検索の回答を生成するモデルが変われば、ブランドの登場の仕方も変わりうる。Googleは10月13日、新モデル「Gemini 4 Argon」を公開し、AIモードとGeminiアプリで使えるようにした。Googleの公式発表とSearch Engine Landの報道から、確認できることと考察を分けて整理する。
確認できる事実:誰が、どこで、いくらで使えるか
Googleによれば、Argonは公開初日の10月13日から世界で展開された。AIモードとGeminiアプリで使えるのは、Google AI UltraおよびProの購読者で、モデル選択のメニューから切り替える。開発者や企業向けにはAI Studioなどを通じてAPIも提供される。つまり、検索のAIモードで誰もがArgonの回答を見る状態ではない。少なくとも発表時点では、有料購読者向けの提供だ。
APIの価格は、導入期間中は入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドルで、2026年11月30日以降は入力4ドル、出力20ドルになると案内されている。Googleは、金融・コーディング・法務・税務の性能を測る「Vals Index」で1位としているほか、プロンプトインジェクション攻撃の成功率を0.7%に抑えたなどの結果を挙げている。ただしこれらはいずれもGoogleが公表した数値で、第三者による検証結果はここでは確認できていない。マーケターの業務に直結する検索回答の品質や、引用元の選び方の変化を示す指標は、公式発表には含まれていない。
考察:AI回答の“揺れ”を前提にした運用へ
ここからは筆者の考察である。モデルが更新されるたびに、同じ質問でも回答に登場するブランドや引用元が変わりうる。本誌が先日取り上げたChatGPTの引用元の変化を示すAhrefsの調査でも、モデルや検索設計の違いで、引用されるドメインの傾向は大きく動く可能性が示されていた。Googleの新モデルにも、同様の揺れが起きうると考えるのが自然だ。
反論もある。有料購読者限定という提供範囲を考えると、短期的に自社の流入へ与える影響は限定的かもしれない。また、モデルの性能向上と、検索回答のブランド露出の変化は、別の話だ。Searchの回答はモデル単体ではなく、検索インデックスや引用の仕組みと組み合わさって決まる。今回の発表だけで、順位や引用の傾向が変わると断定する根拠はない。
それでも、今から検証する価値はある。理由は、AIモードの上位プランから下位プランへモデルが広がっていく展開は、過去のGoogleの機能提供でもよくある流れだからだ(ただし、今回も同じとは限らない)。日本での提供状況は、本稿執筆時点で確認できていない。
今月中にやっておきたい3つの検証
- 自社の主要クエリ(ブランド名、カテゴリ名、比較・「おすすめ」系)20〜30本を決め、AIモードでの回答に自社がどう登場するかを記録する。モデル変更前後を比べられるよう、日付とモデル名もセットで残す。
- 引用される場合は引用元のURLを、されない場合は引用されている競合を記録する。「言及はされるが引用はされない」状態があれば、一次情報の整備が課題になる。
- 有料プランを持つ担当者がいれば、Argonを選んだ場合とそうでない場合で、回答を比較する。差があれば、レポートに残しておく。
モデルの競争が激しい時期ほど、「今どう見えているか」の定点観測が武器になる。順位ではなく、AI回答での見え方を継続的に記録する仕組みを、今のうちに用意しておきたい。