格が語られ続ける。

「読まれた事実」はUTMにもログにも残らない

計測側の死角はさらに深い。utm_source=chatgpt.com はユーザーに表示されるクリック可能なリンクに付与されるもので、外部クリックを追跡する。ところがRESONEOによれば、thinkingモードでChatGPTが自ら開いたページの引用にはutm_sourceが付かない。そしてこの「モデルが全文を読んだページ」こそ引用率が74%と高い。

UTMでAI露出を測っているなら、クリックは数えられても「読まれた回数」はゼロと出る。本誌が先日報じたChatGPT流入がレポートに1割も映らない問題は、計測タグの設定ミスではなく、参照の仕組みそのものに由来していた可能性がある。

明日からやること

  1. サーバーログで ChatGPT-User のユーザーエージェントを集計する。 UTM基準のAI流入レポートは過小計上になる前提で、ログ側の数字と並べて見る。
  2. 価格・在庫・仕様を更新したら、更新の反映を待たない。 質問されないページはキャッシュが更新されない。重要ページは自社チャネルから質問が発生する導線(FAQ、比較記事、SNS)で「聞かれる状態」を作る。
  3. Google順位とChatGPT露出を別指標として管理する。 無料Thinkの参照の3.1%しかGoogle由来でない以上、SERP順位はAI露出の代理指標にならない。

単一の調査であり、RESONEOは自社の可視化ツールを提供する立場でもある。数値はあくまで7月〜8月時点の観測値で、OpenAI側の仕様変更で明日にも変わりうる。それでも「ChatGPTのクロールは一つではない」という構造は、当面のGEO設計の土台になる。

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