クエリは増えているのに、検索の売上成長は鈍っている。AlphabetのQ3決算(2026年10月29日発表)は、AI検索への移行が収益構造に与える影響を、初めて数字で見せた決算だった。
決算の事実関係
Relevant Audienceのまとめによると、Google検索・その他の売上は633.5億ドルで前年比12%増。Q2の632.7億ドルとほぼ同水準だ。検索の成長率はQ1の19%、Q2の17%、Q3の12%と下がってきた。Alphabet全体の売上は1,275.8億ドル(+25%)と好調だが、アナリスト予想(247Wall St.によれば648.5億ドル)には届かず、時間外で株価は大きく下落した。
発言の中身が重要だ。Sundar Pichai CEOは、前年比のクエリ成長が過去5年で最高だと述べた。一方でPhilipp Schindler氏は、AIモードのクエリが強く伸びたことが、AIモードでの収益化の低さゆえに売上成長に影響したと説明した。ただし比較基準や金額影響は示されておらず、クリック数やCPC、AIモードの売上も開示されていない。為替やAPACの小売などの要因も挙げられている(Search Engine Journalの記事)。
「一つの検索体験」という宣言
同じ決算で、Pichai氏は「AI Overviews、AIモード、従来の検索にまたがる一つのシームレスな体験を作っている」と述べた。AIモードのクエリは平均で従来の検索の3倍長いとも説明している。これは、検索結果ページのどこからでもAIとの対話に入れる設計へ向かうという宣言と読める。本誌が報じたConnected Appsの公開プレビューも、この延長線上にある。
筆者の見方:二つの含意
ここからは考察だ。
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広告は「枠」から「文脈」に移る可能性がある Googleは、まずユーザー体験とエンゲージメントを優先し、その後に広告フォーマットを拡大する方針を示した。つまり、AIモードの収益化はこれからだ。本誌が報じたAIモード広告の提供範囲(英語のみ、日本は圏外)の段階から、今回の決算で対象国の拡大が示唆された。日本への展開時期は未発表であり、分からない。ただし、収益化を急ぐ動機が強まったことは確かだ。
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「クリック減」と「売上減」は別の問題 クエリが増えて売上が鈍るなら、1クエリあたりの広告機会が減っている可能性がある。ただしこれは公表データだけでは断定できない。逆に、AIモードの利用者が検索全体の入口を広げているなら、露出機会そのものは増えている。どちらが優勢かは、今後の開示次第だ。
日本の実務者が今できること
- 指標を分ける:検索広告では、AI面の露出が増えた期間の表示回数・CPC・CVRを、従来面と切り分けて保存し始める。傾向は後から作れない
- SEOはクリックだけで評価しない:AI経由の引用・指名検索・直接流入を、補助指標として並べて見る
- 広告費の配分を固定しない:AIモードの広告が日本に来た場合の初期CPCは未知数。小さなテスト枠を事前に用意しておく
- 次の決算で確認する:AIモードの収益化が改善したかは、Q4決算が最初の検証点になる
数字は鈍化を示すが、それは需要の減少ではない。変わりつつあるのは、需要を収益に変える「換算率」のほうだ。