「他の人はこちらも質問」(People Also Ask、以下PAA)は、長いあいだSEOにとって都合のいい抜け道だった。1位を取れなくても、質問に的確に答える見出しと2〜3文を用意すれば、ファーストビューに自社ドメインが載る。その席が、この14か月で消えかけている。
独立した2つのデータセットが、同じ方向を指した
9月9日、Search Engine Roundtableが2つの計測結果を並べて報じた。
Allintitleの「Also Ask Miner」データによれば、2026年8月以降、GoogleのPAAの回答は100%がAI生成になっている。
もう一方のAlsoAskedは、2026年の英語クエリ1,920万件のサンプルを分析し、9月第1週のPAA回答の97%がAI Overviewsだったと報告した。8月時点では86%である。AlsoAskedのMark Williams-Cook氏は「まもなく100%に達する可能性が高い」と述べている。
そして同じAlsoAskedのデータで、14か月前の水準は約12%だった。
12% → 86% → 97%。1年強で、PAAは「他サイトの抜粋を並べる枠」から「AIが答える枠」へ、ほぼ完全に置き換わった。集計手法の異なる2つのデータソースが同じ結論に収束している点で、単発の観測より信頼度は高い。
この数字を、日本語のSERPにそのまま持ち込んではいけない
重要な留保がある。上記はいずれも英語クエリのデータだ。日本語のPAAで同じ比率が出ているという検証データを、本稿執筆時点で確認できていない。日本語圏でのAI Overviewsの展開は英語圏より遅れて進んできた経緯があり、実際の比率はより低い可能性が高い。
ここからは考察だが、それでも方向は同じだと考えるのが自然だろう。過去2年、英語圏で起きた検索機能の変化は、おおむね数か月から1年の遅れで日本語圏に到達してきた。だとすれば実務的な問いは「日本はまだ12%だから大丈夫か」ではなく、「自社のクエリ群は英語圏の何か月後ろにいるのか」になる。これは自分で測れる。
この変化は、今週報じた他の2件と同じ形をしている
本誌はこの1週間で、構造の似た変化を2度取り上げている。
ひとつは、ショッピング広告の表示回数が減る一方でCTRだけが上がっているという現象。もうひとつは、生成AIによる量産ページの失敗コストが、ページ単位ではなくサイト単位で効くというジョンG・ミューラー氏の指摘だ。
3つを並べると、共通する構造が見えてくる。「露出の量」で稼いでいた領域が縮み、「指名される質」でしか残れない領域が広がっている、という形だ。
PAAは典型的に前者だった。1位でなくても、質問に対する形式さえ整えれば載る。露出の量で稼ぐ枠である。それがAI生成に置き換われば、形式を整えるだけの最適化は席を失う。ショッピング広告の表示回数減も、量産ページのリスク増も、同じ矢印の上にある。
それでも「引用される側」の席は残っている
PAAのAI回答には、AI Overviewsであることを示すラベルが付く。枠がAI生成になっても、出典として名前が出る余地そのものがなくなったわけではない。
変わったのは、選ばれ方だ。ここは考察になるが、従来のPAAは「その質問に答えている文章があるか」で拾われた。AIが答える枠では、「その主張の根拠として引ける情報源か」で拾われる。前者は文章構造の問題であり、後者は情報そのものの独自性の問題だ。同じ内容をより読みやすく書き直す作業は、前者には効いても後者には効かない。
この区別は、コンテンツ予算の配分を変える。
今日から変えられる3つのこと
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PAA由来の流入を分離して測る。 Search Consoleの表示回数とクリックのうち、質問形クエリ(「〜とは」「なぜ」「方法」「違い」)を切り出し、直近14か月の推移を見る。すでに落ちているなら、それは順位の問題ではない。順位を上げても戻らない種類の減少だ。
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「答えの形式」から「答えの根拠」へ工数を移す。 FAQブロックの追加や見出しの整形にかけていた時間を、一次データ・自社調査・実測値の生成に振り替える。AIが引用できるのは、AIが自力で作れない情報だけである。
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順位以外の可視性指標を1つ持つ。 AI回答内での言及や引用は、従来の順位計測ツールでは捉えられない。完璧な指標はまだ存在しないが、「測っていない」状態を続けるほうがリスクは大きい。
悲観一色で読む必要はない
最後に、反対側の見方も置いておく。PAAが100%AI化しても、そこからのクリックが完全に消えるわけではない。AI Overviewsは出典リンクを伴う形式であり、参照される側に回る道は残っている。回答の質が上がることで、検索そのものの利用が増える可能性もある。
ただし、ひとつだけ確実に終わったものがある。「質問に答える記事を量産すれば、いずれどこかの枠に拾われる」という2020年代前半の前提だ。それはもう機能しない。