ChatGPT広告が、実験段階を抜けつつある。Search Engine Landが紹介した調査によると、広告の対象となる米国ユーザーの43%が、開始から半年で広告を目にした。年換算の売上は10億ドル規模に達し、広告主は数万社に及ぶという。
数字で見る現在地:CTRは約2倍、ただし単価は別の話
調査はGraphiteとSimilarwebによるもので、9万8,000件超の広告と8,000のランディングページを分析した。Graphite単独の米国データは、4月1日から8月16日に集めた500社超・9万5,000件超の広告だ。Graphiteの公開資料では、世界のCTRは開始時から約112%上昇し、地域別ではブラジル、メキシコ、日本が高いとされる。表示対象は無料プランとGoプランの18歳以上で、Plus以上の有料プランには出ない。
注意したいのは費用だ。OpenAIの推奨は「CPC3〜5ドル」だが、Graphiteは、B2Bで実際に購買意図のある領域は15〜20ドルで、GoogleやBingの検索広告とほぼ同水準と指摘する。テスト予算の目安は月5,000〜1万ドルとされる。公式目安の数倍という落差は、安く始められるという初期の印象を修正するものだ。
勝っている広告主は「ChatGPT専用の文章」を書いている
上位の広告主は文面の98%をChatGPT向けに新規作成し、会話で話題になっているユースケースに合わせている。ランディングページは5本以下が大半で、会話の序盤に出る広告ほど反応が強い。クリエイティブの種類が多いブランドほど、表示シェアを取っている。検索広告の文面の使い回しでは勝てない、というのが一貫したメッセージだ。
9月30日の機能追加が意味すること
Search Engine Roundtableによれば、OpenAIは9月30日、スプレッドシートからの商品フィード広告の一括作成、商品の審査状況を見られるProductsタブ、主目的以外のコンバージョンも取得できるInsights APIの拡張を発表した。提供は東南アジア7市場と台湾が加わり、63の国・地域になった。ECの商品データを持つ事業者が、運用の手間を抑えて入りやすくなった形だ。
日本ではImpress Watchの報道のとおり、6月19日にパイロットとして広告表示が始まっている。
考察と異論:「検索の代替」ではなく「追加の面」
ここからは筆者の見方だ。調査は、ChatGPTは検索の置き換えではなく追加のチャネルで、Googleの広告規模には及ばないとし、実験予算として扱うよう勧めている。数字の出どころが事業者の調査である点も、割り引いて読むべきだろう。CTRの上昇は、ユーザーが広告に慣れる前の「物珍しさ」を含む可能性もある。
一方、Perplexityが広告から距離を置く動きは本誌でも取り上げた。AI面への広告は、各社の判断が割れている。ChatGPT広告に賭けるかどうかも、同じ軸で考えるべきだ。
日本の広告主の最初の一手
- 予算は既存の検索広告から切り離し、期限付きの実験枠として確保する。
- 検索広告の文面を流用せず、利用場面(比較・相談・購入前の質問)ごとに新規で書く。
- ランディングページは3〜5本に絞り、計測の取り方を事前に決める。
- 成果は直接コンバージョンだけでなく、指名検索の増減も併せて見る。
小さく始め、数字が揃うまで拡大しない。それが現時点で最も合理的な構えだ。