ドキュメントに追加された一文と「手動対策」の警告
7月24日、Googleはレビュースニペット(Review、AggregateRating)構造化データのガイドラインに新しい項目を追加した。趣旨は明快で、虚偽の、または開示されていないインセンティブ付きのレビューを、ページにも構造化データにも含めてはならないというものだ。
禁止例として挙げられたのは(1)製品・サービスの実際の利用体験に基づかないレビュー、(2)金銭・割引・クーポン・無償提供などの見返りに書かれ、その事実が明確かつ目立つ形で開示されていないレビュー、の2類型。Search Engine Journalによれば、ドキュメントは違反サイトへの手動対策を明記しており、手動対策を受ければ星付きリッチリザルトの表示を失い、検索経由のクリックに実害が及ぶ。
同じ週にはGoogleマップでも、投稿レビューが掲載されなかった際にメールで通知する運用が観測されており、検索・マップの両面でレビューエコシステムの品質管理を強めていることがうかがえる。
なぜ今か:レビューはAI検索の「信頼データ」になった
単なるスパム対策の延長ではない、と筆者は見ている。AI OverviewsやAIモードが商品・店舗を推薦する時代には、レビューはAIの回答品質を左右する基礎データになる。回答が1つに集約されるAI検索では、汚染されたレビューがそのまま「AIの推薦」として増幅されるリスクが従来の10件のリンクより大きい。レビューの浄化はAI検索の信頼性維持と表裏一体だ。
本誌が報じたGoogle広告の「AI製」開示パネルと同様、「開示(disclosure)」をプラットフォーム運営の中心原理に据える流れの一環として読むべきだろう。
日本では景表法ステマ規制との「二重包囲網」に
日本では2023年10月施行の景品表示法によるステルスマーケティング規制により、広告であることを隠した表示は不当表示として規制されている。今回のGoogleの更新で、たとえば「レビュー投稿でクーポン進呈」型のキャンペーンは、開示が不十分な場合に行政処分リスク(景表法)と手動対策リスク(Google)の両方を抱えることになった。これまで「法務の論点」だった開示設計が、SEO・流入の論点にもなったのが今回の変化だ。
EC・レビュー担当者のチェックリスト
- 開示文言の点検: 特典と引き換えのレビューについて、投稿導線とレビュー表示箇所の双方で特典提供の事実が明示されているか
- 構造化データの中身: aggregateRatingの集計に、開示なきインセンティブレビューや関係者投稿が混入していないか
- レビューツールベンダーへの確認: モデレーションポリシーと開示表示の仕様が新ガイドラインに対応しているか
- レビュー買い付けの停止: 体験に基づかないレビューを提供するサービスは、金額の多寡にかかわらず利用しない
注意したいのは、正当な開示を伴うレビュー依頼——購入者への任意のレビュー依頼メールなど——まで禁止されたわけではない点だ。過剰反応でレビュー収集そのものを止めれば、かえって競合に劣後する。「集めない」ではなく「開示を設計する」が正解である。