2026年10月17日(土)
AI・MarTech

ChatGPTの引用元は「まとめ役」から「一次情報」へ——Reddit引用は88%減、PubMedは64位から4位。Ahrefs調査が揺さぶるGEOの前提

Ahrefsの米国データでは、ChatGPTの引用ドメインでPubMedが64位から4位に上昇し、Redditは88%、Wikipediaは80%減った。一方で、ChatGPTが検索する際の「site:」クエリの約76%はブランド公式サイト向けだ。調査の数字と限界を切り分け、AI Overviewの傾向との違いを重ねて、日本の運用者が今から整える「自社にしか出せない情報」の条件を考える。

WebTech Journal 編集部

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「ChatGPTに引用されたければ、Redditとウィキペディアを攻めよ」。そんな定石が、半年で通用しなくなりつつある。Ahrefsが10月12日に公開した調査によれば、米国のChatGPT回答で、Redditの引用は2026年3月から9月にかけて88%減り(およそ5回に1回から43回に1回へ)、Wikipediaも80%減った(約7回に1回から35回に1回へ)。

数字が示す「一次情報」への傾き

調査は、Brand Radarが記録した米国の引用データ(3月は約240万回答、9月は約380万回答)を比較している。主な変化は次のとおりだ。

  • PubMedが引用ドメインの64位から4位へ急上昇し、米国食品医薬品局(FDA)が8位に新規登場した。
  • SEJの報道によれば、WebMDは18位から79位へ下がり、Investopediaなど解説系サイトも上位200から外れた。
  • YouTubeの引用も27%減った。
  • Ahrefsは、ChatGPTが「情報を要約するサイトより、元になった情報源を優先している」ように見えると結論づけている。

もうひとつ見逃せないのが、ChatGPTが裏で行う検索の中身だ。8〜9月の無料・ログアウト状態の約6,660万回答のうち、Web検索を行ったのは14.4%で、検索した回答の補助クエリは平均約1.6本。そのうち6.8%が「site:」指定の検索で、よく検索される約160サイトに絞ると、76%弱(75.9%)がブランドの公式サイト向けだった。

読み解きの注意点と、異なる見方

ここからは筆者の考察を交えるが、まず数字の限界を押さえておく。

第一に、これは米国データであり、日本の傾向は示されていない。第二に、引用順位は流入数ではない。第三に、観測は特定モデル(GPT-5.6 Luna)の無料利用が中心で、有料・推論モデルでは検索の頻度が違いうるとAhrefs自身が断っている。第四に、Ahrefsは自社ツールで追跡する企業であり、プロンプトの追加による順位変動を補正するため約25,000件の共通プロンプトで再比較しているが、モデル更新の影響を完全には切り分けられない。

他社の測定とも物差しが違う。SEJによれば、Promptwatchは別の指標でRedditの引用シェアが7月下旬の3.83%から8月中旬に0.52%へ下がったとし、Nectivは別モデルのAPI経由で1プロンプトあたり7.61本の補助クエリを観測している。直接は比較できない。「Redditは終わった」と断じるのは早計で、Ahrefsの測定でもRedditとWikipediaは依然として引用の多いドメインに残っている。

AI Overviewとは逆を向く? プラットフォーム別の最適化へ

本誌が先に報じたAhrefsの指名検索調査では、Googleの指名検索でAI Overviewの引用元にWikipediaやYouTubeが目立った。今回のChatGPTでは、そのWikipediaやYouTubeが減っている。同じ「AI検索」でも、引用の傾向はプラットフォームごとに違い、しかも数か月で動く可能性がある。単一の勝ちパターンを前提にしたGEO施策は、短命に終わりかねない。

日本の運用者が整えること

日本語圏のデータはないため、以下は筆者の推測を含む。ただし「一次情報が強い」「ブランド公式サイトが直接検索される」という二点は、国が違っても検索の仕組みに根ざした傾向で、日本でも通用する可能性が高い。

  1. 公式情報を一か所に整える。 仕様、価格、対応範囲、よくある質問などを、AIが「site:」検索で直接探せる形で公式サイトに置く。外部のまとめサイトに任せている情報ほど、引用機会を逃す。
  2. 独自データを一つ持つ。 自社調査、実測値、検証記録など、他では出せない情報を公開する。Ahrefsも「自分にしか作れないコンテンツ」を勧めている。
  3. プラットフォーム別に計測する。 ChatGPTとGoogleのAI Overviewを同じ指標で束ねず、引用ドメインの変化を月次で比べる。

引用の「仲介役」が弱まるほど、情報の出どころである事業者の責任と機会は大きくなる。

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