2026年10月21日、米ニューメキシコ州の判事がMetaに対し、同州の消費者保護法に違反したとして250億ドルの支払いを命じた。注目すべきは金額以上に、違反件数の数え方にある。
何が起きたのか
Source New Mexicoによると、命令を出したのはサンタフェの第一司法管区のFrancis Mathew判事。同州の不公正取引防止法(Unfair Practices Act)違反に対するもので、州側は最大400億ドルを求めていた。判事は州には約2,200億ドル規模の請求権があると述べたうえで、250億ドルとした。支払い完了まで年15%の利息がつく。陪審は9月下旬、データ管理に関する説明などで州側の主張を大半認めており、Metaは控訴する意向を示している。
争点は「流出」ではなく「説明」
PPC Landの分析によれば、中心はケンブリッジ・アナリティカ事件を含むデータアクセスについての公的な発言が誤解を招いたかどうかだ。陪審は4,300万件超の違反を認定した。同法は1件あたり最大5,000ドルで、250億ドルは1件あたり約569ドル、上限の約11%にあたる。一方、有害コンテンツの削除に関する主張は陪審が退けたと同記事は伝えている。
計算式の新しさ:「見た人の数」で数える
PPC Landは評価票の読みとして、違反件数が個々の被害ではなく、各発言に触れた人数を基準に積み上げられたと述べる。Metaはこの数え方に前例がなく、被害の立証もないと争う構えだ。同社はデータを販売していないとも主張している。Social Media Todayの報道は、Metaが利用者にさらなる個人情報の共有を求めるAIエージェント「Muse」の展開に、この判決が影を落としうると指摘する。いずれにせよ、控訴で金額も計算方法も変わりうる。
考察:データの“説明”は、リーチが大きいほど重い
ここからは筆者の見解だ。この数え方が控訴審で維持されれば、プライバシーやデータ取り扱いに関する公式発表・ブログ・役員発言は、リーチが大きいほど責任が膨らむ。広告主にとっても他人事ではない。「第三者に提供しません」「匿名化しています」といった自社サイトの訴求が実態とずれていれば、同種のリスクを帯びうる。これは米国の一州の判決で、日本の事業者にそのまま適用される話ではない。それでも、Googleのプライバシーポリシー改定で広告利用の範囲が広がった件や、「デフォルトON」の設定期限が連続する問題のように、プラットフォームの説明とユーザーの理解のギャップは各社で広がっている。説明の正確さがそのまま法的リスクになる流れは、見ておくべきだ。
日本のマーケターが今やること
- 自社サイト・LP・広告のプライバシー表現を棚卸しし、実際のデータ取り扱い(計測タグ、連携先)と突き合わせる
- 「第三者に提供しない」などの断定的な表現は、根拠を社内で文書化する
- Meta広告の利用者としては、控訴審の動向を追う。広告運用への直接の影響は、現時点の報道では示されていない