Microsoft広告のAI Maxが、検索キャンペーン向けに全世界で一般提供に入った。4月21日の発表、5月開始のオープンパイロットを経ての正式展開である。
ただ、この記事で伝えたいのは新機能の紹介ではない。気づかないうちに設定が入っている可能性があるという一点だ。
「あなたのアカウントでは、もうオンになっているかもしれない」
Microsoftは今回、Predictive matching(予測マッチング)と自動生成テキストアセットをAI Maxの配下へ移した。そして、いずれかを既に使っているキャンペーンでは、対応するAI Max設定が自動的に有効化される。
残りのAI Max機能は広告主がオプトインしない限り作動しない。つまり全部が勝手に走るわけではない。だが「AI Maxはまだ試していない」と思っている運用者のアカウントで、AI Maxの一部が既に有効になっている状態は普通に起こりうる。管理画面の表示が変わって初めて気づく、という事故が今週から来週にかけて発生する。
AI Maxの中身は3つ
機能自体はGoogle側のAI Maxと発想が近い。
検索語句マッチングは、キーワード、広告文、ランディングページ、ユーザーインテントのシグナルを使って、登録キーワードの外側にあるクエリまで到達する。Microsoftは、これによりBingやCopilot内の会話的な検索にも表示されやすくなると説明している。
テキストカスタマイズは既存アセットとサイトのコンテンツから追加の広告コピーを生成する。最終ページURLの拡張は、ユーザーの意図により合うとMicrosoftが判断した場合、別のランディングページを選ぶ。
Microsoftは3つをまとめてテストすることを推奨しているが、最適化実験を通じて個別に検証することもできる。広告グループ単位の設定が残されている点は、運用者にとって数少ない朗報だ。
制御機能を「最初から」出したのは評価できる
今回の展開では、ブランドの包含・除外、テキストアセット生成における語句の除外、最終ページURL拡張の遷移先を制限するURLルールが、初日から利用可能になっている。Microsoft Ads LiaisonのNavah Hopkins氏は、これらを提供したのは広告主からのフィードバックによるもので、含めるべき非常に重要なツールだという声を受け止めた結果だと説明している。
これは順序として正しい。自動化を先に出し、運用者の悲鳴を聞いてから制御を後付けする——この数年、何度も見てきた流れだ。Microsoftはそこを一歩先回りした。
ただし、一般提供=品質保証ではない。3機能を有効にして増分の価値が出るかは、まだ誰も検証していない。ここは広告主が自分の口座で確かめるしかない領域である。
日本の運用者に効くのは「インポート継承」
日本ではGoogle広告で作った構成をMicrosoft広告へインポートする運用が広く定着している。ここに今回の仕様が刺さる。
Googleの検索キャンペーンでサポート対象のAI Max機能が有効になっている場合、インポート後のMicrosoft側キャンペーンでもその設定が有効になる。つまりGoogle側の判断が、そのままMicrosoft側へ波及する。
例外もある。インポート対象のGoogle AI Maxキャンペーンが、もともとDSA(動的検索広告)からアップグレードされたものだった場合、MicrosoftはそれをDSAキャンペーンへ戻す。理由は明快で、GoogleはDSAの終了時期を明示しているのに対し、MicrosoftはDSAの公式なサンセット日を発表していないからだ。Microsoft側のAI Max機能構築が追いつくまでの暫定措置である。
9月、Google側とMicrosoft側の自動化が同時に来る
この話は単体では終わらない。カレンダーを並べると、9月の重さが見えてくる。
Google広告では、本誌が既報の通り9月下旬にキャンペーンの言語ターゲティング設定が廃止され、言語の一致判断がGoogleの自動システムへ移る。
さらにGoogle公式ブログ(4月15日公開、6月11日更新)によれば、DSAのサンセットと自動アップグレードは2027年2月へ延期された一方、自動作成アセット(ACA)とキャンペーンレベルのブロードマッチ設定を使うキャンペーンは、予定通り2026年9月から自動アップグレードが継続される。ACA利用キャンペーンは検索語句マッチングとテキストカスタマイズが既定で有効な状態でAI Maxへ、キャンペーンレベルのブロードマッチ利用キャンペーンは検索語句マッチングが既定で有効な状態でAI Maxへ移る。Googleは対象キャンペーンのアップグレードを9月末までに完了する見込みだとしている。
整理すると、9月は「Google側で複数の自動化が走り、その結果がインポート経由でMicrosoft側にも流れ込む月」になる。片方だけを見ていると、もう片方の数値変動の原因がわからなくなる。
なおGoogleは公式ブログで、AI Maxのフル機能(検索語句マッチング、テキストカスタマイズ、最終ページURL拡張)を使った場合、検索語句マッチング単体と比べて同等のCPA/ROASでコンバージョンまたはコンバージョン値が平均7%増えると公表している。Google自身の集計値であって第三者検証ではないが、期待値の目安にはなる。そして7%は「劇的」ではない。運用の裁量を手放すかどうかは、この程度の増分と引き換えである、という前提で判断したい。
今週やること
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Microsoft広告で、Predictive matchingと自動生成テキストアセットの使用状況を確認する。 これが有効なキャンペーンは、AI Maxの対応設定が自動でオンになる対象だ。意図して使っていたのか、過去の誰かが入れたまま残っていたのかを、今のうちに区別しておく。
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有効化の前にブランド除外とURLルールを入れる。 初日から使える制御を、初日から使う。特に最終ページURL拡張は、想定外のページへトラフィックを流しうる。EC事業者なら在庫切れページや終了済みキャンペーンLPが遷移先候補に入っていないか確認したい。
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インポート運用のスケジュールを見直す。 9月のGoogle側変更の直後にインポートを回すと、変更が二重に反映されて原因分離ができなくなる。Google側の変更が落ち着くまでインポート頻度を落とすか、少なくとも実施日をログに残す。
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比較期間を先に決める。 自動化が入る前の2〜4週間を「変更前」として確保する。9月に入ってから「先月と比べて」と言い出しても、その先月にはもう変更が混ざっている。
GoogleとMicrosoftが同じ方向——キーワードの外側までシステムに探させる——へ動いている以上、運用者に残された仕事は「どこまで任せるか」の線引きと、その線を引いた日付を記録しておくことだ。
出典
- Microsoft Advertising Rolls Out AI Max Globally | Search Engine Journal
- Microsoft Advertising rolls out AI Max globally for Search campaigns | Search Engine Land
- Google's Dynamic Search Ads are upgrading to AI Max | Google公式ブログ(一次ソース)
- Win across all three eras of the web | Microsoft Advertising公式ブログ(一次ソース)